サイフォンの向こう側

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バレリーナ考

2005-03-21 | ためになるかもしれない話
今更言うのもなんだが、バレエというのは、はっきりいって差別の世界だ。
ヨーロッパの伝説やら、ヨーロッパの文豪が書いた話やらが下敷きになっているので、出てくるのはほとんど白人(100パーセントに近いか?)。
またバレエダンサーの容姿は「美しくなければいけない」と相場が決まっている。
容姿端麗なのはもちろん、女の子は小さくて華奢でなくてはいけないし、男性もそれに見合うように大きくなければいけない(女性をリフトする関係もあり、それ相応のたくましさも要求される)。登場人物たちもそれなりにバランスがとれてなければ、「おとぎ話」の世界は再現できないわけで。

しかし、それも少しずつ変わっているのだろうか。最近活躍しているダンサーたちを見ていると、そんな風に思えてくる。

フリーでも十分食ってけるのにも関わらず、たま~にコベントガーデンでも踊ってくれるシルヴィ・ギエムなんか、めちゃめちゃ大きいし(パリ・オペラ座からイギリスのロイヤルバレエに移籍したのは、もう何年前だったか・・・?)。
多分並の男の人より大きいんじゃないのかな・・・。近くで見ると結構細いんだけど、上背があるせいか、「ぐわっ、ゴツイ!」とつい思ってしまう。「ポワントの上に自我が成立している」といわれる彼女のオデット(白鳥の湖の主役の姫)は、確かに「王子なんか必要ないだろう」と思えるくらい力強く、自立している。
私は、彼女こそ「強い女性の時代」を象徴するプリマドンナだと勝手に思っている。そんな彼女のダンスは、日本でも相変わらず人気だ。

あと、個人的に大注目しているのが、ロイヤルバレエのカルロス・アコスタ。
キューバ出身の彼は、黒人ながらもその圧倒的な技量で他を寄せ付けず、現在ロイヤルバレエのプリンシパルになっている。先日新婚旅行で彼の踊りを見てきたが、その優雅な身のこなしと高いジャンプ力に魅了された。ここ数年見てきたダンサーの中でも、特にうまい。「お、王子がそこにいる~」とドキドキしてしまった・・・。相手役の女の人なんて眼中に入らない。目がクギヅケ!

ロイヤルバレエは昔からいろんな国のダンサーをプリンシパルに迎えていて、日本人のトップダンサーも何人かいるんだけど、正直「ここまで開けてきたか!」と驚いた。

伝統と格式の世界でも、ハンデがハンデでなくなる時代が近いのかもしれない。これからが楽しみ。
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