世界一周クルーズ (第46章)

2007年07月01日 | 世界一周クルーズ

 

世界一周クルーズ (第46章) BY 芝原 稔

いよいよサンフランシスコ

4611 次の寄港地、サンフランシスコまで三日間の終日航海である。風邪気味でなかなかすっきりとしない。やはり狭い空間での長い生活でストレスもたまる。それとここ数日の気温の急激な変化である。12時の気温を見ると、21日26度、22日28度、23日32度、24日22度、25日18度である。船内は自動調節といいながら外気温には微妙に影響する。ヨガの先生の言によれば、急に気温が下がった24日・25日は出席者が減ったようである。

24日は文化祭、私は水彩画を一点出展(写真・右上)、出すこ4612 に意義があると言い訳をしながら。400人近くいるとこんな隠れた才能があるのかと驚く作品がある。毎食に使われるランチョンマットを利用した短歌・俳句、木の葉で作られたコオロギ、クロスステッチなどなど。木の葉で作ったコオロギにはいたく感心、翌日入門作ってみた。

27日はいよいよ待望のサンフランシスコ入港である。ゴールデン・ゲートをくぐるのは明朝6時15分とのこと、早く就寝、翌日に備えた。

太平洋からのサンフランシスコ訪問は勿論初めてである。「霧のサンフランシスコ」、「思い出4613 のサンフランシスコ」、「ヒッピー発生の街」、なかでも40数年前、貧しかった日本の国の秀才たちが、アメリカのフルブライト奨学金制度で数多く渡米・留学した。当時は船底のキャビンで2週間以上かけて。サンフランシスコ港が見えたとき、彼らは歓喜の声を挙げたに違いない。敗戦後廃墟の中で、食べるものにも事欠いていた私も、まさか船でこの地を訪れることが出来るとは夢想だにしなかった。6時前から朝靄の中、街の明かりが微かに見え始め、やがて巨大な赤色のゴールデン・ゲート・ブリッジ(写真・トップ)をくぐる。左舷にはかっての絶対脱獄4614 出来なかったといわれるアルカトロス島(写真・右上)が見える。山にはい上がるビルの群、ビルの谷間の坂道も見える。文明の成果・富の象徴を歌い上げている。港にはためく星条旗が誇らしげに我々を迎える。無数のカモメが乱舞し船を追う。富める国の海か?カモメの数もここは圧倒的に多い。ピア39(写真・左)に7時に入港。ここへの入港はクネクネしない。堂々と90度曲がり直線的にはいる。今回めぐる港の遠景・港の美しさ・設備・街へのインフラなど点数を付けてみたが、サンフランシスコは圧倒的に一番である。残念ながら横浜・神戸など遠く及ばない。

だがここには、病めるアメリカの現実があった。大変厳しい入国審査である。ビザが必要。もちろん全員の対面審査。船内のメインホールで11階から9階へと順番に時間をかけて。並んで見ていると、厳しい審査官、要領の良い審査官などまちまち。一般的には夫婦は早くシングルは厳しいようだ。私の場合、パスポートを見てGOODとひと言、いとも簡単。港に出る。薄曇だがブーゲンビリア・アザレア・ペチュニアなどが咲き乱れていた。

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先ずはサンフランシスコ自慢のケーブルカーに乗る。一回5ドル、一日乗車券11ドル、数回乗れば儲かると浅はかにも一日乗車券を買う。乗り心地悪し、景観きわめて良し、黒人の車4616 掌も愛想良し、乗客は友好的で陽気。写真右は同行したF夫妻。急な坂道を登りきると、街並みと海が絵葉書のように美しく見える。終点近くのユニオン・スクエアで下車。今日は何曜日と尋ねるほど人出が多い。メイシーズデパート(写真・右)でショッピングを楽しみ、中華街でも下車して冷やかそうと相談していたが、ケーブルカーはすべて満員、なかなか乗れない。ケーブルカーのぶら下がっているのを見るが、案外厳しい人数制限、黒人の車掌と運転手が厳しくチェックしていて乗せてくれない。小錦のような車掌がおりれば、数人は乗れると思うが。おかげで5~6回の乗車で儲かるはずの一日乗車券は使えず。市当局はこれを見越して安くしているのか疑いたくなる。

4617 サンフランシスコのフィッシャーズ・ワーフでの蟹の味は忘れられない。ピアー39付近をいろいろ捜すが、目当てのレストランは見つからず別の店に入る。念願のクラム・チャウダー二人で一皿と、蟹を半分ずつ、どちらも絶品。声も立てずに蟹をほじくる。二人で70ドル。ケーブルカーのこともこの味で帳消し。素晴らしい一日で4618 あった。参考までにフランシスカン・レストラン(ピアー39)の味は抜群、サービスもまあまあ、小奇麗で海の展望も良かった。18時出港、デッキは風が強く寒い。だが思いは同じか、大勢が寒風の中デッキで消え行くサンフランシスコの港を、街を、ゴールデンブリッジに別れを惜しんだ。太平洋は波高く、相当に荒れるとの報道があったが案外静かな海だった。

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