とある弁護士の六法全書

~とあるロイヤーのコンペンディウム~
※人生の半分以上を費やしているアニオタが、声優・アニメから法律論まで語ってます。

声優ユニット活動からみえてくるもの(前編)

2014-01-26 12:32:28 | 日記
■声優ユニットの意義

現在では、声優にとってユニット活動は切っても切れないものとなっている。古くは、第3次声優ブームの先駆けとなった「ハミングバード」から、「やまとなでしこ」「Prits」「クローバー」「DROPS」「Aice5」など挙げ始めたらキリがないほど数多くの声優ユニットが存在し、いまも存在している。さながら「声優ユニット戦国時代」である。

では、声優が声優ユニットを組むのはどうしてなのだろうか。
まず、声優ユニットと一口で言っても、様々な性格・思惑の上で成り立っているものであるが、大きく分けていくと、アニメなどの作品ありきな場合と、声優本位のもの(本人が望んでいるとは限らないが)がある。
前者の例としては、前述した「ハミングバード」が『アイドル防衛隊ハミングバード』によるものであり、「Prits」も『シスター・プリンセス』のラジオ番組『シスター・プリンセス お兄ちゃんといっしょ』から生み出されたものである。最近でいえば「放課後ティータイム」(『けいおん!』)や「RO-KYU-BU!」(『ロウきゅーぶ』)などであり、多くの声優ユニットはこちらに属する。この類型の多くは企画のタイアップを目的に結成される。そのため企画(ほとんどはアニメ)自体が終わりアニメ関連CDの発売、イベントへの出演など一通りのプロモーションが終わると解散及び自然消滅してしまうことになる。たまに、『乃木坂春香の秘密』をもととした「N's」がアニメ終了後にも自主的に「N±」と派生して活動を継続していくこともある。
後者の例としては、「やまとなでしこ」(田村ゆかり・堀江由衣)、「クローバー」(井ノ上奈々・斎藤桃子・庄子裕衣・宮崎羽衣)、「DROPS」(金田朋子・神田朱未・國府田マリ子・白石涼子・野中藍)などがあり、最近では、「スフィア(sphere)」(寿美菜子・高垣彩陽・戸松遥・豊崎愛生)、「StylipS」(石原夏織・能登有沙・小倉唯・松永真穂)が挙げられる。この類型の場合、大人たちの思惑により、ユニットが同一ないし系列の声優事務所所属の声優によって組まれることが多いが(アーツビジョン・ラムズ・青二プロダクション・ミュージックレイン・スタイルキューブなど)、まれに違った声優事務所の声優同士で組むこともある。その例が「Aice5」(浅野真澄・神田朱未・木村まどか・たかはし智秋・堀江由衣)で、アーツビジョン、青二プロダクション、ぷろだくしょんバオバブなどバラバラである。この類型では、活動期間が当初から決まっておらず、長期間にわたることが多い。活動の終了は、ユニットの存在自体が有耶無耶にされてしまい自然消滅することになることが多いのが特徴である。

ユニットの組み合わせ方も様々である。ある程度の名前が売れている同士のこともあれば、全くの無名同士で組むこともある。もちろん、売れている人とまだ無名の新人を組み合わせてということもある。
声優ユニットについて、多くの場合は活動の場が広がったとファンが肯定的に受け止めていると思われるが、まれに「LISP」(阿澄佳奈・片岡あづさ・原紗友里)のように活動休止発表があってファンが安心するといった事態も発生する。


■運営サイドの思惑

では、どのような思惑があって声優ユニットが組まれるのか。
運営サイドからすれば、作品ありきの場合、作品とタイアップすることによる宣伝効果を期待して行われることが多い。そのために、歌を歌ってCDを出す、イベントに出演する、ラジオ番組のパーソナリティーとなるなどの活動を行い、ユニット活動を通じてその作品のプロモーションのメディアを広げていくのである。
この場合、ユニット活動を前提として、キャストも決定することになるが、その選考コンセプトに作品によって大きな違いが出てくる。
2011年夏アニメの『ロウきゅーぶ』と『ゆるゆり』を例にとって説明する。これらの作品では、『ロウきゅーぶ』がメインキャラの5名による「RO-KYU-BU!」を組むこととなり、『ゆるゆり』がメインキャラ4名による「七森中☆ごらく部」(大久保瑠美・大坪由佳・津田美波・三上枝織)を結成した。そのメンバーを見てみると、いずれも若手女性声優だが、「RO-KYU-BU!」のメンバーはこれまでのアニメにも多く出演していて、一定のファンが付いている。それに対して、「七森中☆ごらく部」のメンバーはほぼこの作品が初レギュラーでファンに名前が知られることになる、ほぼ新人であった。

既に一定の人気を得ている声優同士の組み合わせによるユニットは、人気声優によるコラボの相乗効果による盛り上がりを期待できるし、ある程度のパフォーマンスを計算できるメリットがある。
それに対して、無名の新人の声優同士を組み合わせた場合、どれくらいのパフォーマンスを発揮できるか未知数であるが、最大のメリットはスケジュールに割と余裕があることだろう。イベントやニコニコ動画などと宣伝のチャンネルが増加した現在、様々な作品で同じように仕掛けていることで人気声優のスケジュール管理がタイトになっており、ユニットメンバーが揃ってその時間を確保できること自体がとても価値があることである。「七森中☆ごらく部」では、頻繁にイベントに参加したり、ニコニコ生放送でサインを手書きし続ける無茶ぶり企画に応えるなど話題を提供していった。このように、多くの機会に露出することが作品の宣伝に繋がっていくメリットが生じている。