U魂(ウコン)

◆『U.W.F』最強伝説を追い求める
36歳 おやじブログ

【闘議 シウバの誤算】

2007-02-27 | コラム 闘議

PRIDE 前ミドル級王者、これが今の
ヴァンダレイ・シウバ の”肩書き”である。
2月の最後の週末、8年振りのラスベガスで
メインイベントのリング上、マットに大の字に
倒れたのは、通例であった挑戦者ではなく、
王者ヴァンダレイ・シウバ本人だった。
長きに亘り防衛し続けてきたミドル級の
ベルトを失ったこの瞬間、ダウンの衝撃で
シウバは奥歯を2本折ったそうだ。
一昨年のミドル級GP準決勝、前試合で
”盟友”桜庭和志への傷口攻撃に怒り、
敵討ちと銘打って、サクの形見の阪神帽を
かぶって出陣し会場、いや日本中の期待を
一身に背負いヒカルド・アローナの成敗に
向うも判定負けに終わる。以降、多くの人が
シウバに対し不変説より限界説を唱えだした。
昨年の無差別級GPのミルコ戦はともかく、
今回、実質的に階級下であるはずの
ダン・ヘンダーソンにパンチでKOを
喫するとまで誰も想像しなかっただろう。

とにかく、ここ3年ほどクリチバの英雄、
ヴァンダレイ・ダ・シウバはツキがない。
プライベートでは、株で大損したり、
強盗に襲われ愛車を強奪されたり。
まさに踏んだり蹴ったり。余談はさておき、
では、直接的な敗因は何なのか?
榊原代表が発言した様に、体調不良による
調整不足や、当年30歳というピークを
緩やかに下りだす年齢が起因しているのは
確かに否めないが、それ以上に僕は、
2つの異なる要素が大きく影響したと考える。
1つは毎度の事ながら、人気選手ゆえに
過度なオファーによる、これまでの試合での
肉体的累積ダメージ。そして、もう1つは…
PRIDEの米国進出によって浮き彫りと
なった事実、前説では記述しなかったタブー
”ドーピング”の影響だと思う。
ベガスで開催される全てのMMAの大会は
ネバダ州アスレチック・コミッションによって
ドーピング検査が必ず実施される。
現に前回のラスベガス大会でも実施され
パウエル・ナツラ以下数名が検査でポジティブ
つまり陽性反応が出ている。
そして、DSEが選手と交わす契約書には、
ドーピングを容認する項目も存在している。

シウバの筋肉量を見る限り、ステロイド系薬品、
つまり筋肉増強作用のある蛋白同化ステロイドや
ナンドロロン等を日常的に摂取している可能性が
あると思っている。同時に試合の際に見せる
異常なまでの興奮状態と鋭い眼光から、
メタンフェタミンやエフェドリン等の
興奮剤の使用も疑わしいと感じる。
つまり、シウバはナチュラルでは無いと
僕個人は今日まで、ずっと思ってきた。
但し、日本開催のPRIDEでは規定が
無い為、ドーピング自体は問題視されない。
しかし、今回はドーピングチェックの厳しい
ベガスでの試合、検査を警戒して、事前の
薬物使用を控えて自然体で挑んだと想像される。
それと長年、薬物使用していると仮説して、
シウバの肉体に”副作用”という名の
異変が出てもおかしくない時期でもある。
まだ、記憶に新しいマーク・ケアーの場合とは
ケース的に異なるが、シウバにも必ず
肉体的リミットは何れ訪れる筈だ。
そもそも、日本人はドーピング=卑怯と
解釈しているが、どんな競技でも秘密裏では
あるが根付いているのが現状らしい。
しかも、薬物注射ではなくサプリメントとして
栄養補給剤の如く摂取するのが一般的で、
常用者自身も罪悪感を持っている人が
少ないのだと聞く。
これまでPRIDEはルール上の規制が無く、
ドーピング検査は実施していなかった。
が、米国開催を継続させるのであれば、
避けて通れない由々しき問題である。
早めに対策を考えないと選手が路頭に迷う。
長年、総合格闘技を見てきた上で、尚且つ
2年前にスポーツ医療の専門医の方と話す
機会に恵まれ、医学的意見を聞き、検証した
仮説を含んだ話になったが、この仮説は
極めて可能性が高いと思っている。
だからといって、敗戦の言い訳を絶対に
口にしないサムライ・シウバを叱責する
気もない。シウバが良い選手である事には
変わりない。だからこそ、体を大切にして
欲しいと願う。



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