ぴぃたんの小ネタ。

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インタビュー・ウィズ・バンパイア 撮影レポート その2 (小ネタ) 

2006年04月30日 | ブラッド・ピット
トム・クルーズを非難する原作者と、意外な結末

 キャスティングで、対立は深まった。"僕はキャスティングには自身があるんだ"とゲフィンは言う。彼はジョーダンが監督に決定するより前に、『リバー・ランズ・スルー・イット』を観たその日にブラッド・ピット起用を決めている。ライスの同意を得て、ダニエル・デイ=ルイスにレスタト役をオファーした。ただし、『父の祈りを』撮影中でデイ=ルイスは脚本を読みたがらず、ゲフィンは数ヶ月待たされた。その間、毎日のようにデイ=ルイスのエージェントに電話を入れたが、結局、断られてしまった。
 ライスにもアイディアがあった。『ブレードランナー』がお気に入りの彼女は、監督にリドリー・スコット、レスタトにルトガー・ハウアーを考えていたのだ。1993年になって彼女はゲフィンに、ジェレミー・アイアンズやジョーン・マルコビッチらを提案。だがジョーダン監督は年上すぎると考えた。
 ウィリアム・ボールドウィン、レイフ・ファインズ、メル・ギブソンの名も挙がった。ジョーダン監督は無名の俳優も含めて、多くの俳優と会った。監督やプロデューサーたちとの話し合いからトム・クルーズの名前が出たとき、デビッド・ゲフィンは大賛成したという。
"それで彼にアプローチしてみた"とジョーダン監督。いつでも中止にできたような口ぶりだが、クルーズぐらいのスターに脚本を送るというのはオファーしたに等しい。"彼は内に秘めた怒りを表現できる。それをそれを注ぎこめれば、この役はとても恐ろしくなる。レスタトの視点に立てば、原作が邪悪さを理解させようとしていることがわかるよ。そしてトムが演じれば、観客はレスタトに強い共感を覚えるはずだ"。
 相談を受けなかったライスは、ショックだった。"クルーズが私のヴァンパイアをやるなんて、(いかついギャング俳優)エドワード・G・ロビンソンが(『風と共に去りぬ』の)レット・バトラーをやるようなもの"と彼女はロサンゼルス・タイムス紙に語っている。"彼自身のためにも、みんなのためにも、降りるべきよ"。ゲフィンはライスに電話しようとしたが、弁護士としか連絡がつかなかった。クルーズはマスコミに、心を痛めている、と語った。
 アン・ライスは新作小説「Lasher」のプロモーションで全米を回りながら、クルーズを非難し続けた。決定的な一撃が、5月のピープル誌に載った。"バカな人たち!"と記事にある。"……私はダサい人に吸血鬼レスタトを演じてもらいたくない。ふさわしい声と体格を持っている名優に演じて欲しいのだ――マルコビッチ、ダニエル・デイ=ルイス、ジェレミー・アイアンズとは格が違う。あなたがたは本当に原作を読んでいるのか?レスタトは(「白鯨」のエイハブ船長、カスター将軍、ピョートル大帝に等しいのだ……。不精ヒゲ姿でうろつき、ハーバード大学で乱痴気騒ぎを起こしたクルーズが、この映画の成功を保証すると本気で思っているの?"。
 9月になった。亡き娘ミッシェルの28回目の誕生日の2日前に、アン・ライスは完成作品をビデオで観た、と公表した。"両手で目を覆いたい気持ちでビデオをスタートさせたわ"と言うライス。ところが結果は……。"すごい!圧倒されたわ。監督は原作の核心をとらえていた。ハイライトは、ブロンドで、私のレスタトそのものの声でしゃべるクルーズよ。いままでの子供っぽいイメージを一掃してるわ。ミステリアスな不死のキャラクターになりきっている。妥協なき作品ね。観るまでは気分が悪かったけど、すっかり治ったわ"。

"インタビュー・ウィズ・トム・クルーズ"

  トム・クルーズは、おそらくショービジネス界で最もさわやかな挨拶をする人間だろう。すぐそばで、まばゆい『トップガン』スマイルをきらめかせる。こんな温かい対応は予期していなかった。前回、本誌(アメリカ版)でクルーズを取りあげたのは、彼が信じるカルト的サイエントロジーについての記事だったからだ。不思議なことに、実物のほうがハンサムに見える。彼はレスタト役のため8キロ減量し、いまは3キロ戻ったという。言わなければわからないが。そして、3日目くらいの不精ヒゲはきちんと手入れしてある。
 "レスタトは、吸血鬼としての人生を冒険と思っているんだ"とクルーズ。"贈り物のつもりでルイに吸血鬼のパワーを与えるが、レスタトとしては、ルイに'裏切られる'んだ。レスタトは狩りの相棒が欲しかったのに、ルイの行動は逆なんだ……"。ドラマティックな間。"怒るのも当然さ"。
 "トムはこの役を本能的に演じ続けた"とジョーダン監督は言う。"ヒトラーは自分を怪物とは思っていなかった、と彼は言うんだ。スターリンも自分が怪物とは思っていなかった。レスタトも自分が怪物とは思っていないんだ"。
  ジョーダンはクルーズにボードレールのダンディズムについての著作を読ませ、ハープシコードの練習のためにハイドンの難曲を課題にした。クルーズはフォーマルな話し方をテープで学び、肉食獣の習性を身につけるために野生動物のビデオを観た。だが、金髪の巻毛には拒否反応を示した。"冗談ぽく見えると心配したのね"とメイキャップ・スーパーバイザーのミッシェル・バーク。"説得してテストしてもらったの。'ニコール(妻のキッドマン)がいいと言えばね'って言ってた。彼女、ひと目見たとたんに悲鳴をあげたわ"。クルーズは結局、まゆ毛、もみあげ、腕の毛、胸毛まで漂白した。"自分のなかにレスタトをみつけなきゃならなかった"とクルーズ。"器用な俳優じゃないからね。でも24時間、そのテンションでいると疲れる……。一瞬も心の休まるときがないんだよ……"。
 "カメラが回る前から、トムは役になりきっていた"と言うのは、インタビュアー、ダニエル・マロイ役のクリスチャン・スレイターだ。"おまえの喉を引き裂いてやる、なんて言って脅すんだ。僕も役作りがしやすくなったよ"。
 いままでになくセクシーな役なのかと聞くと、メガスター、クルーズは不機嫌になる。"観てよ。観て判断してよ"。さらに突っこむと、ようやく、"ヴァンパイアが人を噛む。それだけの役さ"ときた。そして聞いてもいないことを答え始める。クルーズが脚本から同姓愛を連想させる部分の削除を要求したとか、肩より上の部分に"ヴァンパイア・キス"をするのを拒んだ、とかいう噂を意識しているのだ。"気にしてないよ……全然。役柄なんだから。やるしかないだろう。エロティックと思う人も、思わない人もいる。そうだろう?”。彼自身はどうなのだろう。”性的な話ではあるよね”。慎重だ。だが、苛立っている。”でもヴァンパイアにとってのエロティックなんだ。ヴァンパイアには興味があった。この映画はホラーか? そう思う人もいるだろう。じゃ、エロティックか?そう思う人もいるだろう、ってことさ”。
 クルーズは急に無口になる。”自分で観てくれよ”という答ばかり。ついには”僕が映画をどう思うかなんて、どうでもいいだろう”と言い放つ。宣伝担当が、時間だ、と告げに来た。クルーズはしばし黙ってから慇懃無礼に言う。”すべてお答えしましたよね”。

ニール・ジョーダン監督の”ハリウッド・ゲーム”

 ニール・ジョーダンは監督として契約するときに、この企画が辿った長い迷い道のことを知った。”映画化の失敗は、吸血行為、つまりは血液の交換にドラッグやセックス、エイズの象徴(メタファー)の意味を持たせようとしたことが原因だ”とジョーダン監督。”象徴(メタファー)でもなんでもない。これは、ヴァンパイアになった人々の物語なんだ。僕は論理性を出したかった。邪悪さとは何か、光に触れることを拒絶した人間に何が起こるのか、ということさ”。
 ジョーダンは、ハリウッドでは災難続きだった。ドタバタ・コメディのはずの『プランケット城への招待状』では、アメリカ側のプロデューサーが一般受けするようにと新しい脚本家を雇い、最後には監督権脚本家のジョーダンを編集室から閉め出してしまった。次の災難は、ショーン・ペン、ロバート・デ・ニーロ出演、デビッド・マメット脚本による制作費2000万ドルのコメディ、『俺たちは天使じゃない』だった。彼の友人で今回、フランス人吸血鬼サンティアゴを演じるスティーブン・レイは”あのときは試練だった、と聞いている”と語る。”スターを演出するというより、スターと交渉していたというほうが実情だったらしいね”。
 ”コメディなんかやらなきゃよかった”とジョーダン。その後、アイルランドに帰って『スターダスト』と『クライング・ゲーム』を撮っている。『インタビュー~』についてスティーブン・レイは、こう語る。”監督は実に快適そうに見えた。プレッシャーはなかったようだ。疲労感以外にはね”。
 ジョーダンは、ハリウッドでのゲームに勝って嬉しそうだ。”大作映画は観客に敬意を持って語りかけるべきなのに、そんなことは珍しい。僕のような者が大作を避けてしまうのが原因かもしれない。映画を撮るなら、システムと手を組むことも仕事のうちだ。深みもあって大衆的な映画を撮るならね”。

映画を支える俳優たちのジレンマ

  ”前からヴァンパイになりたかったの。ホントよ”と12歳のキルスティン・ダンスト。長い金髪が背中に垂れている。”この映画に入る前からヴァンパイアに憧れていたの。牙もある奴よ”
 ダストンがキャスティングされたのは、運命だった。母親とビバリーヒリズでショッピング中にスカウトされたのだ。キャスティング・ディレクターのジュリエット・テイラーは“彼女は天子の容貌の裏側に、感情のパワーを秘めているの”と語る“喋っていると成熟した女性のようだけど、次の瞬間には少女戻っているのよ”“小さいのにすっかり現場を仕切っていたよ”とブラッド・ピットは笑う。ジョーダン監督は、クローテイア約はプロの子役と決めていた。“ズブの素人を使う気はなかった深刻な役だから、素人の子供には心の傷が残ると思ったんだ。僕にも娘が二人いるからね。こやくをりはびりしせつおくりにはしたくはないよ”
 5000人もの子供のオーディションをしたが、役柄の幅を出せる子役は少なかった。“イチャイチャするなんていう芝居ができないのよね”とテイラーの元同僚で最初にダンストに目をつけたジョアンナ・コルバートは言う。“キルテスィンにはできた。OK、セクシーにやればいいのよ、って調子よ”
 最終候補の3人に入ったダンスト。そのスクリーンテストには,トム・クルーズも参加した。“キルスティンとトムは似合いだった”とコルバート。“どっちがどっちを誘惑するかわからないくらいにね”
 彼女が唯一嫌がったのは、ブラッどとのキスシーンだった。“男とキスするのはゲーッだってさ”
 『インタビュー~』の撮影は、ルイジアナのミシシッピ-河口近くのないとシーンから始まった。その2週間後インタビュー役のリバー・フェニックスがドラッグの摂取過多で死亡する。“代役は誰かなと思っていた”というクリスチャンスレイターが役を手にした。“いい気分じゃなかったね。リバーが気に入っていたチャリティー団体にギャラを寄付しようと思ったよ。そりからこの役にユーモアを加えようと思った。だってインタビューの相手が自分は吸血鬼だなんて言い出したら、僕は頭がおかしいとしか思えないからね。監督に怒られたよ‘参加して1週間だが、君は台詞を全て変えてるじゃないか!’ってね。その通り、って答えたよ”
 一番激しい経験をしたのはブラッド・ピットだった。役柄自体も苦悩する人物だ。“笑えるほど悲惨なやつさ徹底して受身の役なんだ女優がどうして役柄に不満なのかわかったよ。実を持ってね。”
 クルーズより一つ年下だが、ピットはキャリアでは10年の遅れをとっている。“こんなに台詞が多いのは初めてだろういつもは地のままだからね”とジョーダン監督。“テクニックは持っていないんだ。舞台出身じゃないからね”
 ピットはルイのジレンマをそのまま内面に抱え、悩みつづけた。“ルイはのめりこみやすい人だが、ブラッドそうなんだ”とジョーダン監督“ブラッドは感情のままに生きている。トムは積極果敢で冷徹に演じきる。人生に対するアプローチが全然違うのさ”
 “つまり僕とトムは…、逆向きに歩いている”とピット“僕が北極なら,彼は南極。彼は会う人に明るく握手を求める(と、クルーズのマネをする)僕しないよ”クルーズは勤勉で野心的な、80年代のヤッピースター。ピットは90年代の申し子で、気まぐれ。感性とセックスアピールを武器に、マイペースでスーパースターへの道を歩んでいる。“どこかにライバル意識があったと思う。悪意はないけど、それで苛立っていた。でも彼は,トップにいて苦労も多いのにいい俳優だし、成長も見せた。尊敬に値するよ”
 うわさではピットの演技も好評だ。続編も期待しておこう。“大事故を生き延びたような気分だ。今なら笑い話さ”と、ピットは笑ってみせる。“でも、僕確実に何かを学んだ”


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