《11/7読了 中央公論社 1998年刊 【日本の小説 短編集】 よしだ・ともこ(1934~)》
8つの短編が収められています。
巻頭の表題作だけが再読です。
主人公の主婦は、夫と姑の3人暮らしで、この夫が「箱の夫」、つまり外出時に箱に入れて運ぶほど小さいのです。
クラシックが好きな、ちょっと気難しい男で、気にいらないことがあると「シューッ!」と言ったり、黒い爪があったりする、正体不明の夫。
主婦はこの夫をかなり愛しているみたいです。
年老いた母の留守中に、その娘ほど年齢の"同級生"が訪れる「母の友達」は、寒いのににじむ冷や汗みたいな気持ち悪さがたまりません。
うんと年上の爺さんの後添いになった女性がガレージ整理をする話「泳ぐ箪笥」も気味が悪い。
主人公が、一度会っただけの中国人女性・恩珠(おんじゅ)に連れ出され、古い記憶を手繰っていく「恩珠」のラストは気が狂いそうです。
ラストの「水曜日」もそうですが、リアルにしょぼくれた日常の話だと思って読んでると、不意に後ろから突き押され、そこで初めて足下に地面がないと気づく、そんな恐怖がやみつきです。
8つの短編が収められています。
巻頭の表題作だけが再読です。
主人公の主婦は、夫と姑の3人暮らしで、この夫が「箱の夫」、つまり外出時に箱に入れて運ぶほど小さいのです。
クラシックが好きな、ちょっと気難しい男で、気にいらないことがあると「シューッ!」と言ったり、黒い爪があったりする、正体不明の夫。
主婦はこの夫をかなり愛しているみたいです。
年老いた母の留守中に、その娘ほど年齢の"同級生"が訪れる「母の友達」は、寒いのににじむ冷や汗みたいな気持ち悪さがたまりません。
うんと年上の爺さんの後添いになった女性がガレージ整理をする話「泳ぐ箪笥」も気味が悪い。
主人公が、一度会っただけの中国人女性・恩珠(おんじゅ)に連れ出され、古い記憶を手繰っていく「恩珠」のラストは気が狂いそうです。
ラストの「水曜日」もそうですが、リアルにしょぼくれた日常の話だと思って読んでると、不意に後ろから突き押され、そこで初めて足下に地面がないと気づく、そんな恐怖がやみつきです。