道東を発見する旅 第3の人生

記憶の上書き、記憶のゴミ屋敷、海馬を鍛える

ボルダリング

昨日の仕事帰り、ボルダリング(フリークライミング)のジムに行く。難しい課題に挑戦しているので、昨夜は寝ている間も身体の節々がギコギコいっていた。

ボルダリングは上達すると、ほんとに面白みが増してきてハマってしまうスポーツだ。

基本は人工壁の下から上まで自分の手足を使って登るだけである。その経路を「課題」と呼び、手や足をのせるホルダーが配置してある。

身体をどう動かすかというムーブは、課題の難易度により大きく異なる。ホルダーの設置の仕方で難易度がグーンと上がると身体をねじったり、ぶら下がったり、時には片手で飛びついたりする。課題の設定により、こんな身体の動きも出来るのかと感嘆してしまうくらい創造性の高い運動だ。

5年前、北海道に行く直前は、まあまあだった。ようやく5年前の自分の身体の動きに近づいてきた。だけど体重が増加しているので、まだまだである。

なかなか身体の動きが取り戻せなかったけど、自分は頭の古い記憶もさっさと失われてしまう傾向なのではないかと以前から思っていた。実は、身体の動きも脳の働きと関係しているようです。

今日は、「記憶の上書き」というテーマで新聞記事からの引用を元にまとめてみます。

元ネタはサイエンス誌の論文です。数年前までは、普通にサイエンスを読んでいたので、今回、もとのソースが孫引きになってしまうのがちょっと残念です。


以下、2014年5月30日毎日新聞、コラム 発信箱 青野由利 

「記憶をなくしても」

引用開始

三島由紀夫は産湯の光景を覚えていたという話があるが、凡人なら人生最初の記憶はせいぜい3歳ぐらい。

なぜそれ以前を思い出せないのか。不思議な気がするが、今月米サイエンス誌に発表された論文によれば、鍵を握るのは記憶をつかさどる脳の海馬の発達だ。

子供の脳では大人の脳に比べ、海馬の神経が盛んに作られている。これに注目した藤田保健衛生大学の宮川教授らとトロント大のチームはマウスで海馬の神経新生を操作してみた。

ここから神経が活発に作られると過去の記憶を忘れやすく、逆に神経新生が抑えられると忘れにくくなるという現象が浮かんだ。

新しい記憶の獲得に欠かせない海馬だが、神経が次々生まれる幼い脳では古い記憶が「上書き」され、思い出せなくなる。

脳の成長のためと思えば、うれしい「物忘れ」だ。

引用終わり

自分の最古の記憶

記事では、この後、年寄りの物忘れとか認知症とか暗い話題が続いているので引用終わりにする。


さて、古い記憶が新しい事で上書きされていくのは、脳の神経再生につながっているという理屈で、やっぱりかと思う。

自分は、いつも新しい事を始めようとすると、古い記憶をいっぱい忘れてしまうように感じていたが、その通りだったようだ。

ここで、何故かタイミング良く、今日買った週刊誌に、たまたま81歳になる作家が記憶力について書いていたので、早速先達の言葉を引用しておきます。


「生き抜くヒント」 五木寛之 週刊新潮6月5日号 54頁より

人間の記憶の容量というのは、限界がある、と私は勝手に考えています。ですから、50歳くらいで頭は満杯になって、新しい記憶を受けつけない。

ゴム風船がはじけるように、全体がこわれてしまっては元も子もないので、ひとつ入ると、ひとつ出て行く。それが人生というものではないか。

記憶はサラサラと流れるように変化していったほうがいい。古い沼のように、よどんだ水を溜め込んでいるほうが、よほどまずいんじゃないか。

ひとつ覚えたら、ひとつ忘れる。記憶のゴミ屋敷にならないように、どんどん盛大に忘れよう。

あるとき、そう決めてから、急に気が楽になりました。(ど忘れしても)、あれは誰だったけな、と堂々と居直ったほうがいいのです。

新しい情報をどんどん受け入れる柔軟な頭の持主は、物忘れがはなはだしい。逆に古いことをいつまでも覚えている人は、新しい言葉が入ってこない。

物忘れするのは、自分が時代にちゃんと対応しているからだ、と考える。

引用終わり

海馬を鍛える


この作家のエッセイは始まったばかりで4回目だそうだ。その前は、先日お亡くなりになった渡辺淳一氏である。結構楽しませてもらったのに残念ではあるが、しかたがない。五木寛之氏に期待しよう。

80を越えた大先輩のど忘れ、物忘れに対する力強い言葉の説得力がすごい。これで救われる人が多いだろう

どうやら、生きていく上で「記憶の上書き」は大事なプロセスであるのは間違いないようだ。

時々、昔の記憶を自慢する人がいるけど、上書き出来ないので、よほどの事でない限り、あるいはそうであっても、さっさと忘れたほうがいいと思う。五木寛之先生も、そんな人について「いつも同じ話しかしない」と書いています。

同時に、腹が立った事とか悔しい思いをしたとかのネガティブな思い出も、自分の都合のいいように解釈して前向きに上書きしてしまうのがいいです。

どのように上書きしたらいいのかは工夫次第だが、大事な事はいつまでも根に持ったり、否定的にならないことだと思う。辛いことや苦しい事でも時間が解決してくれるのだから苦しむ必要はない。

その上で、海馬をどう鍛えるかに前向きに取り組んでいくべきだ。

受験勉強のサイトから海馬を鍛える方法を紹介します。
参考にしたサイト http://www.juken-benkyou.com/nou/nou-training.html

海馬を鍛えるには、勉強や読書により頭を鍛える事、そして(勉強以外の)咀嚼や運動で鍛えるの2つがあるそうです。さらに、テレビばかり見ていると頭が鈍ってくると書いてあります。

以上、自分もテレビを見る時間を減らして頭を使うことをやろうと考えています。

そして、冒頭のボルダリングにつながるのです。ボルダリングは、手足だけではなく体幹を中心とした身体張力を利用して全身を動かす運動なので、自分みたいに老化防止には最適の運動ではないかと思っています。

きっと海馬を鍛えてくれているのだと信じて、これからもレベルアップを目指します。

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