うるしのまわり

   塗師の日々から

修理あれこれ

2007-12-14 | 漆・工芸品の修理、金つぎ
修理する品物を下準備として詳細に調べていると、
その品物に対する様々な思いが伝わってくることがあります。

どのような材料と技法を用いているのかを通して製作者や発注者の意図が。
現状を通して使い手の性格や思い入れが。
古いものであれば過去の修理歴を見て修理者の技量が。
そして悲しいことですが、ごくたまに悪意も透けて見えることがあります。

手元に、1840年代に作られた会津塗の重箱が来ています。
木地はしっかりとしていて塗りもうるし絵も丁寧、中身と表面がバランス良くできている佳品。
長年にわたって愛用されてきたのであろう ちょっとした縁のアタリキズは多数あるものの
総じていい味わいに、遠目には見えます。

ところが、目を近付けると黒い物体が無数に付着。
どうも欠けて木地が見えているところを隠すつもりで、
樹脂らしきものをテキトウに塗り付けたようである。しかも余計な所にもベタベタと。。
その物体の正体は不明ですが、とてももろく補強の意味がゼロなのは明らか。
修理なり樹脂なりに精通した人間の仕業とも思えず、
売り抜けることだけが目的の誰かが、、ということでしょうか。

一方で、もっと詳しく見てみると、過去に一度きちんとした修理を受けていることが分かりました。
一般の人には分からないような実に丁寧な仕事です。
それに気付いた時には本当にうれしくなりました。
光と影のコントラストがこんなにも強い古物も珍しく、忘れられない品物になりそうです。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
共繕いはお願いできますか? (玉兎)
2008-02-06 16:32:00
えーと。陶磁器(古い紫泥急須の蓋)の入の共繕いというのはお願いできるのでしょうか?可能であるのならば岩淵さんと連絡を取りたいのですが、どこかの道具店に問いあわせるとよろしいでしょうか?お手数ですがご教示いただけますと幸いです。
返信する
共繕い (岩渕)
2008-02-07 00:07:56
玉兎さん>
はじめまして。

急須の蓋の共繕いをお考えとのこと。
共繕いも手掛けておりますが、
ものによっては向き不向きなどがございます。
実物の状態を検討した上で、どのような手法が適しているかを判断いたします。したがいまして、現段階では確たることは申せません。

一度、下記のアドレスまでご連絡いただき、詳しいお話を伺いたいと思いますがいかがでしょうか。

urusinomawari@mail.goo.ne.jp
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