うるしのまわり

   塗師の日々から

うるしの機能 その二

2007-01-16 | うるしのまわり
今回のうるしの機能は「接着」です。

ものをペタリとくっ付けるという意味では
蜂が巣をつくるときに、木の枝などとの接合に
漆を使っているそうです。

漆工芸の技法の中に、みなさんもご存じの蒔絵があります。
漆を筆で塗り付けたところに、粉状の金をパラパラ蒔きます。
金粉が漆と一緒に固まったら、また漆を金の上にかけて乾かし
のちに研いで磨くと 金の絵ができあがるという具合です。

これまでの貼り付けている画像も蒔絵の作業です。

蒔絵で漆が果たしている役割はさまざまです。
まず金粉を器の表面にくっ付ける、接着。
金粉の上に漆をかけて、金粉どうしの固定、細かい隙間の充填。
研磨した金粉の発色・ツヤだしの補助。 
ざっとこむずかしく言うと
これだけのことを一手に引き受けているのです。

身近なものだとセメントが似ているでしょうか。
ブロックをつなぎ合わせて塀をつくったり、
鉄筋などに隙間なく流し込んで建物を形作ったり、
時にはコンクリート打ちぱなしで表面を飾ったりと
けっこう似た役割をこなしています。

いずれにしても特殊技能には違いないのですが
それぞれの場面での程よい扱いやすさ、
これが漆の利用がものすごく発達した大きな理由です。

漆工芸の技術は鎌倉、室町時代にすでに完成され
華麗な装飾技法は江戸時代にピークを迎えています。
うるしでやれることは出尽くしたようにも見えますが
まだ終わりではなさそうなんです。

そのあたりのお話は、次回の機能話にて。
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