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気のおもむくまま。たこやきの日記的雑記。

幼生生殖。生物は何故生きるのか。(β版)

2005-07-01 | ネタとしての生物学
幼生生殖って、ご存知ですか?
昆虫ネタ続いて、苦手な方には申し訳ないんですが……(と言っても、連続投稿してるから、大抵の人はコッチ読むのが先か)

タマバエという、よく虫こぶを作る寄生性のハエが有名ですね。
エグイ話なので苦手な方ご注意~。

幼生生殖は「単為生殖」の一種として、よく生殖系の話で出てきます。
単為生殖というのは、一言で言ってしまえば母親だけで子供を生むことです。
で、ナニをするかと言いますと。

メスの幼虫がいます。そのお腹の中には、卵があります。
普通卵は成虫になってからでないと成熟しないし、成熟したところで、お相手を見つけなけりゃひとりでに分裂・成長を始めたりしません。
でも、幼生生殖をするタマバエの幼虫のなかでは、勝手に卵がどんどん成熟し、更には精子もなしに発生(卵が細胞分裂して成長を始めること)を開始してしまいます。
で、どうなるかというと。
どんどん発生が進んだ卵はとうとう幼虫の中で孵ってしまい、幼虫の中に幼虫が生まれます。7匹~多ければ30匹くらい。
そして中に生まれた幼虫は、外側の幼虫の体を食べて成長し、食い破って外界に出ます。
そしてその食い破って出てきた幼虫の中にも卵があって、それはどんどんひとりでに成熟・発生していって……。

という次第。

これを聞くと、大抵皆、「それ、何の為に生まれてきてるの?」と思うようです。私も思いました。
気色悪さを越えた「怖さ」があると思いませんか?
そんな彼らと、私たちは「生物」であるという一点において同じなのです。
私たち生物は、一体何のために生きているんだろう?

周りの野生動物たちを見れば答えは単純明快です。「子孫を残すため」と。
それだったら、幼生生殖でもなんら不都合はないわけですよ。無論タマバエもちゃんとオスがいて、全てが幼生生殖するんじゃなくて、ちゃんと成虫になって有性生殖……オスとメスで子供を作ったりもします。
なぜなら、単為生殖(幼生生殖は単為生殖の一種です)では、母親だけで子供を作ります。すると、出来てくる子供のバリエーションがどうしても限られてしまうんですね。
バリエーションが少ないと、大きな環境変動があったときに、生き残りが出る確率が低くなります。あらゆる環境の変動に対して僅かにでも生き残るために、有性生殖は重要なんです。

だけど寄生虫系の生物の中には、タマバエのように、それ以上に、とんでもない生活環(どう生まれ、どう育ち、どう子孫を残すか、という生物の一生のサイクルをこう呼びます)を持っているものも多い。
それだけ『寄生』というのは、ハイリスクな生き方ということかもしれません。
だって、寄生する宿主に会えなければ、生きていくことができないんですから。
寄生虫のうちで、同じく幼生生殖(混合生殖というらしい。幼生生殖と他とを混ぜこぜでやるみたい)をする(しかもこっちは二段構えの幼生生殖!)アロイオゲネシスという吸虫なぞはなかなか迫力があります。

こういうえげつない話も、小説のネタだと思ってみれば、妄想の種になったりしませんか?

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