“医食同源”という言葉の他に、“薬食同源”という言葉があるのをご存知でしょうか?
唐の時代に孫思ばく(そんしばく)という医家がおりました。孫思ばくは“孫真人”という尊称を受け、“医聖”と呼ばれる張仲景と並ぶ偉大な医家として古来より尊ばれています。
そんな孫思ばくが、著書の中で次のようなことを述べています。
「医というものは、まずはじめに病源を明らかにするべきであり、その病が犯すところを知り、食をもってこれを治す。食療(食事による治療)でその病を癒すことができなければ、しかる後に薬を命ずる。」
下線に示したように、まず「食事で治す」ということを孫思ばくが語っていますが、そのことを“食療”と言っております。食事で治す“食療”という言葉の発想から考えますと、食事はまさに薬と同価値のものだという位置づけだと思います。このことから、“薬食同源”という言葉も生まれてきました。
我々はとかく身体の不調があると、すぐに薬に頼ったりすることがあります。身体の状況と病気の状況を見ながら薬を使用することは、大切なことです。しかし、孫思ばくが述べているように、薬を使う前に、しっかりと自分の身体を養っている“食事”というものを見直すことは、もっと大切なことのように思います。毎日摂る食事が私たちの身体を作っているのですから、食事を大切にすることは、薬を飲むほど悪くなる前にできる基本中の基本です。
生きている限り、身体に栄養を補給していくのが生命です。食事というものを見直し、より健康に過ごせたらと思います。