金魚のどくはく

いい人なんだってさ。
だけど時には、こっそり、ひっそり毒を吐く。
でもね、ロシナンテ…ここでの話しはナイショだよ!

月日は流れて

2017年09月28日 00時21分56秒 | あれから

春も夏もとっくに過ぎて、気がつけば9月も終わる。

保存したネコの写真を削除することもできずに、秋を迎えた。

雪がまだ溶けぬころ、小さな黒猫がベランダに現れた。

にゃぬこではなかった。

顔を合わせた時だけエサを出してやった。

春。大きなお腹で歩いていた。

ゴールデンウィークのころ、姿を見なくなった。

それが、5月の終わりころ再び姿を現した。
お腹は小さくなっていた。

7月のいつだったか、朝カーテンを開けると、4匹の子ネコと母ネコがいた。

捕まえようか。一瞬迷ったやめた。
そして、放置した。

夕方、仕事から帰ると、ネコたちの姿はなかった。

8月。再びネコたちは姿を現した。

子ネコたちはかなり大きくなっていた。
迷いながら、悩みながら、私は再び放置した。

夕方、ネコたちはまだいたが、私はカーテンを閉めて無視を決め込んだ。
朝には何処かに姿を消していた。

おそらく母ネコは、ここが安全な場所だと思ってくれたのだろう。
顔を合わせさえすればエサが出る。
そう思ってくれたのだろう。

でも。

私は子ネコたちにエサを出さなかった。

もう、私は命に手を出さない。
そう決めたから。

たまに訪れる母ネコに、茹でたささみを丸ごと放って後は知らんぷり。

母ネコはそれをたべることなくくわえると、一目散に何処へともなく帰って行った。

ああ。。。子ネコのもとに向かったのだと思って、とても悲しくなった。

ごめんね。私はあなた達を助けてあげられない。
命を守ってあげることができない。

あの保護団体が、あなた達を幸せにしてくれるとは思えない。
あの団体の責任者に、あなた達を委ねる気にはならない。

私は間違っているのかも知れない。

でも、生老病死。全てを受け入れる野良ネコたちに
人間の思惑を押しつけていいのだろうか。

やがて9月初旬。

すでに大きくなった子ネコが1匹。
甘えた大きな声で庭を横切り、塀の向こうに姿を消した。

独り立ちしたのか・・・
「おかーさん。どこにいるの?」
そんなふうに泣いているようで、とても切ない気持ちになった。

その後、あの子たちがどうなったのか分かろうはずもないけど
精一杯生きて、死んでくれ。
それが、私の率直な思いだ。

先日、久しぶり(1ヶ月以上)にあの母ネコがベランダにやって来た。

すでにお腹は大きく膨らんでいた。

生きるって辛いことだと思った。