快読日記

日々の読書記録

「それは、『うつ病』ではありません!」林 公一

2009年02月23日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《2/17読了 宝島社新書 2009年刊 【医学 鬱病】 はやし・きみかず(精神科医)》

いつも自分が被害者であると主張して、
立派な発言の割に、努力している気配は見られず、
うまく行かないことがあると周囲を逆恨み、
耳の痛い忠告には「鬱病」を楯に徹底抗戦。
――これはあくまでも一例ですが、
近頃各地で増殖してる気がするこんな「擬態うつ病」について、丁寧に解説した本です。

「ありがちな20の症例」の正体を大まかに分けると
(1)性格の問題
(2)人格障害・統合失調など、鬱病とは別の病気
鬱病の診断基準も難しく、(1)タイプの中には自分に都合のいい診断名を獲得するまで医者を渡り歩くツワモノもいるようです。

実はわたしの知人も、(1)タイプの人にちょっと振り回されていて、
その様子を聞くたびに「それはどう考えても鬱病じゃないだろ」とモヤモヤしていたので、
読後だいぶすっきりしました。
文章の切れもよく、わからないことやグレーゾーンについても率直に書かれています。

とくに覚えておきたいのは、
"鬱は脳の病気であり、適量の投薬があれば2週間ほどで効果が見え、何か月という単位で改善する"という話。

この「擬態うつ病」増加の真の被害者・本当の鬱病患者のために、本書の指摘・考察が生かされたらいいけど、「擬態うつ病」なかなか手強いです。