昨日「ディア・ドクター」みてきました。
何がびっくりって・・・、
公開日から1週間まだたっていないからということはあるにせよ、
単館系のロードショーで、劇場の規模が小さいといういうことはあるにせよ、
満員御礼という感じで人がすごく入っていました。
私がいった映画館は、水曜日はレディースデーではなく、サービスデーということで、男性も含め1000円になるところなのでそれもあるかもしれませんが・・・
って今気づいた!1日だ!映画の日でもあったんですね。
それにしても、出足好調な感じでした。
●「ディア・ドクター」
監督 西川美和
出演 笑福亭鶴瓶・瑛太・香川照之・八千草薫・余貴美子
★★+(よかったです)
この映画を観終わって感じたこと。
これって、「小骨がささった感じを楽しむ映画」なんだって。
決して、否定的な意味で使っているんじゃありません。
ストーリーは、村のたただ一人の医者伊野(鶴瓶)を絶対視する村人達、奇妙な共存関係にある看護婦(余貴美子)と製薬会社の営業マン(香川照之)、伊野にある意味心酔していた研修医(瑛太)、そして伊野に診察してもらい徐々に心を開きつつあった未亡人(八千草薫)、この人々と伊野との関わりの様子と、突然の失跡をきっかけに明らかになっていく事実を前に起こっていく心の変化のようなものが描かれています。
みんな、結構手のひらがえしのようにね、あれだけ伊野のことを頼りにしていたり、すばらしいと言っていたのに、伊野の正体が明らかになると、発言が保身に走るんですよね。
そしてね、伊野自身もね、はじめはちょとしたことからはじまった嘘が、周囲によって美化され大きくなっていくことに、とまどいや恐れも感じつつ、でも「来た球は打ち返すしかない」そうやって打ち返していくことが快感だったり喜びにつながっていってズルズルときてしまっている。
何か、そういう全部をひっくるめて誰も悪くないし、誰もが善人でもない、そして背景には、無医村などへき地医療の問題などいかんともしがたいことがあって。
何が本当のことで、何が偽物?
何が善で、何が悪?
望んでいたことと、現実そうしなくてはならないことのギャップ。
すべてが渾然一体となっている、それが「小骨がささった感」です。
監督はそこで何か安易な解決を見出してスッキリしてしまうことを、あえてさせてくれないそういう感じがあります。
そして観終わって、「ゆれる」もそういえば何か割り切れなさというか、いかんともしがたい思いが残った映画だったなって思いだしました。
監督の西川美和さんの人間の描き方がそうなんですよね。
鶴瓶さん、初主演だそうですが、この伊野という人物のキャラに彼自身がぴったりはまっている感じはします。
瑛太さんもいい味だしていますが、
脇の方々が手堅いですよね。
香川照之さん、八千草薫さん、余貴美子さん、笹野高史さん、松重豊さんなどなど。
去年「おくりびと」の快進撃のきっかけとなったモントリオールの映画祭に出品されるそうですが、いい評価が得られるといいですね。