MAio-108

素材(木、鉄、銅、陶、ガラス)の表情を生かしたものづくりをする日々

錆について

2008年04月11日 | Weblog
どういうわけか、此処のところ、錆の話が、多い。
良い錆ふかせてください。
反対に、錆ふかせないように。
まるきり反対の話し。

鉄は、錆ます。言うまでもないが、鉄は、空気中の酸素と結合して、酸化します。
最初の内は、いわゆる赤錆、完全に酸化していない状態です。
これを上手く、徐々に酸化させたり、一気に薬品などで酸化さたりすると、黒い安定錆に、変わります。
こうなると、傷つかない限り、空気中では、錆びにくくなります。
いわゆる黒錆です。
普通の状態であれば、赤錆が吹き始め、環境にもよりますが、その下に、黒錆が形成されます。一見赤い錆のように見えますが、その下に、黒錆が出来上がると、もう錆は進行しなくなります。
但し、風に、砂やごみが巻かれ手吹きつけたり、日に晒されて、鉄が温度を上げたりすると、表面の、黒錆が痛み、そこから、また赤錆が進行します。

ですから、錆びさせないようにするには、空気との接触をしないようにすればよいのです。

その、第一は、塗装です。

塗装も、下地と、上塗りが有ります。

下地を(通常エポキシを使うことが多い)2回くらい塗り、上塗り1回くらいでも、
傷をつけない限り、なかなか錆びにくいものです。

但し、取り付けの時に、落下や、取り付け面のゆがみ、などで、無理に本体の鉄を曲げたり
伸ばしたりすると、溶接部分や、傷ついたところの、塗膜が痛みますので、そこから錆始めることが、多いものです。

もうひとつあるのは、制作費用を削る場合、下地の回数を減らすこともあります。
塗膜が薄くなるので、のちのメンテナンス(上塗り)は、比較的早めに施工したほうがよいと思われます。

いずれにせよ、塗膜の厚みが、錆を左右すると言えます。
予算の問題や、オーナーの都合で、下地の塗り回数が少ない時は、なるべく早めに、塗り重ねの機械を設けた方が良いと思われます。

しかしながら、錆、反対にきれいだという方も、最近多くなって来ています。

私も、室内のオブジェなどは、錆の風化した表情の、美しさは、造形の一部として、出来る限り、取り入れ、鉄の自然のはだの、美しさは、出来たら、みんなに楽しんでもらいたいと、思うようになりました。

木などと違い、木目が有るわけでもない、鉄の肌は、むしろ錆びてこそ、美しさがでてくるように、思うという意見も、最近では多くなり、いかにうまく錆びさせるかがカギになります。

鉄をあえて錆びさせる場合、酸を使って、最初に強力に錆びさせます、この時気おつけなければいけないのは、いきなり強めに、錆びさせると、まえにも書いたとうり、赤錆の下に、黒錆が一気に出来上がり、それ以上進行しにくくなり、折角錆びさせたつもりが、錆を保護した状態になってしまします。ですから、錆びさせるといっても、2カ月も3ヶ月も掛け、ゆっくり、進行させなければなりません。

前記した、塗装をして錆ないようにすると言っても、2,3年置きに上塗りを、続けない限り、不可能です。
むしろ、多少錆びた状態を、少しだけ維持し、鉄の肌が、あれてきてから、再度、上塗りをかける、などすると、鉄の雰囲気は、さらに上がります。

もし、まったく錆びさせたくないのなら、鉄を使うべきではなく。ステンレスを使た方が良いと思われますが、鉄の雰囲気には、なりませんし、費用も3倍近くなります。

あるいは、プラスチックを使うしかありません。プラスチックにしてもいずれは、紫外線でひび割れを起こし、見るも無残な姿になってしまします。

錆びさせないといい、錆びさせるといい。どちらの場合も、時間をかけ手を掛け、費用をかけ、ということになります。

むしろ、その環境で、自然にあるがままに、錆びさせるというのが、長持ちもし、美しくもあるのではないでしょうか。