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わかっちゃいるけど浮かれちゃう

4月の課題図書『響ヶ丘ラジカルシスターズ』その1

2004-04-06 01:32:23 | 課題図書
新システム適用第1回目の今月は、『響ヶ丘ラジカルシスターズ』(井上剛 著、ソノラマ文庫)である。あらすじはこちらを参照していただきたい。

ネタバレは避ける方針でいきたいと思うが、やむを得ない場合はコメント欄にて記述する。

さて、「その1」ということで、まずはこの作品の道具立て、構造の面で気付いた事を書いてみようと思う。
まず、あらすじを読んでもすぐわかる通り、舞台設定、背景設定はほとんど宝塚歌劇団そのままである。ネーミングも一見して元の名前がわかってしまう程度。そのあたりの説明は作中でかなりの枚数を割いて語られる。
そして、その舞台で展開する物語はというと、「お約束」の連発、しかもかなり古臭さを感じさせるものばかり。ステロタイプな三人組の主人公、間抜けな悪の秘密結社・・・あまり展開に触れると興をそぐのでこれくらいにするが、まるで一昔前の児童書を読んでいるかの様な感覚に陥る。特に事件の発端から主人公が事件に首を突っ込み出すあたりの展開は、まるで主人公が17,8歳とは思えない様なわかりやすすぎるものだった。

以上のような事を鑑みると、小学生あたりの読者を想定しているのかとも思ったが、だとすると背景設定の説明が冗長である。というか、説明と言うより著者の「宝塚知識自慢大会」の様相を呈していた。(いや、知識のある方が読めばなんてことないのでしょうが)
その背景設定と物語の筋がほとんど独立してそれぞれ語られるために、読みながら自分の立ち位置を定めるのが難しい作品だった。

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