月にかかる虹

あまのじゃくで好奇心いっぱいなおばさんの日常、非日常

第八候・桃始笑(ももはじめてさく)

2017-03-12 05:07:43 | 七十二候
新暦三月十一日から十五日頃・桃の花が咲き始める時期

中国に伝わる不老不死の女神・西王母(せいおうぼ)は、三千年に一度実がなり、食べると長生きができる桃を持っていたと言われている。
ところがいつしか、普通の桃も『三千年草(みちとせぐさ)』と呼ばれるようになり、桃は長寿の象徴となった。

『桃の節句』も、本来は三月最初の巳(み)…「上巳(じょうし)」の日に、長寿を祈って桃の花を浸したお酒を飲む風習だった。
ちなみに、上流から盃を流して歌を詠む『曲水(きょくすい)の宴』も、この時期に催された行事である。

そういえば、『桃始笑』は『咲』ではなく『笑』となっている。
昔は、花が咲くことを『花笑み』といっていた。
花のように笑うことも『花笑み』という。
桃が笑って、人も笑って……。
これが長寿の秘訣なのかもしれない。

桃の花が咲く頃、雪や氷がとけて、大量に流れ出す川の水を『桃花水(とうかすい)』という。
雪国では、洪水の被害もあるかもしれないが、美しいこの名前は、春への思いの大きさを表しているかのようである。
勢いよく力強い水の流れは、そのまま季節の流れ。
一気に春へと流れ出すようだ。

我が家は、玄関脇に花桃を植えている。
横に広がらず、ほうきをさかさまに立てような姿の八重の桃だ。
実は梅の実位にしかならず、食べれば美味しいのだが、種が大きく食べれる果肉はほんの少し。
一度、台風でほとんどの実が落ちてしまい、残った一つの実は普通の桃の半分位に育った。
食べごろ近くになった頃、また、台風が来て落ちてしまった。
まだ、少し若かったけど、まあまあ甘くて美味しかった。

我が家の花桃は、桜より少し早めに咲く。
沈丁花の花が終わった頃に。


コメントを投稿