早突きの実戦と考察

相掛かり定跡の5手目の▲7八金を省略して先手がいきなり突っかけるとどうなるかを考察する部屋です。

対H15さん 第1局

2023-01-06 22:00:45 | Weblog

今回のお相手はH15さん。今回も前局同様、19手目の▲4五角(第1図)までいつも通りの進行となった。さて注目のH15さんの20手目だが…
△4七馬。これは前局の△6二銀ほど悪くはないが、やはり悪手である。この△4七馬は過去に5局、前例がある。
その前例局でもそうだったが、前々回のS18さんの△6二飛と同じく、この△4七馬に対しても▲5二飛の王手が成立する。成立する理由は△6二飛と同じなので、以下の手順も同じく△5二同飛▲6三角成。
ここで後手は2二の銀を守る手を指さなければならないが、前例5局は△2七歩と飛頭をタタいた人が2人。△2三歩と受けた人が2人。受けずに△8二飛と開き直った人が1人である。
さて、本局のH15さんだが、注目の指し手は△2五歩であった。これまでに出てこなかった新手である。
△2三歩と下から受けなかったことで2二の銀は確かに動きやすい。もしかしたら△3一銀~△2二飛のような構想なのかもしれない。
ただし△2五歩は馬の利きで受ける手なので、当面は馬が動けないというデメリットもある。こちらとしてはそこをついて▲5八金左という手も考えられるが、△5六馬と引けば桂アタリになるし、馬筋が2三の地点まで通るのが不満。よって私は▲8一馬だが、ここでH15さんはかまわず△6七歩とタラしてきた。初志貫徹だがそこまでしてタラす価値があるのだろうか。
私はすぐに▲6三桂を打っても良かったが、大事を取って▲5八金右とした。しかし△5六馬と引かれたことで次の△6八歩成が王手桂取りになってしまう。大事を取ったつもりが逆効果だったわけで、なるほど△6七歩は結構効果的なタレ歩だったと感心した次第。

気を取り直して▲6三桂△4二玉▲7一桂成(第2図)。ここで△6八歩成▲同金直△8九馬▲6一成桂△8八馬と一直線に取り合うのは、後手の馬の働きが悪くなり、飛車も確実に殺される展開となるので先手良しと思われる。
銀取りだが単純に▲4八銀と逃げていると△7六桂がある。ということで馬に直接アテる▲5七金打だが、これでH15さんの我慢が限界に達してしまった。
△5七同馬。これは暴発でキレ筋である。ここで暴れなければならないというのであればやはり直前の△6六馬がマズかったように思える。
馬を切って強引に△6六金と打ち込んできたが、清算して△4五桂では先手玉が詰めろにもならない。▲2五飛と攻めても良かったが、▲5六金と逃げて相手の攻めを干す方針。△4四歩に▲4六歩はその継続手。以下は△4四歩~△5四歩と玉のコビンを自ら開けて攻め合いを目指したが、これに寄って先手の寄せが早まった。
本局は19手目の「いつもの局面」から△4七馬という前例の少ない手が指された一局だったが、まずまず間違えずに対処できたと思う。

先手:わらいかわせみ61

後手:H15さん

2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲2四歩 △同 歩

同 飛 △8六歩 ▲同 歩 △8七歩 ▲2三歩 △8八歩成

同 銀 △3五角 ▲2八飛 △5七角成 ▲2二歩成 △同 銀

4五角(第1図) △4七馬 ▲5二歩 △同 飛 ▲6三角成 △6六歩

同 歩 △2五歩 ▲8一馬 △6七歩 ▲5八金右 △5六馬

6三桂 △4二玉 ▲7一桂成(第2図) △同 金 ▲同 馬 △6六馬

5七金打 △同 馬 ▲同 金 △6八金 ▲同 金 △同歩成

同 玉 △4五桂 ▲5六金 △4四歩 ▲4六歩 △6七歩

同 玉 △5四歩 ▲4四馬 △4三歩 ▲4五馬 △5五金

同 金 △同 歩 ▲5三歩 △同 飛 ▲6四角(投了図)

まで、先手の勝ち。