逃げ水というものをご存じだろうか。
よく晴れた暑い日、砂地や道路の現れる遠い水たまりである。
逃げ水には追いつけない。いや、追いついてはいけないのかもしれない。
母の田舎に泊まりがけで行ったときのことだった。
近所の子を預かることになり、私が面倒を見ることになった。
外で遊んでいると、その子は遠くに水たまりがあると言った。
連日の猛暑で水たまりなどあるはずがない。と思いながら見てみると、
確かに水たまりはあった。
それがすぐに逃げ水だと気付いた私は、
「あの水たまりは近づこうとしても逃げちゃうから、追いつけないんだよ」
と言うと、その子は不思議そうな顔をしていた。
数日して実家に帰ると、その子の話を聞いた。
遊びに行くと言って出て行ったきり、その子が戻ってこなかったそうだ。
探してみても、見付からず、それでも捜索が続くと、
その子の靴だけが見付かったが、どうも不自然な状況だったそうだ。
何もないところに揃えて置かれた靴、
まるで何かに入ろうとしているようだったという。
その場所は道路の真ん中だったそうだ。
逃げ水に追いついた者は…、誰もいない。
よく晴れた暑い日、砂地や道路の現れる遠い水たまりである。
逃げ水には追いつけない。いや、追いついてはいけないのかもしれない。
母の田舎に泊まりがけで行ったときのことだった。
近所の子を預かることになり、私が面倒を見ることになった。
外で遊んでいると、その子は遠くに水たまりがあると言った。
連日の猛暑で水たまりなどあるはずがない。と思いながら見てみると、
確かに水たまりはあった。
それがすぐに逃げ水だと気付いた私は、
「あの水たまりは近づこうとしても逃げちゃうから、追いつけないんだよ」
と言うと、その子は不思議そうな顔をしていた。
数日して実家に帰ると、その子の話を聞いた。
遊びに行くと言って出て行ったきり、その子が戻ってこなかったそうだ。
探してみても、見付からず、それでも捜索が続くと、
その子の靴だけが見付かったが、どうも不自然な状況だったそうだ。
何もないところに揃えて置かれた靴、
まるで何かに入ろうとしているようだったという。
その場所は道路の真ん中だったそうだ。
逃げ水に追いついた者は…、誰もいない。