プラチンブリの風 第11章

2010年03月28日 | プラチンブリの風

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プラチンブリの風 (第11章) 政 局 By Harry H.

このところ、毎日のようにタクシン支持派(UDD)のデモが、マスコミで報道されている。本年2月、最高裁判所が、タクシン氏のタイにおける所有財産(2000億円)の6割を、違法収得として国庫に没収することを決定したからだ。

デモは、バンコクを中心としたもので、過日は、デモ参加者から採血して、それを政府関係の建物に振り撒くという、いささか血なまぐさい行動に出たが、全体的には過激な行動には出ておらず、治安部隊も、それを見守っているという状況だ。

会社のタイ人で、毎週のように実家のあるバンコクに帰っている人に聞いてみるMar27_bkk_a003_2と、“危険ではありません。デモは限定的です。でも、バンコクに行くときは、黄色や赤いシャツは、来て行かないこと”とのアドバイスを貰い、3月末、一カ月ぶりに、バンコクを訪れて見た。確かに、バンコク都内は、あちこちでピックアップ・トラックやオートバイに乗ったデモ隊に出会ったが、交通が少し渋滞するくらいで、特段の混乱はない。今回のデモに対して多くの都民は、FOR(賛同)でもAGANIST(反対)でもなく、NEUTRAL(中立)な立場で、デモを冷静に見守っているという感じだ。極めて僅かではあるが、歩道から赤い布切れを振って、デモ隊を応援する都民も居る。

都民は、タクシン派をサポートすることはしないものの、現政権(アピシット首相)にも、不満があるのであろう。昨年10月、アサンプション大学が実施した世論調査(18才以上の男女有権者:4286人)によると、“首相にふさわしい人は、誰?”という質問に対し、タクシン氏の25%に対し、アピシット氏は21.6%と、依然としてタクシン氏の人気は健在である。

国内だけでなく、昨年11月以降、タイとカンボジアとの関係も、険悪になってきている。カンボジアがタクシン氏を同国の経済顧問に任命したことが、発端だ。カンボジアは、タクシン政権時代に合意した経済開発事業の復活をにらみ、タクシン派の政権復帰を後押しする狙いがある。この任命に対し、タイは“内政干渉”と反発し、大使を召還、カンボジアも大使召還で応戦した。暫くは、緊張の続くタイ国政情である。

デモの映像ファイル 「2010MAR27-BANGKOK.wmv」