元妻は境界性パーソナリティ障害だったのだろうか

クリスチャン 聖書 心の病気 家族支援 翻訳 心理学 片親疎外 回復 ヘブライ語 進化 創造 サイレントベビー

(51)妻との生活-1

2011年01月19日 | 境界性パーソナリティ障害


~言語化が苦手~

妻は、言葉で人に何かをお願いする事ができませんでした。「申し訳ないんだけど、○○やってくれない?」と言う言葉を、結婚してから、一度も聞いたことがありません。境界性パーソナリティ障害の方は心の中に強い劣等感がある為、少しでも自分がおとしめられると感じると、激しく抵抗します。自分が人よりシタテに出て、何かをお願いをする事は、自分をおとしめる事だと感じてしまうのでしょう。それで相手を屈服させるような言い方でしか、自分の思いを表現できなかったんだと思います。

また、境界性パーソナリティ障害の特徴の一つに、枠組みのない状況を苦手とするという事があります。マニュアル志向とも言えるでしょうか。家事の役割分担を、前もって、いつ誰がやるというように、取り決めておけば問題がないのですが、臨機応変に気が付いた方がやるという、枠組みのない状況は、どうして良いのか分からず、ストレスを溜めるようです。


~お父さん役の要求~

私にお父さん役をやらせて、かつて、得られなかった父親の愛情を求めたり、反対に過去の父親への憎しみを、私にぶつけている(投影)様子もありました。妻は「小さい頃、パパにこんな遊びをしてもらったの」と同じことをして、無邪気に喜んだり、反対に「パパには、こんなひどいことを言われたのよ」と、私に怒りの矛先を向ける事もありました。自分の父親像を私に投影し、父親の役を演じさせようとしました。


~人間関係の破壊と孤立~

妻は私が暴力を振るうと触れ回った事があります。私は一切、叩いたり蹴ったりしていないのです。結婚して間もない頃でした、何がきっかけで口論になったかは覚えていません。些細な事で妻は怒りを爆発させるのでした。「ギャー」と絶叫し、私の胸ぐらを掴んで振り回しました。私は一切抵抗せず、20~30分、妻のするままに任せました。

怒りを爆発させている時の、目が特徴的でした。ギラギラ光り、震えるように瞳が小刻みに動いていました。怒りの目つきではなく、強い恐怖を訴える目つきでした。幻を見ているかの様で、私に向かって怒りを発しているのではなく、他の人の顔を思い浮かべている様にも感じました。このような不気味な目つきは、それまで見たことがありませんでした。

妻はこの時の事を、夫が家庭で暴力を振るっていると、涙を流し、親、きょうだい、地元の友人に言って廻ったのです。中には同じ教会に通っている人もいて、私は白い目で見られるようになりました。このように、私は周りの人間関係を壊され、孤立していきました。


~嘘と現実の混同~

後日、この事について、妻と話し合いました。「私は暴力を振るっていないよ」と言ったところ、「次の日、全身が痛かったから、暴力を受けたはずだ」と真顔で言うのです。私の胸ぐらを掴み、力一杯20~30分も引っ張り廻せば、次の日、全身筋肉痛になって当然です。この筋肉痛は全身に暴行を受けたせいだと、いつの間にか、妻の頭の中で合理化されるのでした。

幼い子どもは夢と現実を取り違えると言う事があり、認知について、統合が上手くできていない為だと言われています。また、認知症の「もの取られ妄想」でも似ているところがあります。財布をしまった場所が思い出せず、心当たりを探しても見つからないと、自分の記憶が曖昧なせいだと認めるのは、苦しい事なので、身の回りの世話をしているあの人が盗ったに違いないと、自分の中で合理化をしてしまいます。一生懸命お世話をしている方にとっては困ったことですが、頭の中で作った架空のストーリーと現実を混同する事は、認知症でも見られます。作為的であったり、悪気があるというのではなく、自分の立場を守ろうと心の防衛機制が働き、架空のストーリーを合理化してしまうからだと言われています。

妻の場合にも、これと似たところがあると思うのです。


~見捨てられ不安~

妻には不可解な言動があり、あたかも赤ん坊が「自分を置いていかないで」と、泣いてすがるような態度をすることがありました。今になって思えば、妻は常に、強い見捨てられ不安を抱えていたと思うのです。境界性パーソナリティ障害の方は、強い見捨てられ不安を抱えていると言われています。

1,2才位の赤ちゃんは、少しでも親が離れると、不安になり泣きます。「待っててね。また戻って来るからね」と言っても、親の言葉を信用できず、このまま見捨てられたら生きていけないと、強い不安を感じるからです。片時も、親から離れる事ができません。

赤ちゃんには自分の生命を守り、危険な状況を回避するための感覚(情動)が備わっています。見捨てられる事への不安、嫉妬心、不信、嫌悪といった強いネガティブな感情です。また瞬時に状況判断ができるよう、認知の仕方もシンプルで、二極化(スプリット)されています。安全か危険か、敵か味方かという二者択一の選択しかできないようになっています。

忍耐(耐性)のなさも赤ちゃんには必要です。お腹が空いたり、不快な状況になったのに、忍耐をしていたら危険な状態に陥るからです。我慢してはいけないように、赤ちゃんは創られています。

赤ちゃんが生得的に持っている、見捨てられる事への不安、嫉妬心、疑い、嫌悪といった強いネガティブな感情(情動)、二極化された認知、忍耐のなさは、そのまま境界性パーソナリティ障害で見られる特徴なのです。私が妻の事を、幼いと感じたのは、こういうところなのです。

やがて、子どもは親子関係を通して、安心、信頼、寛容などのポジティブな感情を育みます。認知面でも、二極化されたものだけではなく、より現実的な、中間(グレーゾーン)の捉え方もできるようになります。複雑な感情や認知を統合し、社会化や自立を獲得します。「成長とは物事を統合する過程だ」とも言われる所以です。

妻に、強い見捨てられ不安があるという事は、それ以外の情動や、二極思考についても、昇華されないまま、引きずっている事を示唆していると思うのです。事実妻は、これらのものを引きずっていました。普通であれば、幼児期にできたはずのステップ・アップが、できていない状況だと思うのです。


~結婚生活に自信を失う~

結婚して半年くらいの頃です。もしかしたら、妻は心の病気ではないかと疑ったことがありました。怒りのコントロールができない事、年齢不相応に親に依存する事、自分自身の意思が希薄で、親きょうだいの意見に左右されやすい事、執拗な疑い深さ、虚言などがあったからです。こうした性質は、多かれ少なかれ誰もが持っているものですが、妻の場合は、夫婦関係を壊しかねない深刻なものでした。

妻が落ち着いている時「どうして、さっきはあんなひどい言い方をしたの?普通に落ち着いて言える事じゃないの?」「どうして嘘をつくの?」と尋ねると、黙ってしまいます。妻自身どうして自分が過剰に怒り、罵り、嘘をつくのか説明できない様子でした。

ある夜、私たちは家でくつろいでいました。妻は、庖丁を自分の腕に押し当て「もし、包丁で腕を切ったら、血が噴き出るかな?そうなったら心配してくれる?」とリスト・カットのそぶりをした事もあります。この時、妻の顔を見てゾッとしました。私は恐怖のあまり、話すことも身動きもできなくなりました。妻の目は、それまで見たことの無い、別人の目つきでした。譬えて言うなら、悪霊が乗り移った様な感じ、別人格が妻の中から出てきた様な感じ、人格の交代だったのかも知れません。一度だけですが、こうした事がありました。


~アダルト・チルドレンを疑う~

1996年当時は「アダルト・チルドレン」という言葉が日本のマスコミで取り上げられ、それに関連した本も出版された時期でした。私が手にした本は、アメリカで書かれたもので、アダルト・チルドレンの原因を子どもの時の「性的虐待」に限定して書かれたものでした。その後、出版された別の本を見ると、親のアルコール依存や暴力、育児放棄、過保護なども原因に加えられていますが、当時、私が手にした本は、性的虐待以外の原因については触れていませんでした。

私は妻の気分が落ち着いている時に「小さい時、誰かから性的な悪戯をされたとか、レイプされた事はなかった?」と聞いてみました。妻は「ない」と答えました。私はアダルト・チルドレンとは関係ないと判断し、それ以降、心の病気を疑う事を全くしませんでした。しかし相変わらず、妻は非常に困った人、不可解な人でした。


~不安の増幅~

結婚して間もなく、妻は私が浮気をしているのではないかと執拗に疑うことがありました。私は浮気をしたり、風俗店に行った事はなく、どうして私を疑うのかと聞くと、友達のご主人が浮気をしていたと聞き、私にも疑いを抱いたと言うのです。後で分かったのですが、妻自身が、隠れて浮気をしていたのでした。夫に隠れて浮気をする、やましさを夫に投影し「あなたこそ浮気をしていたじゃない」と自己弁護を試みようとしていたのでした。

妻は生命保険や自動車保険でも、高額な保障の手厚いものを選ぶ傾向がありました。不安に敏感で、増幅させやすい傾向があるからです。

子どもが生まれる前の妊娠期間中、子どもの誕生を、喜んで待ち望むといった事がありませんでした。いつも不安を口にしていました。実際、子どもが生まれてからの妻の言動は不安定さ、過激さを増しました。


~臨機応変さのなさ~


結婚したばかりの時は、休みの日に一緒に台所に立ったり、一緒に掃除をする事がありましたが、共同での作業を苦手としていました。妻は一人では、きちんと家事をこなす事ができるのですが、相手の動きを見て合わせる事が苦手でした。

こうした臨機応変のなさや、将来に対する不安は、認知の中でも特に、統合する力の弱さと関係があると思うのです。統合する力の弱さは、境界性パーソナリティ障害の特徴でもあります。


~ロールシャッハ・テスト~

ロールシャッハ・テストという心理テストがあって、インクの染みを見て、何を思い浮かべるか言ってもらうというものです。普通であれば、インクの染みに何か関連した意味を連想し、一つの絵の様に説明する事ができるのですが、境界性パーソナリティ障害の方の場合、統合する力が弱いため、それができない傾向があるといわれています。境界性パーソナリティ障害という病名ができる以前から、統合失調症の特徴である、統合する力の弱さがあると指摘されていました。


~良い乳房と悪い乳房~

幼児の心の発達を説明する譬えに「良い乳房と悪い乳房」というものがあります。赤ちゃんは目の前にある、お乳の出ない方の乳房は悪い乳房、出る方の乳房は良い乳房だと認識します。この段階では自分を愛してくれる母親、お乳の出る乳房、出ない乳房の三者の関連付けができていません。やがてこの三者の関係が統合できると、お乳の出る乳房、出ない乳房も、一人の母親の乳房である事が分かるようになるというものです。

感情の発達、認知の発達においても、統合する能力は大切なようです。心の病気では、しばしば、この統合がうまくできないため、不安を抱きやすく、物事を歪んで解釈するという事が起きます。

自分のいる世界が、何らかの秩序がある事を理解する事で、心を安定させながら成長できるのだと思います。自分のいる世界が混沌として理解不能なものであったら、それだけで心は平静を保つ事はできないでしょう。常に不安を抱えた状態になってしまうと思うのです。


~2才の頃の子どもの成長~

子どもが1~2才の頃の事です。私が他の子どもと楽しく話したり、抱っこをすると、子どもは、嫉妬し奇声を上げ、よその子を押しのけるという事がありました。この年齢ではよくある事です。親の愛情が、よその子に注がれると、自分が見捨てられるのではないかと不安を感じるからでしょう。自分の生命や存在を守ろうとする感情(情動)が備わっているからです。

ところが暫くすると、そのような嫉妬や、よその子を押しのける行動はなくなります。このステップ・アップはすごい成長だと思います。親がよその子と仲良く遊んでも、自分への愛情が消える事はないと確認し、親への信頼を維持し、不安(情動)の抑制をし、親がよその子と仲良くする事を受け入れ(受容)、自分と親とよその子が共存(社会化)できるようになります。また、自分の行動による、周りの人の反応を予測して、自分が取るべき行動を的確に決定できるようになります。相反する幾つかの感情、認知を、内面で見事に統合しています。

境界性パーソナリティ障害とは、2才前後から段階的にクリアする感情や認知の統合が、何らかの障害によって、ステップ・アップできずにいる状態、或いは、一度クリアしたとしても、何か心に傷を受ける事で、逆戻り(退行)してしまった状態と言えると思うのです。


~嫉妬心~


子どもが生まれた後の事です。妻は子どもに対してさえ、嫉妬心を見せるのでした。私の帰宅時刻は、いつも子どもが寝た後だったので、帰宅して寝ている子どものおでこに、そっとキスをするのが日課でした。それを見た妻は、ワイセツだと怒るのでした。それまで、自分にしか注がれていなかった愛情が、子どもに注がれるのを見て、自分が見捨てられたように感じ嫉妬したようです。

幼い子どもは皆同じところがあると思うのですが、女の子は自分の体と、父親の体が違う事に気が付くと、父親の体に興味を持つようになります。娘が1歳半頃だったと思います。私がトイレに行くと、娘も付いて来て、私が小便をするのを覗こうとしていました。それを妻が見つけ、ものすごい剣幕で娘の肩を掴み引っ張りました。娘は怪我はしませんでしたが、恐怖を感じていたと思います。その様に、娘にさえ強く嫉妬をし、行動が乱れました。



一切れのかわいたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる。
箴言17章1節 新改訳



8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
びっくりしました (あまでうす)
2011-06-28 19:11:30
このブログを見てびっくりしました。まさに私の妻がほぼ同じ状況なのです。

今までの全ての点と点が線で結ばれたようです。彼女は非常に気分が変わりやすく、常人には理解できない事柄でも瞬間的に攻撃的になります。高機能型ということでしょうか。

彼女の家族の態度もまったく同じようで驚きました。
返信する
あまでうすさんへ (ぶどうの木)
2011-07-20 21:41:10
ぶどうの木のブログにお越しいただき、ありがとうございます。

私は専門家ではありませんが、高機能型の特徴は「第三者からは、まったく普通の人にしか見えない。仕事も普通にこなしているが、家庭での感情の乱れが激しい、夫などを攻撃する。しかし自傷行為は見られない。」といったところだと思います。

私はカウンセラーと話したことがありますが、大変失望させられた経験があります。詳細は割愛させていただきますが、一般のカウンセラーでは、きちんとしたアドバイスがいただけません。早いうちに、境界性人格障害を扱える専門家に相談することをお勧めいたします。

あまでうすさんご家族に、祝福がございますよう祈らせて頂きます。
返信する
ありがとう (Pi)
2011-09-20 18:13:05
些細なことで毎日毎日夫にお小言をあびる生活を15年してます

私も同じく鬱と診断されたのが3年前です

薬を飲みながら鬱の治癒は「私が夫の話を聞き流せるほど強くなること」しかないと思い日々過していましたが

夫にも病があるのではないかと最近考え出し、このブログに辿り着きました。

夫との接し方に悩んでいた私には、パキシルより効き目抜群です

でも、私自身がBPDではないかとも不安になってます
返信する
Piさんへ (ぶどうの木)
2011-09-22 08:34:06
ぶどうの木のブログにお越しいただき、ありがとうございます。

辛い経験をされて来たんですね。お付き合いの仕方についての情報があれば、追加掲載させていただきます。夫婦間のいがみ合いの原因は、「私が悪い」「あなたが悪い」などのほかに、私とあなたとの「関係のあり方」の問題もあるようですね。そのような視点で夫婦の問題を見直すことは、何かの助けになるかも知れません。気の利いた返事ができず申し訳ございません。

Piさんご家族に祝福があるよう祈らせていただきます。
返信する
Unknown (Pi)
2011-09-29 09:14:36
早速のお返事ありがとうございます。

先日、市の「こころの相談室」で面談を受けてきました。私からの聞き取りのみの診断ですが、医師によると夫は「NPD」との事。
NPDにしろBPDにしろ、やはりお付き合いの仕方が鍵であると思いました。

私と夫の「関係のあり方」について・・・

結婚当初から私は「夫婦平等」、夫は「王様、殿様、俺様」の主張が互いの根底にありました。それでは、常に平行線を辿るのは必死ですよね?!
だからと言って全面的に夫に服従すると、私の心が破綻してしまう・・・ジレンマです。

私は今41歳人生半分終え、家庭内での大事な事柄(住宅購入やプロスポーツ選手をしていた夫の第二の人生の選択など)は殆ど決定済みとなり、NPDの夫との本気の対峙は残すは中3、小6の息子達の進路だけです。
それも十年ほどで終わります。

息子達ために経済的理由で共に歩む決意をしました。そして、
夫の障害の息子達への連鎖をくい止め、この先十年の息子達の安全、安心の確保を私の最優先事項として過していく覚悟もしました。
その後に、私の残りの人生の行方をゆっくり探ります。
何だか、私的な決意表明となりましたが、こんな事でもしないと気持ちがブレてしまいそうで怖いのです。NPDの知識を得れば得るほど怖いのです・・・もっと強くならないと・・・

参考までにお聞かせ下さい。
どうしてそんなにお強いのでしょうか?









      
返信する
Piさんへ (ぶどうの木)
2011-10-01 05:16:41
ご主人との生活を続けるとの貴重なご決断、詳しいご報告を頂き、大変うれしく思っています。しばらく時間を下さい。きちんとした返事をさせて頂きたいと思います。

Piさんご家族に祝福があるよう祈らせて頂きます。

取り急ぎ。

返信する
Piさんへ (ぶどうの木)
2011-10-05 09:40:15
返事が遅くなり申し訳ございません。

別居直後のとても苦しかった時期のことを思い返していました。当時は、自分の置かれた状況が混とんとして、どうして別居なんかになったのか分からず、考えが堂々巡りをしていました。別居当初、妻に対する恨みで心がいっぱいでした。そんな自分がみじめでした。こうした時期、『離婚するかしないか』『親権を取るか取られるか』『訴えるか訴えないか』といったことで頭がいっぱいでした。苦悩から逃れたいがため、手っ取り早い結論を求めるからでしょう。人は苦悩の中にいる時こうした、二者択一思考に陥りがちのようです。思考の退行、要注意です。

苦悩が深いほど、その人の問いかけも深く、『結婚とは何なの?』『親子とは何なの?』『自分は何のために生きているの?』ということを自問自答していると思います。『別れるべきかどうか』は表面的な問いかけで、ご本人が求めているのはもっと深いところの問いかけではないでしょうか?

私は別居後から、離れたところに住むある先輩クリスチャンと手紙のやり取りをしています。その方は、旦那さんの暴力が原因で離婚し、女手一つでお子さんを育てあげた方です。私が送る長々とした手紙に対し、その方のご返事はいつも同じで『体に気をつけてください。毎朝祈っています。』といった短いものでした。私はもう少し具体的アドバイスが欲しいなと思うことがありました。往々にして離婚経験のある方は、婉曲的な言い回しであっても、離婚を勧める傾向があるようです。しかしこのクリスチャンの方は、一言も離婚の是非を語ることはありませんでした。

夫婦の問題、特に伴侶が人格障害で悩む方に、気の利いた言葉をかけてあげることができたらいいのですが・・・私自身、何と言葉をかけて良いのか分かりません。同じような苦しみを経験された方がいると知り、胸を痛めるばかりです。その方の人生を大きく左右することですから『結婚を継続して下さい』『別れた方がいいです』などと私には言えません。残念ながら、私には他人を幸せにする知恵も力もありません。

私と妻との関係のあり方について書かせて頂きます。夫の主張と妻の主張とが食い違い、平行線をたどったのは、私たちも同じでした。それは、夫婦とは二人の関係だと思っていたのが原因です。別居後、夫婦は二人だけの関係ではなく、そこに神様もいる三者の関係だと気が付くようになりました。私が信じ従う神様は、私だけではなく、妻をも深く愛するお方だったからです。それ以降、私は妻を憎むことができなくなりました。今でも妻を恐れる気持ちは残っていますが、憎むことはできなくなりました。神様は、人が喜び、尊ぶことができるよう、祝福して結婚を創られたと聖書は語ります。夫婦が愛し合い深く結び合う形は、人と神との愛情関係のひな形であるとも語られ、聖書では結婚を特別な関係として尊びます。今は別居していますが、『夫婦関係のあり方』は私の中で大きく変わりました。

『どうして強いのか?』とのご質問に、正直困惑しています。私は自分が強いとは思いませんし、そうした意図でこのブログを書いていないからです。でもこれは嬉しい誤解のようです。Piさんは、私の強さではなく、私が信じ従うお方の強さを感じておられるのではないでしょうか?

私は失業し、畑違いの仕事に就くことになりました。慣れない仕事でミスを犯し、売り物の製品を何度も傷つけてしまいました。上司に正直に報告することが正しいことだとは分かっていますが、製品破損者として私の名前が貼り出され、給与が引かれ、クビになるかも知れない・・不安がつのり、破損を隠ぺいできないだろうかという気持ちがよぎります。私には醜い心があります。『神様、罪の誘惑に負けることがないよう私をお助け下さい。』とすぐに祈ります。こうして、正直に上司に報告する力を与えられてきました。私はこうしたことの繰り返しです。入社したての頃、私はその部署の破損王で有名になりました。ところが、それ以上に誰が破損したのか不明の破損品も多かったのです。破損を報告しない人が多かったからです。

人は何が正しいかを知っています。何が悪いことかも知っています。しかし、いつも正しいことを選択できる訳ではありません。強い羞恥心、自己保身のため、悪いことだと分かっていてもやってしまう、ズルさ、弱さがあります。私には、自分の過ちを認める力を与えてくださるお方がいます。自分自身の力ではありません。上司や職場の人に自分の過ちを隠すことができたとしても、神様はいつも愛情の眼差しで私を見てくださっています。神様の前に隠せることは一つもない事を私は知っています。私自身はズルく、不完全ですが、偽りのない人間関係が築けるよう力を与えて下さるお方、揺るぎない心で私を愛して下さるお方がいるのです。

ご主人が元プロ・スポーツ選手とのことですね。スポーツ界には自分がクリスチャンであることを表明する方がいます。日本ハムを優勝に導いたヒルマン監督、ロッテのバレンタイン監督、『キレテナーイ』のK-1マイク・ベルナルド選手、ゴルフの中島常幸選手などです。私に華麗な経歴はありません。神様はうつ病、別居を私に与えられました。今こうして、Piさんに返事ができるのも、そのお陰です。うつ病、別居を通し、神様の栄光を示す働きができる事に感謝をしています。

あるお父さんが天に召され、その葬儀に参列させていただきました。その方には息子さんがいたのですが、交通事故で息子さんを亡くされたというご経験がおありでした。弱冠20歳の若さで・・・。息子さんはオートバイ、相手はトラック。過失はトラックの運転手にあったようです。ご両親は息子が社会人として働く姿に期待を寄せていたことでしょう。朝、元気だった息子が、夜には冷たい人で帰るとは誰も予想しません。ご両親の悲しみ、苦悩は大きかったと思います。

相手方の運送会社の社長、事故を起こした本人が、謝罪に訪れ、何度か話し合いがされました。何度目かの話し合いが、お父さんが通う教会で行われました。話し合いの最中、息子さんを亡くしたお父さんが、突然、座っていた椅子から立ち上がりました。その場に緊張が走りました。

『社長さん、お願いします。その運転手さんをクビにしないで下さい』とお願いをしたのです。一瞬何が起こったのか理解できなかったと、当時の様子を牧師が語りました。『私が悲しんだ悲しみを、運転手さんの奥さん、お子さんたちに味わわせないで下さい』とお父さんは嘆願したそうです。交通事故とはいえ、人の息子の命を奪い、罵られても当然の運転手さんには、全く予想しない赦しの宣言でした。

そのお父さんは、自分が神から愛され、自分の罪を赦された救いの喜びを、何とかして人に伝えたいと常々思っておられたようです。罪と言うのは、そのお父さんが社会的に犯罪を犯したという意味ではありません。神から離れ、神を否定し、的外れな生き方をする人間の本質のことです。そのお父さんは、ご自分の息子の命を奪った相手を赦すことを通して、神の大きな愛を証しされた方でした。

その後お父さんは脳腫瘍を患い、長い長い闘病生活を送り天に召されました。赦すということは、赦す側に大きな苦悩をもたらし、まさに自分の命を削る代償を伴うほどのもなんだと思わされました。

『右の頬を打たれたら、左の頬を向けなさいだって?そんなお人好しは、この世の中通用しないよ』と笑う方がいますが、このお父さんの生き方を、笑うことのできる人はいるのでしょうか?

神様は私たちが神から離れ、傲慢で、的外れな生き方をしていることを悲しんでおられます。神様は私たちの罪を赦し、神と共に生きることができるよう、ご自身のひとり子イエス・キリストを十字架に掛け、その命を削る苦しみで、私たちの罪を赦して下さいました。キリストが死んで三日身に復活し、今も天で生きておられるように、キリストを信じる私にも永遠に生きる命が与えられると、そう信じています。これは聖書が約束することです。

今も生きている神は、揺るぎない愛で私を愛し、折にかなった力を与えて下さいます。たぶん、Piさんが感じた『強さ』はこの事だと思います。神様は『あなたは高価で尊い。私はあなたを愛している』と仰っています。父なる神様のもとにお帰りになってはいかでしょうか?心よりお勧めいたします。Piさんの今の苦しみは、神様のご計画で、Piさんを尊い器として用いるため、のちに豊かに祝福を与えるためだと信じています。

Piさんに信頼できるクリスチャンの友人が与えられるよう祈ります。私は、エホバの証人(ものみの塔)、末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教会)、統一教会とは関係のない者です。

Piさんご家族に祝福があるよう、祈らせて頂きます。

返信する
ありがとう (Pi)
2011-10-06 12:09:43
いつも私の力になって下さり有難うございます。
人格障害者の家族は、本当に孤独です。
ぶどうの木サンのお話、とても共感出来ました。

誰かに聞いてもらえると発散できるのかと思い、親友、実家の母、ママ友などに夫の話をしても誰も信じてくれませんでした。
それ以上に、社会に対して露出度も信頼度も厚い夫がそんな人物であるはずがないというのが世間の評価でした。
本当に今まで辛かった。

詳しい宗教のことはわからない私ですが、カトリックの教えで「神は越えれる試練しか与えない」・・・うる覚えでスミマセン・・・
それを私なりの解釈で「与えられた環境の中で頑張ってみよう」と前回の決意に至るのです。

が、問題発生です。
つい先日、人を介してですが夫から「離婚を考えている」と聞かされました・・・青天の霹靂です。
その仲介人ご夫妻は我が家のお隣の方で、数ヶ月前から夫の相談相手となって頂いてた様子で、
NPD特有の友人のいない夫にとっては、神様・仏様のような存在のことでしょう。勿論ご夫妻は夫のNPDのことは知る由もありません。「子供も大きいし、そんなに嫌ならば離婚すればいい」と・・・私もご夫妻の立場ならばそう言っていたことでしょう・・・何も知らなければ・・・
長年夫と暮らしてきた私にはわかります。彼にとって、この世の中が如何に生き辛いものなのかを・・・そんな彼が独りきりとなればどうなるかを・・・先日相談した医師も「彼が楽になれると思っている離婚という選択は、今後の彼の人生を孤独で辛いものにする。」と、おっしゃっておられました。
この先10年は共に歩んで行こうとしている私には、どんな選択があるのでしょうか?
離婚を回避するための話し合いはNPDの夫とは当然無理。ご夫妻にNPDのことを打ち明ける。私の本意ではないが離婚に応じる。彼から直接聞くまで待つ。
私に考えれるのはこれが限界です。

そして昨日、夫はお隣のご家族全員に、思い存分そして架空の話をでっち上げてまで私の悪口を言っていると、ご夫妻の妹さんから私は聞いてしまいました。
ぶどうの木サン、貴方ならこの難局どう乗り切るのでしょう?


返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。