ヲノサトル責任編集・渋東ジャーナル 改

音楽家 ヲノサトル のブログ

音楽配信と電子出版のマリアージュ

2012年02月07日 | 音楽


昨年は、思わぬ流れからリリース・ラッシュとなりました。今年はもうちょっと腰を落ち着け、じっくり作りこんでいきたいと考えています。 …と言いつつ、昨年の余波というか、ライヴ音源の発売はまだ続くのですが。

2月24日には、昨年12月23日の「メメント」ライヴ音源を、初のトライとなるDSD録音の超高音質で配信します。

いつも通り特典として付属するPDFパンフレットには、ライヴに際して行われた港千尋さんとの対談を完全収録。

また、あの夜のスライドショーで披露された港さんの写真も多数収録します。パンフレットというよりも写真集というか雑誌というか、ちょっと面白くて読み応えのあるブックをめざして鋭意製作中です。

この「音楽のオンライン販売」という流通形態を取りながら、実質的にはPDFブックという「電子出版物」にも商品価値を持たせるというスタイル。

昨年から始めましたが、まだまだ可能性があると思うのです。

たとえば1月に発売した『ムードコア・スカッド2 ダンス・セレクション』のブックは、こんな内容です。



コンセプト、演奏者紹介、歌詞、楽曲解説、ライヴ写真 etc. CDライナーだったら、ま、ここまで詰め込まないだろう。というボリュームになっております。

CDに封入するブックレットというのもいろいろ表現できるとは思いますが、物理的なサイズや予算の兼ね合いで、ページ数にはおのずと制約があります。それに対して電子パンフレットの場合かなり自由度が高いんですよね。

基本的にページ数は無限だし。写真や映像もいくらでも入れ込め、ビジュアル表現として工夫の余地が色々ある。また、リンクでウェブと連動できるのも大きな特徴です。パンフレット内のキーワードから別サイトに飛んだり、広告的な使い方にも可能性がある。

デスクトップのパソコンで作業をしながら音楽を聴く時、あるいはiPadなどで音楽を聴く時、画面に歌詞や解説のような情報を映し出して読みながら聴くこともできる。

原稿を書いていて面白いのは、CDライナーなどの印刷物だと客観的というかクールなテキストでビシッとキメたくなるのですが、電子メディアだともっと主観的だったり等身大な言葉を使いたくなってくるんですね。

これは平素から、ブログとかツイッターとかオンラインで「素」を見せるような文章を意図的に書いているのが無意識に作用しているのかもしれませんが。

コンテンツの豊富さで言えば、最近はディスク販売の分野でもブルーレイ・ディスクを媒体に、高音質音源+高画質映像、ファンクラブ特典やグッズを入手できるクローズドサイトへのアクセス権などを詰め込んだ商品が出てきていますね。

たとえばこんな…



このように「パッケージ」としての魅力を最大化しようという動きがある一方で、コンテンツが非「物質」化していく動きは今後、加速こそすれ減速することは無いと思われます。

店舗に行かずインターネットを通じて、パッケージ無しに音楽や映像を購入する消費行動は、もはや止まらないでしょう。

そんな中、出版流通(電子書籍)と音楽流通(オンライン販売)が、それぞれのプラットフォームに相乗りしながらクロスオーバーしていく。そしてまた新しいコンテンツ形態を確立していくのではないか…

そんな予感を、昨年からのリリース経験を通じて、個人的に感じ始めているのです。



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