如何せんな日々

どうしていいかわからない日常を綴っていますよ

逃げる水・改稿

2007-08-12 21:00:16 | ふぃくしょん
逃げ水というものをご存じだろうか。

よく晴れた暑い日、砂地や道路の現れる遠い水たまりである。

逃げ水には追いつけない。いや、追いついてはいけないのかもしれない。



母の田舎に泊まりがけで行ったときのことだった。

近所の子を預かることになり、私が面倒を見ることになった。

外で遊んでいると、その子は遠くに水たまりがあると言った。

連日の猛暑で水たまりなどあるはずがない。と思いながら見てみると、

確かに水たまりはあった。

それがすぐに逃げ水だと気付いた私は、

「あの水たまりは近づこうとしても逃げちゃうから、追いつけないんだよ」

と言うと、その子は不思議そうな顔をしていた。


数日して実家に帰ると、その子の話を聞いた。

遊びに行くと言って出て行ったきり、その子が戻ってこなかったそうだ。

探してみても、見付からず、それでも捜索が続くと、

その子の靴だけが見付かったが、どうも不自然な状況だったそうだ。

何もないところに揃えて置かれた靴、

まるで何かに入ろうとしているようだったという。

その場所は道路の真ん中だったそうだ。


逃げ水に追いついた者は…、誰もいない。



寝言に…

2007-08-11 01:18:50 | ふぃくしょん
季節は夏。友人と旅行に行き、昼は観光、夜はおしゃべり、楽しいことはたくさんできる。

一番早く寝た友人にイタズラするのもいいだろう。しかし、してはいけないこともある。

寝言に話しかけることである。


人が夢を見るのは、一時的に魂があちら側に行っているからだと云われる。

寝言との会話は、あちら側と繋がってしまうのである。繋がるだけならまだいいが、

稀に引き込まれてしまうこともある。自分から夢(あちら)の世界に行くのなら

帰り方もわかるが、引き込まれてしまうと、帰り方がわからなくなってしまうのだ。

話しかけられた方も夢(あちら)に魂が固定してしまい、もどって来れないときがある。


…寝言に話しかけてはいけない。