2月16日 長野県白馬村
白馬の山々が綺麗に輝き、驚くほどの快晴だった。
全日本選手権。
この試合を最後に僕は競技を引退した――
小学校二年生の夏。
近所の兄さんに誘われて、地元のスキー少年団のバーベキューに行った。
そこで出会った地元のスキー人に誘われて、何もわからないまま始めたスキーだった。
小学、中学、高校、大学と、スキーを中心とした生活を送った。
全日本チームにも選抜され、
ワールドカップ、ユニバーシアード、海外遠征。いろんなところに行った。
スキーを始めてからの17年間。すべてがスキーだった。
『 薄井智行 = スキー 』
自分からスキーをとったら、自分は何なんだ??
そう思うくらいスキーの人間だった。
遠くへ飛びたい。速く走りたい。
それだけを追求する毎日。
楽しくて仕方なかった。
時間がいくらあっても足りない日々。
スキーが自分の心から離れる時はなかった。
でも楽しいことばかりでもない。
調子を落として悩む日々。
ジャンプで怪我をし、顔の骨を折ったときも、入院中の病院でトレーニングを続けた。
代表に選ばれず、涙も流した。
“自分は将来オリンピックに出て金メダルをとる”
ずっとそう想い、そうなると信じていた。
そんな漠然とした小さい頃の夢を、心の片隅に抱いてきたが、夢は叶わなかった。
いくつもの数えられない経験があったからこそ、スキーの本質を知ることもできたし、自分自身も成長できた。
最後の試合――
ジャンプを飛んだ記憶がなかった。
いつ自分がゲート位置からスタートしたのかもわからない。
飛び出しも、空中も、着地も。。
気がつくとスキーを履いたまま電光掲示板を見上げている自分が雪の上に立っていた。
クロスカントリーでゴールしたあとに疲れ果て、倒れこんで見上げた空は今でも忘れられない。
意識がはっきりしない中でも、あの綺麗な空は頭に焼きついている。
その空がすべての自分を受け入れてくれるようで、なんとも気分が良かった。
今まで自分がスキーをする中で、何を人に伝えることができたのだろうか?
何を感じてもらえたんだろうか?
目立った成績もないし、印象が強い選手でもなかったから
あんまり自信もないけど、少しでも何かを感じえもらえたならそれでうれしい。
自分からスキーをとったら何も残らないと思っていた。
でも、僕はここにいる。
スキーを通して成長した自分がいる。
これも、スキーをしていたからこそ出会えた人々。
ずっと応援してくれたひと。
いろんな人が“薄井智行”という人間を成長させてくれたおかげだと思う。
これからの自分は想像もつかない。
どんな “good life” になるのか自分でも楽しみです。
最後に、一緒に戦ってきた選手をはじめ、僕のスキーに関わってくれたすべての人、
そして、長い間僕を信じて応援してくれた家族に心から感謝します。
“ありがとう”
薄井 智行
白馬の山々が綺麗に輝き、驚くほどの快晴だった。
全日本選手権。
この試合を最後に僕は競技を引退した――
小学校二年生の夏。
近所の兄さんに誘われて、地元のスキー少年団のバーベキューに行った。
そこで出会った地元のスキー人に誘われて、何もわからないまま始めたスキーだった。
小学、中学、高校、大学と、スキーを中心とした生活を送った。
全日本チームにも選抜され、
ワールドカップ、ユニバーシアード、海外遠征。いろんなところに行った。
スキーを始めてからの17年間。すべてがスキーだった。
『 薄井智行 = スキー 』
自分からスキーをとったら、自分は何なんだ??
そう思うくらいスキーの人間だった。
遠くへ飛びたい。速く走りたい。
それだけを追求する毎日。
楽しくて仕方なかった。
時間がいくらあっても足りない日々。
スキーが自分の心から離れる時はなかった。
でも楽しいことばかりでもない。
調子を落として悩む日々。
ジャンプで怪我をし、顔の骨を折ったときも、入院中の病院でトレーニングを続けた。
代表に選ばれず、涙も流した。
“自分は将来オリンピックに出て金メダルをとる”
ずっとそう想い、そうなると信じていた。
そんな漠然とした小さい頃の夢を、心の片隅に抱いてきたが、夢は叶わなかった。
いくつもの数えられない経験があったからこそ、スキーの本質を知ることもできたし、自分自身も成長できた。
最後の試合――
ジャンプを飛んだ記憶がなかった。
いつ自分がゲート位置からスタートしたのかもわからない。
飛び出しも、空中も、着地も。。
気がつくとスキーを履いたまま電光掲示板を見上げている自分が雪の上に立っていた。
クロスカントリーでゴールしたあとに疲れ果て、倒れこんで見上げた空は今でも忘れられない。
意識がはっきりしない中でも、あの綺麗な空は頭に焼きついている。
その空がすべての自分を受け入れてくれるようで、なんとも気分が良かった。
今まで自分がスキーをする中で、何を人に伝えることができたのだろうか?
何を感じてもらえたんだろうか?
目立った成績もないし、印象が強い選手でもなかったから
あんまり自信もないけど、少しでも何かを感じえもらえたならそれでうれしい。
自分からスキーをとったら何も残らないと思っていた。
でも、僕はここにいる。
スキーを通して成長した自分がいる。
これも、スキーをしていたからこそ出会えた人々。
ずっと応援してくれたひと。
いろんな人が“薄井智行”という人間を成長させてくれたおかげだと思う。
これからの自分は想像もつかない。
どんな “good life” になるのか自分でも楽しみです。
最後に、一緒に戦ってきた選手をはじめ、僕のスキーに関わってくれたすべての人、
そして、長い間僕を信じて応援してくれた家族に心から感謝します。
“ありがとう”
薄井 智行