福井鉄道 駅前軌道延伸問題に思う

　福井鉄道との相互乗り入れや福鉄路面区間経由でのJR福井駅前乗り入れが検討されていたえちぜん鉄道は，新幹線駅の高架案変更により現行の2路線とも乗り入れできるようになり，JR福井駅西口への乗り入れ（電車通り経由）は無くなる。福鉄・えち鉄の相互乗り入れについても未定。福井鉄道単独での西口広場乗り入れの是非・駅前商店街のモール化の点から，福井鉄道のJR駅西口への軌道延伸問題は再考が求められるのでは？

（関連）
・再開発か維持か　福鉄・福井駅前周辺（中日新聞（日刊県民福井）2012年5月28日）


　ただし，話は逸れるが（あくまでも一個人の意見と見てもらいたいが），駅前商店街をモール化した場合，イベント時に大きな効果を発揮することは期待できるものの，その他の日常においても現状以上の集客を見込めるようにするには，相当の努力が求められると思われる。

　例として，旭川の話になるが，ＪＲ旭川駅に隣接する「平和通買物公園」（買物公園）（約1kmの通り）もまた，路面電車（馬車鉄道）のある車道→車道（鉄道路線廃止）→歩行者天国となった通りである（今年40周年を迎える）。買物公園は人の出入りが多い駅西口からすぐ見える場所にあり，この点では福井駅前商店街よりも有利であるだろう。

JR旭川駅西口より。正面が平和通買物公園。（2011.4）

買物公園（1条通交差点付近）より，JR旭川駅方面（2011.4）

買物公園（通りの南端（JR駅側）より北方面）（2011.12）

　しかし，旭川もまた福井と同じく人口の郊外流出と大型郊外店の開業が進んでおり，買物公園周辺の大型店や地元書店（丸井今井（→Feeealに），エスタ（閉業予定），冨貴堂書店）などが閉店，商店街の空洞化が進んでいる。イベント時には会場としての効果を発揮し賑わいをみせているものの，日常においても賑わいを継続するには，相当の取り組みがなければならないように感じられる。

（参考：ライナーネットワーク　旭川平和通買物公園40周年記念特集　2012年6月1日）



　福井鉄道の駅前路線の廃止は（個人としては）考えていない。が，駅前商店街のモール化への決意は並々ならぬものがあることも，これまでの報道等から容易に見て取れる。しかし，路線を廃止しモール化を実現するとしても，旭川の例を見る限りでは，イベント時以外でも継続的な賑わいを創出する（単に人通りが増えるだけでなく，商店街の売り上げに直結する）ためには，想定される以上の努力をしていかなければならなくなるのではないだろうか。一方で，福井鉄道の超低床車両（いわゆるLRV）の導入やLRT化だけを進めても，福井鉄道の改善にはつながるが，駅前商店街の活性化やあるいは路線の通るその他の地域のまちづくりには結びつかない。

　鉄道事業者と商店街など当事者での取り組みでも恐らく限界があると思われるので，行政あるいは地域住民（できれば地域に住む第三者としての立場の人々，あるいは利害関係の少ない若い人々）の積極的な関与が必要となるのではないか。閉鎖的な地域の問題（当事者それぞれの中だけの問題）となりがちだが，意見交換・吸い上げのできる仕組みづくり（これはインターネットでも良いのでは？）をつくり，行動する機会を積極的に設けても良いのではと感じている。原発反対運動にみられる感情が先行した行動やいわゆるプロ市民の運動のような過激な行動でもって訴えるのは好ましくない（むしろあってはならない）が，地域の将来を広く求め考える場をもっと積極的に設け，意見を出し合うべきではないか。悶々としたものを感じる。


（関連）
・ＬＲＴはまちづくりの目的ではない　富山ライトレールの室氏講演 （福井新聞 2012年5月27日）