「怯えずとも良い。
貴様のような弱者に向ける刃など、私は持ち合わせておらぬ。
この刀は強気を挫くもの。
端から勝負にならぬ相手に抜いてやれるほど安くはない。
貴様などこの小刀で十分よ。
雑魚を相手に太刀を振るうなど、自身の名折れ。
私に抜かせたいのなら、もう少し腕を磨いてくるがいい」
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「誰になんと言われようとも、私はあの方の為だけに戦う。
例えそれが・・・、負け戦だろうとな。
あの方の望みが叶うのなら、私の命など惜しくはない。
あの方だけが、私の全てだ。
正否などどうでもいい。
あの方に仇成す者は全て私の敵だ。
故に、私はここにいる。
お相手、願い奉る」 . . . 本文を読む
「某(それがし)が信念を曲げてまで貴殿に下れとは・・・。
お断り申す。
納得がいかぬと言うのなら、某の首を刎(は)ねる覚悟をすることだ。
だがこの首、そう簡単にくれてやるつもりはないぞ?
本腰を入れて掛かってくるがいい。
だが、何れ雌雄を決する時も来ようが今はその時に非ず。
其方(そちら)としてもここで剣を交えるほど馬鹿ではなかろう?
無駄な諍いは好かぬ。此処は退かせて頂こう。
無用な血を流 . . . 本文を読む
「闇雲に刀を振るっているだけに見えるのは・・・、気のせいか?
重心も間合も、呼吸すらも出来ていない。
腕以前に、気持ちが弛(たる)んでいるんじゃないのか?
身にもつかん稽古をつける気はない。帰れ」 . . . 本文を読む
「刀を抜くとはいい度胸だな。
その覚悟だけは、認めてやる。
だが、俺に刃を向けたからには・・・、覚悟は出来ているだろうな?
途中で許しを請おうなどという甘い考えを持っているのなら、今すぐ捨てろ。
いくらお前が相手でも、俺に刃を向ける奴は敵と見なす。
まぁ、今まで一緒にいたんだ。
それくらいは言わずもがな・・だな。
まさかお前に刃を向けられるとは思ってもみなかったが・・・。
仕方ない。
久 . . . 本文を読む