わすれ種の種  ゆっくりひなた風土記

こころ耕す 心ほどける

・・・退屈・をどう肯定するか・・・

ゆっくりひなた 徒然な風景。

つたわる。ゆっくりひなた。

2015年06月07日 | アーカイブ。選。
いい天気の朝。

利用者さん宅。

おかしいな、ピンポン押しても誰も出てこない。

83歳のおじいさん、かなり耳が遠い。

奥さんと二人暮らし。

「ごめんなさい、最近きちんと服着てくれなくて、困ってます」

やっと奥さんが顔を出してくれた。

「ズボンの裾も合わせてあるのに折り曲げるし、シャツも中入れずに外へ出すんです」

おじいさんが笑顔で登場。あら、シャツ出して、ズボン裾折り曲げてる。

「ゆうこときかなくて、もうだらしなくて困ってるんです」と奥さん。

「そうですか」と私は苦笑い。

奥さんの目に留まらない様に、さっと、おじいさんを車に誘導。

「行ってきます~」とすばやく発車する。

そう、私の服装もそのとおり、シャツだし裾まげ、状態。

ピンときた。

あれは私の恰好をまねした、している、のでは・・と・・・。

だらしないよな~、やっぱり、と、おじいさんに微笑みながら・・・。


市内のとある病院。

ショートステイ利用中に転倒し、脳出血で入院となった、

75歳のおばあさん、というより、見た目若いので75歳のT子さん。

そのT子さんのお見舞い。

体のあちこちに体交クッションがあててある。

胃瘻。その瞳は一転を見つめたまま。

4人部屋、他の患者さんも同様、静かな病室。

T子さんは、ゆっくりひなたにいる時は、私を旦那だと思っていた人だ。

私のことを、おとうさん、と呼び、他の利用者さんや、女性スタッフと話をすると、

激しく嫉妬し、時には物を投げつけ、激昂することもあった。

しかし、家に帰れば、もっとやさしい旦那さんが待っていた、私はそこで偽物にもどる?。

「T子さん」声をかけるが、返事はない。一転を見つめたまま。

手がむくんでいる、顔も少しむくんでいる、足も。

手をさすり、「T子さん」声をかける、

あっ、まばたきした、わかってる。と思ったが、見てると何度もまばたきしてる。

勘違いか・・。

手をにぎる。

あっ、おなかが鳴った。ぎゅるぎゅるぎゅる。

と思ったが・・・、声をかけてみる。ぎゅるぎゅる。

手をにぎる。ぎゅるぎゅるぎゅる。

「T子さん」、ぎゅるぎゅる。

伝わってるか・・・きっと伝わってる。


帰りの送迎。

66歳の女性、Kさん、交通事故で身体が思うように動かず、心にも重い不安症がある。

「きょうはどうでした楽しかったですか」と聞くと、

「あきません」の返事。

「どうしてですか、なんかあかんことあった、ごめんね」と私。

「あかんの」と再度。

「なんやろ、ごめんな、どこがわるかった、よかったら教えて」

「私があかんの」

「わたしがあかんの?」と私。いや違うと、彼女が、

自分が、きちんとできなかった事が、だめだった、と言っているとのこと。

今日一日、そう感じた時が、何度もあったんだと・・・。

私は、おもった。

あきませんがな!。

私はそれ以降、Kさんと一緒に毎日こう言って過ごした。

自分が悪いことない、世間が悪いんや!。と。

誰がなんと言おうと、自分が悪いことはない、世間が悪いんや。

「きょうはどうやった」

「たのしかったよ」笑顔で答えてくれる。




未来はわかっている、先はわかっている。

わかっていることは、

つまらない。

どんなに、楽しい工夫したって、計画したって、先がわかってしまうと、結局、つまらない。

つまらない、とわかっているなら、つまらなくならないようにしたい。

そう、

つまらなくならないようにしたいんだ。

驕りかな。

じゃあ、私自身がつまらなくならないようにしたいんだ。

ただ、

それが伝えたいの!。


こころ耕す。心ほどける。

桑名市播磨神社の前。

ゆっくり日向デイサービス。


人に迷惑をかけることはやっちゃいかん、と子供の頃からたたきこまれる。

この、迷惑、の捉え方に、深い考察がいく世間であることが、

つまらなく、なくなる、第一歩やと思うのです。