鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

秋草群蝶図鐔 加賀象嵌

2010-02-20 | 
秋草群蝶図鐔 加賀象嵌

 
秋草群蝶図鐔 無銘加賀象嵌

 色合いに変化を求め、金の調子を二色三色にし、銀、朧銀、素銅を組み合わせるなど多重な色使いとし、また、金線描写によって面に小縁を付けるなど、多彩な描写を試みたのが写真の鐔。一方の面には秋草のみを、また一方には蝶のみを濃密に文様表現している。古典的な秋草群に秋海棠(しゅうかいどう)を加えているところが新しく、爽やかな趣がある。丸形の赤銅地を平滑に仕上げ、平象嵌に切り口鋭い片切彫を加え、鮮やかさを高めている。葉脈を片切彫で表わし、鑑賞の際の光線によってそれが鋭く浮かび上がるような効果も狙っているのであろうか、蝶の文様に切り施した片切彫も鮮やか。もちろんここでも細い線描写になる平象嵌が装飾の要。これでもかというほどに華麗さを追及した、加賀象嵌の極致と言い得る作品である。時代の下がった製作であろう、写真は大刀鐔一点の表裏のみだが、大小揃いである。

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