着物_くうねるあそぶ

着物のお直しやコーディネート、お出かけ日記

衣紋の抜き方(繰り越しの話)

2010-01-28 | 着物雑記
衣紋は着物襟の首の後ろの辺りのことを言います。

よく、上手く衣紋が抜けた、とか抜けない、とかいう使い方をしますが、
着物を着始めた方が一番悩むのがここですよね。

私も若い頃、着物を着なれている方を見ると
上手く衣紋が抜けているなぁと感心したり、
長襦袢の襟をずいぶん後ろに引っ張ってるのに、
着ているうちになんだか詰まってきてしまうのは何故?と悩んだり(・o・)。


衣紋が上手く抜けるコツは着付けではないというのを知ったのは、
呉服屋で働きだしてからのことでしたので、
20年近く上手くいかないなぁと思い続けていたことになります(笑)

着付けじゃないなら、コツはなんだと聞かれたらコツはないんです。

着物寸法のツケコミと繰り越しを多目にとれば、
悪戦苦闘しなくてもすんなり簡単に衣紋は下がるのです(◎o◎)。

では、ツケコミと繰り越しとはなんぞやと聞かれたら
文章で説明するのは非常に難しいです。

直線で裁断して縫製することの多い和裁の中で
曲線になるのがこの繰り越し部分と袖の丸み(袖丸)ですが、
繰り越しは襟から何ミリ下がっているかということになるかな、
ツケコミは襟の縫い代といったらいいのかしら。。
上手く説明できなくてすいません。


この繰り越し部分が1分(4ミリ弱)違うだけで、襟の抜き加減が違います。

昔は、未婚のお嬢さんや若いお嫁さんは
ツケコミ5分で繰り越し5分というのが標準寸法でした。
だから熟女の皆様のお嫁入りの時に誂えた長襦袢や着物は,
多分殆ど繰り越し5分のはずです。

襟を抜いている色街の着方と区別するためでもあったんでしょうが、
一般の婦女子は繰り越しは5分で襟をあまり下げないで着るのが普通でした。
(でも振り袖や留め袖など礼装は昔から襟は抜いていました)

今でも年輩の方ほど、
着付けをして差し上げるときに娘の襟を抜かないでという方は多いですが、
今では老若に関わらず繰り越しを最初から7分~8分にする呉服屋さんも多いです。

繰り越し5分と8分とでそんなに衣紋の抜きが違うのかというと、
長襦袢の衿合わせを普通にしても
3分(1センチ余り)が労せずして自然に下がるということです。

着物というのは直線裁断ですから、
長襦袢の襟ををいくら下に引っ張って着ても、動いているうちに上がってきてしまいます。

じゃぁ、これから作る着物は繰り越し8分にしたらいいんだというと、
ことはそう簡単ではありません(*_*)。


繰り越しをいじるのは実は大層大変なことなのです。

それは次回また。



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