- The Thoreau Society of Japan - <日本ソロー学会>

日本ソロー学会のホームページです。

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2021-07-07 00:04:52 | Weblog
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■ 日本ソロー学会のホームページにようこそ!

2021-06-21 17:22:41 | Weblog


こちらは日本ソロー学会のミラーサイトです。正式なページはhttp://thoreausociety.blog.fc2.com/ になります。


当学会では19世紀アメリカの思想家・随筆家ヘンリー・デヴィッド・ソロー( Henry David Thoreau) およびその影響を受けた人々、文化、文学またはソローの生きた19世紀という時代のアメリカに関する研究活動を行っております。


学会の情報については画面右下のカテゴリーをご覧下さい。

日本ソロー学会 事務局:


日本ソロー学会 会長 高橋 勤


事務局住所
〒819-0395
福岡市西区元岡744番地 九州大学言語文化研究院 高橋勤研究室


e-mail: tsutomu@flc.kyushu-u.ac.jの後にpをつけて下さい。


 


日本ソロー学会(The Thoreau Society of Japan) 2019年度全国大会プログラム

2019-09-09 15:15:20 | Weblog
日本ソロー学会(The Thoreau Society of Japan)
2019年度全国大会プログラム

期日:2019年10月4日(金)受付12時30分より 
場所:東北文化学園大学5号館第2会議室

総合司会 秡川 信弘(東北文化学園大学)
開会の辞(12時50分) 会長 高橋 勤(九州大学)
会場校挨拶 東北文化学園大学学長 土屋 滋



1. 研究発表(13時00分~14時20分) 司会 上岡 克己(高知大学名誉教授)
1) 西田 梨紗(大正大学大学院生)
「Cape Codにおけるユーモアの仕掛け」
2) 土井 由未子
「『ピルパイの動物寓話』(『ヴィシュヌ・シャルマのヒトーパデーシャ』)
―自然を表現する文学」
 

2. シンポジウム(14時30分~16時50分) 
テーマ:「ソロー、壁、公園、テクノロジー」
司会・講師: 元山 千歳(京都外国語大学)「テクノロジーとフロンティア―“Walking”の沼」
   講師: 竹内 美佳子(慶應義塾大学教授)「“Walking”に読むソローの反帝国主義」
   講師: 松永 京子(神戸市外国語大学)「“Walking”に『公園 (parks)』はあるのか?
―ソローの想像力における “the Wild vs. the Tamed”」
   講師: 松島 欣哉 (香川大学)「“Walking”から未踏の地へ踏み出す」

3. 特別講演(17時00分~18時00分) 
  題目: 「ソローとワーズワース」
講師: 小口 一郎 氏(日本ロマン派学会会長)
司会: 伊藤 詔子(広島大学名誉教授)

閉会の辞 副会長 佐藤 光重
総会(18時15分~18時30分) 
                                         
懇親会(19時~21時) 
場所: かこいや仙台駅前店(予定)


日本ポー学会第11回年次大会・第12回総会

2019-09-01 15:10:13 | Weblog
日本ポー学会第11回年次大会・第12回総会http://www.poejapan.org
2019年9月7日(土)受付開始10時
於・立正大学 品川キャンパス石橋湛山記念講堂(〒141-8602東京都品川区大崎4-2-16)
▼10:20  開会式   総合司会 河野 智子(法政大学・非)
開会の辞     日本ポー学会会長 巽 孝之
会場校挨拶  立正大学学長   吉川 洋
▼10:30-11:50  研究発表
1. 船という棺に幽閉されたピムの物語――hoaxから出られないミステリー
宇佐 教子 (首都大学東京・非) 司会 髙瀬 祐子(沼津高等専門学校) 
2. 推理は詩作のごとく――"The Murders in the Rue Morgue"におけるフランス革命と詩的想像力
岡本 晃幸 (藤女子大学) 司会 鎌田 禎子(北海道医療大学) 
▼12:50-15:20  シンポジアム 「ポー トピカル/ポー トロピカル」
司会 伊藤 詔子 (広島大学)
講師 福島 祥一郎 (同志社女子大学) 「ポーとニューヨーク」
 西山 智則 (埼玉学園大学) 「生きる屍」の表象をめぐって――ポー、ゾンビ、ハイチ  
 伊藤 詔子 「死」というトポスの創出――ポーと朔太郎
 高山 宏 (大妻女子大学) 「場のマニエリスト、マニエリストの場」
▼15:40-17:20  特別公演 ドビュッシー未完のオペラ『アッシャー家の崩壊』演奏会

ピアノ 青柳 いづみ子 ソプラノ 盛田 麻央     司会 巽 孝之(慶応義塾大学)
フライヤーアドレス http://www.poejapan.org/poe12th2019.pdf
▼17:30-18:00 総会  
▼18:00 閉会の辞                      日本ポー学会副会長 井上 健
▼18:30-20:30 懇親会
会員外も参加無料

■ 2017年度全国大会プログラム

2017-09-04 23:57:04 | 全国大会情報
日本ソロー学会(The Thoreau Society of Japan)
2017年度全国大会プログラム
ソロー生誕200年記念大会

期日:2017年10月13日(金)受付11時30分より
場所:鹿児島大学 学習交流プラザ2階 学習交流ホール
   〒 890-8580 鹿児島県鹿児島市郡元1?21?24

総合司会 山田 久美(久留米工業大学)
開会の辞(12時15分) 会長 高橋 勤(九州大学)

1. 研究発表(12時20分~14時50分)
第一部(12時20分~13時30分)  司会 堀内 正規(早稲田大学)
 1) 冨塚 亮平(慶應義塾大学大学院)
「対話と想起--エマソンとソローにおける友愛」
 2) 亀山 博之(東北大学大学院)
  「エマソンの天才論再考――「才能」か「代償」か」
第二部(13時40分~14時50分) 司会 小倉いずみ(大東文化大学)
3) 平松 史子(国際基督教大学大学院修了)
   「コンコードに響く「宇宙の竪琴」- H・D・ソローのハープ、その憧憬と表象」
 4) 高梨 良夫(長野県短期大学)
「エマソンとソロー――自然観をめぐって」

2. シンポジウム(15時10分~16時50分) 
テーマ:「ソローと教育」
司会・講師 塩田 弘(広島修道大学)
   講師 小野 美知子(翻訳者・通訳者)
      山口 敬雄(東京福祉大学)

3. 特別講演(17時00分~18時00分) 
講師:アーサー・ビナード(文芸評論家)
「『はらぺこ たましい』-- 21世紀におけるソローの働き」
司会:松島 欣哉(香川大学)

閉会の辞(18時00分) 副会長 佐藤 光重(成城大学)
総会(18時05分~18時20分)
                                         
懇親会(19時00分~21時00分) 司会 竹内 勝徳 氏(鹿児島大学)
場所:マルコポーロ (会費:6,000円)
住所:鹿児島県鹿児島市上之園町1-1(鹿児島中央駅から徒歩10分)
電話:099-296-1188 ホームページ:http://marco-polo.me/

■ 2016年度全国大会プログラム

2016-08-06 00:03:35 | 全国大会情報
日本ソロー学会(The Thoreau Society of Japan)
2016年度全国大会プログラム

期日:2016年9月30日(金)受付12時00分より
場所:ノートルダム清心女子大学 ヨゼフホールA棟2階1202JA会議室
   〒700-8516  岡山市北区伊福町2-16-9

総合司会 山口 敬雄 氏(東京福祉大学)
開会の辞(12時25分) 会長 小倉 いずみ 氏(大東文化大学)

1. 研究発表(12時30分~14時00分) 司会 松島 欣哉 氏(香川大学)
 1) 塩田 弘 氏(広島修道大学)
   「アメリカの教科書におけるThoreauの教え方――Walden, “Economy”を中心に」
 2) 山田 久美 氏(久留米工業大学)
  「船出ということ〜Thoreauの川旅に寄せる想い」

2. シンポジウム(14時15分~16時15分) 
テーマ:「Dissent とポリティクス」
司会: 佐久間 みかよ 氏(和洋女子大学)
パネリスト:
 武田 将明 氏(東京大学):「非国教徒(Dissenter)ダニエル・デフォーの市民的不服従――
 The True-Born EnglishmanからAnglo-Scottish Unionまで」
 山本 洋平 氏(明治大学):「アメリカン・ルネサンスにおける市民的不服従をめぐって」
 新田 啓子 氏(立教大学):「ソローのプリズム――黒人にとっての市民的不服従」
コメンテーター: 元山 千歳 氏(京都外国語大学)

3. 特別講演(16時30分~17時30分) 
「反戦と忠誠――ソロー、ミッチェル、ジョージ・タケイ」
講師:荒 このみ 氏(東京外国語大学名誉教授)
司会:小倉いずみ 氏(大東文化大学)

閉会の辞(17時30分) 副会長 高橋 勤 氏(九州大学)
総会(17時35分~18時00分)
                                          
懇親会(18時00分~20時00分) 司会 真野 剛 氏(海上保安大学校)
  岡山ロイヤルホテル
  〒700-0028 岡山県岡山市北区絵図町2-4 Tel. 086-255-1111(会費:6,000円)   

■ 2015年度全国大会プログラム

2015-07-24 11:25:58 | 全国大会情報

日本ソロー学会(The Thoreau Society of Japan)
日本ソロー学会創立50周年記念
2015年度全国大会プログラム

期日:2015年10月9日(金)受付11時30分より
場所:京都外国語大学 国際交流会館会議室(9号館4階)
〒615-8558 京都市右京区西院笠目町6 Tel. 075-322-6012

総合司会 村上裕美 氏(関西外国語大学短期大学部)
開会の辞(11時55分) 会長 小倉いずみ 氏(大東文化大学)
研究発表第一部(12時00分~13時20分) 司会 佐久間みかよ 氏(和洋女子大学)
1. 瀧口美佳 氏(立正大学)「超絶主義者たちと北欧神話」
2. 貞廣真紀 氏(明治学院大学)「ソローの味覚」
研究発表第二部(13時30分~14時50分) 司会 高梨良夫 氏(長野県短期大学)
3. 松島欣哉 氏(香川大学)「Orestes A. Brownsonのエマソン批評
――“Literary Ethics”を中心に」
4. 藤田佳子 氏(奈良女子大学)「<心>の探索――中・後期のエマソン」

日本ソロー学会創立50周年記念大会シンポジウム(15時~17時30分)
司会 伊藤詔子 氏(広島大学)
テーマ:ソロー学会50周年記念シンポジアム――回顧と展望
パネリスト:
小野和人 氏(九州大学):「学会50年(その概括ないし瞥見)」
山本 晶 氏(慶応義塾大学):「ヘンリー・ソロー、宮澤賢治その他の〈孤独〉と〈食物〉
――東洋思想、政治思想、食習慣との関連において考える」
齊藤 昇 氏(立正大学):「ソロー・野澤一・高村光太郎」
上岡克己 氏(高知大学):「大学におけるソロー教育の意義」
伊藤詔子 氏(広島大学):「核時代の“Civil Disobedience”」

閉会の辞(17時30分) 副会長 高橋 勤氏(九州大学)
総会(17時35分~18時00分)
                                          

懇親会(18時00分~20時00分) 司会 元山千歳 氏(京都外国語大学)
京都外国語大学ユニバーシティギャラリー 9号館6階(会費:6,000円)
〒615-8558 京都市右京区西院笠目町6 Tel. 075-322-6012


2014年度全国大会プログラム

2014-09-05 18:26:37 | Weblog

期日:2014年10月3日(金)受付12時より

場所:北星学園大学 第2研究棟地下1階第1会議室
〒004-0042 北海道札幌市厚別区大谷地西2-3-1

総合司会 瀧口美佳 氏(立正大学)

開会の辞 会長 小倉いずみ 氏(大東文化大学)

1. 研究発表(12時30分~14時00分)司会 高梨良夫 氏(長野県短期大学)

1) 金澤淳子 氏(早稲田大学〈非〉)
「「詩人」の仕事――ソローからディキンスンへ」

2) 高橋 勤 氏(九州大学)
「根をもつということ――ソローの文化論」

2. シンポジウム(14時15分~16時15分)
テーマ:コンコードの作家たちと外国文学

パネリスト:

松島欣哉 氏 (香川大学):「ウィリアム・エラリー・チャニングのアメリカ文学論」
竹野富美子 氏(名城大学〈非〉):「ホーソーンとギリシア神話」
山口敬雄 氏 (東京福祉大学):「ソローの菜園と遷移するコンコードの森」
本岡亜沙子 氏(広島経済大学):「ディケンズファンのオルコットがつづる物語」

3. 特別講演(16時30分~17時30分)

「Why Read Walden?」

講師:渡邊利雄 氏(東京大学名誉教授)
司会:上岡克己 氏(高知大学)

閉会の辞(17時30分)副会長 高橋 勤氏(九州大学)

総会(17時35分~18時00分)小倉いずみ氏、瀧口美佳氏

懇親会(18時00分~20時00分)司会 山田久美 氏(久留米工業大学)

北星学園生活協同組合 (会費5,000円)TEL: 011-891-2313

北星学園大学は全面禁煙です。会議室も懇親会場も禁煙です。


■ 2013年度全国大会プログラム

2013-10-01 11:37:24 | 全国大会情報

日本ソロー学会(The Thoreau Society of Japan)
2013年度全国大会プログラム
日時  2013年10月11日(金) 11時45分より受付
場所  青山学院大学青山キャンパス 総研ビル9階 第16会議室
        東京都渋谷区渋谷 4-4-25

総合司会 佐藤 光重 氏(成城大学)
開会の辞(12時15分)

会長 松島 欣哉 氏(香川大学)

研究発表(12時20分~14時20分)
司会 小野 美知子 氏(岩手医科大学)
1. 超絶主義者Bronson Alcottの教育観についての考察―現代日本の教育を視野に入れて―
発表 水本 有紀 氏(甲南大学(非))

司会 高梨 良夫 氏(長野県短期大学)
2.  終の逍遥:ソローの歩いたケープ・コッド
発表 山田 久美 氏(久留米工業大学)
3.  もう一つの文明論邦訳──エマソン受容史の最初期にみる
発表 山本 晶 氏(慶應義塾大学名誉教授)

休憩(14時20分~14時30分)

シンポジウム(14時30分~16時40分)    

コーディネーター 小澤 奈美恵 氏(立正大学)
テーマ  探検記録文学とアメリカ先住民──ソローとアメリカ文学への影響
1.  植民地時代の先住民とピーコット戦争
講師 小倉 いずみ 氏(大東文化大学)
2.  ワシントン・アーヴィングと先住民の関係
講師 瀧口 美佳 氏(立正大学(非))
3.  植民地時代の記録文学──ソローへの影響
講師 小澤 奈美恵 氏 
4.  ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの『アメリカ人気質』
講師 余田 真也 氏(和光大学)

休憩(16時40分~16時50分)

特別講演(16時50分~17時50分)      

司会 堀内 正規 氏(早稲田大学)
演題  無心のアーティスト──芭蕉・・・ソロー・ジョイス・ケージ
講師 今福 龍太 氏(東京外国語大学)

閉会の辞(17時50分~17時55分) 
副会長 小倉 いずみ 氏(大東文化大学)

総会(17時55分~18時20分)        
司会 幹事 真野 剛 氏(松山大学)

懇親会(18時30分~20時30分)       司会 真野 剛 氏
会場:青山学院大学会館3F 「アロン」 会費:6,000円


■ 2013年度 日本ソロー学会全国大会レジュメ

2013-10-01 11:32:09 | 全国大会情報

I.    研究発表
司会 小野 美知子 氏(岩手医科大学)
1 超絶主義者Bronson Alcottの教育観についての考察
 ──現代日本の教育を視野に入れて
水本 有紀 氏(甲南大学(非))

現代の日本では、目まぐるしく変化する社会に対し、子どもたちをとりまく教育環境の改善が課題とされている。このような状況において、文部科学省は知識、道徳、体力から成る「生きる力」の育成を理念とし、知識や技能の習得とともに、自ら学び、考え、問題を解決する能力などを養うことを重視している。この教育理念は、超絶主義者Bronson Alcottが目指した、子どもが自ら学び向上しようとする力を伸ばす教育を彷彿させる。Alcottによれば、子どもの中にはすでに学ぶべきことが神によって植えつけられており、教師は子どもが内包している能力の萌芽を導く役目を担っている。Alcottの教育観の特徴は、個人としての児童の尊さを強調したことにあったが、社会との関わりを顧みない個人主義的教義とは一線を画す。超絶主義の説く個人主義は、個の内で完結してしまうものではなく、社会との相互関係において社会的存在としての個を尊重するものであり、このことはAlcottが道徳教育を重視した点にもつながる。本発表では、「生きる力」をはじめとする現代日本の教育課題を視野に入れながら、Bronson Alcottの教育思想を自己教育、道徳教育という観点から再評価したい。

司会 高梨 良夫 氏(長野県短期大学)
2 終の逍遥:ソローの歩いたケープ・コッド
山田 久美 氏(久留米工業大学)

 ソローが岬へ向かったのは、1849年、1850年(この2回はチャニングと同行した)、そして1855年、1857年と、総計4度にも及ぶ。つまり、コンコードという生誕の地に終生、確たる軸足を置いていたソローにとって、郷里を離れての「旅」という観点から見れば、このケープ・コッドこそ最多の訪問地であったと結論できる。初回1849年の旅は、ソロー哲学の頌徳碑ともいうべき「市民の不服従」が発表され、また大切な姉ヘレンを失った忘れ難き夏の後であったし、2度目となった翌年のケープ訪問は、そのままファイヤーアイランド沖で溺死したマーガレット・フラー一家の遺品の海岸探索と期を同じくするものであった。さらに、『ウォールデン』発表の翌年、ソローは『コッド岬』の一部を刊行して3度目にかの地を再訪した。そうして、最後の1857年という年には、奴隷解放論者ジョン・ブラウンと出逢い、メインの森への3度目の旅行の後に、一人でこの岬を歩いている。
 このように、ソローの人生録に忘れ得ぬ頁を刻んだはずの出来事の数々が4たびのケープ・コッド行きと結びついたのは単なる偶然の結果であろうとは思えない。『コッド岬』という作品については多くの優れた先行研究があるのだが、本発表では、これまで触れられて来なかった旅の真意を探ることに焦点を当てたい。

司会 高梨 良夫 氏(長野県短期大学)
3 もう一つの文明論邦訳
 ──エマソン受容史の最初期にみる
慶應義塾大学名誉教授 山本 晶 氏

 エマソン晩年の14~5年は、文明開化に邁進する維新時代の初期に相当し、エマソンは「現代」の(今から見れば「同時代」の)思想家であった。
 一般にエマソン受容は明治27(1894)年に発行された透谷・北村門太郎の『エマルソン』をもって嚆矢とするが、それは文壇史に有名な逸話であって、むろん同書に至るまでには前史があったわけである。
 まず日本最初の原典出版は明治15年、16年(1882-83)に東京大学が発行した教科書2冊で、第1冊の刊行年はエマソンの歿年にあたり、第2冊の巻頭を「文明」が占める。両書は1876年のボストン版が底本と推定される。
 つぎにエマソンの本邦初訳は、文明論の本邦初訳でもあって、会津人の考古学者、千里・佐藤重紀が明治23(1890)年4月に刊行した。
 実はその直前の3月、「謙堂」なる人物が同じ作品を「開化」と題して訳了にしていたのである。その原稿が、幕政時代は徳島藩士で昌平黌に学び、維新の時代には内務省などに出仕した漢詩人にして洋学者、雲外・鋭一(天保4-明治28、1833-95)の原稿3点と共に保存されていた。
 邦訳の「開化」原稿には、前述した東大版教科書の第2冊、または前述したボストン版に依拠したであろう顕著な特徴が見られる。他方、該原稿の文体は佐藤訳と同様に、当時漢籍の素養豊かな文人がよく用いた和漢混交文、乃至、漢文訓読体であるものの、手法は対照的に全く異なる。
 かかる考察はまた、外山正一、中村正直、神田乃武、高田早苗、三上参次、徳富蘇峰、島崎藤村、東海散士、廣澤安任、福澤諭吉、謙堂と号した植村正久や松本仁吉、さらに戸川秋骨そのほか多数の人士と関わることになろう。


II.    シンポジウム     
コーディネーター 小澤 奈美恵 氏(立正大学)
テーマ  探検記録文学とアメリカ先住民──ソローとアメリカ文学への影響

1.  植民地時代の先住民とピーコット戦争(1637)
講師 小倉 いずみ 氏(大東文化大学)

1630年にジョン・ウィンスロップが率いた大移住でボストンを中心としたニューイングランド地域は、英国による新大陸での植民地経営を軌道に乗せた。英国が設立したマサチューセッツ湾植民地、プリマス植民地、コネチカット植民地、ニューヘイヴン植民地は1637年にインディアンの有力部族であるピーコット族と戦争を行なった。実際の戦闘期間は短いが、この戦争は英国からの移住者が団結してインディアンと戦った最初の戦争である。
英国の支配権を大きく広げたピーコット戦争は、アメリカ先住民が先祖伝来の土地を失う端緒となった。本発表は新大陸における土地所有の概念、ピーコット戦争の解説文書、戦争の歴史的解釈を検討することにより、当時の英国の植民地の協力関係と先住民との交渉をさぐり、先住民の排除につながった要因を検討する。


2.  ワシントン・アーヴィングと先住民の関係
講師 瀧口 美佳 氏(立正大学(非))

ワシントン・アーヴィングは17年間のヨーロッパ滞在経験や代表作The Sketch Bookの大半がイギリスを扱った短編・随想であったため、ヨーロッパに偏った作家との印象をぬぐいきれないが、アメリカについての作品も数多く生み出した。その代表作としては、前出のThe Sketch Book 中の“Rip Van Winkle”や“The Legend of Sleepy Hollow”、ヨーロッパから帰国後に出版されたA Tour on the Prairies、ビーバー取引で巨大な富を築いたジョン・ジェイコブ・アスターについて書いたAstoria、そして西部先住民の明確な記録として価値が認められているThe Adventures of Captain Bonnevilleなどがあげられる。本発表では、The Sketch Bookに収められた先住民を描いた作品“Traits of Indian Character”と“Philip of Pokanoket”に着目し、アーヴィング文学の前半期における先住民の描き方を論じ、アーヴィングと先住民の関係について考察してみたい。


3.  植民地時代の記録文学──ソローへの影響
講師 小澤 奈美恵 氏(立正大学)

 ソローの「インディアン」への執着は周知のことであるが、本発表では、ソローの先住民観に影響を与えたと思われる三つの植民地時代の文書を検証する。
特に、後期の作品『メインの森』の中で言及されている三つの文書に絞って、それぞれがソローに与えた影響を考察する。一つ目は、ドイツ系プロテスタントの出版者、テオドール・ド・ブライが世界の探検記録をヨーロッパに伝えた『紀行文集』(Collectiones Peregrinationum in Indiam, Orientalem et Occidentalem 1590~1634年)の中に描かれる新大陸の異教徒としての先住民像、二つ目は、探検家、ジョン・スミスの1614年の報告書『ニューイングランドの記録』(Description of New England)で伝える新大陸の労働力としての先住民像、三つめは、1722~23年にイエズス会のセバスチャアン・ラール神父が『イエズス会通信』(Jesuit Relations) で伝えたメイン州のアベナキ族の描写である。そしてこのラール神父を通じて、ソローは20世紀の作家ウィリアム・カルロス・ウィリアムズとも繋がっていく。


4.  ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの『アメリカ人気質』
──ソローとの接点を求めて
講師 余田 真也 氏(和光大学)

 異なる時代を生きたWilliam Carlos WilliamsとHenry David Thoreauとのあいだには、アメリカ先住民に対する関心を記した作家という共通項があるが、植民地時代の記録文学を媒介にすると、それ以上のつながりが垣間見える。アメリカン・モダニズムの想像力によって「新世界」の歴史を捉えなおす詩的散文集In the American Grain(1925)で、ウィリアムズが高く評価した植民地時代のイエズス会神父Sebastian Raslesは、アメリカ北東部(メイン奥地やケベック)を居住地としていた先住民アベナキと生活をともにし、彼らの言葉を習得して最初の辞書を作った人物で、その辞書は奇しくもソローがメイン州奥地探訪記The Main Woods(1864)に残した先住民の言葉の解説や語彙集の情報源として言及されているのである。拙著『アメリカ・インディアン・文学地図』(2012)で展開したウィリアムズ論では、20世紀同時代における『アメリカ人気質』の文化史的な意義を探り、現代批評の文脈において再評価することに力点をおいていたが、本報告ではラール神父を結節点とする二つのテクストを主な対象にして、ウィリアムズとソローの関係性に分け入ってみたい。


III.    特別講演

司会 堀内 正規 氏(早稲田大学)
演題  無心のアーティスト──芭蕉・・・ソロー・ジョイス・ケージ
講師 今福 龍太 氏(東京外国語大学)

 コンコードの森を生涯かけて歩き回り、感覚を彷徨わせ、地形や動植物、周囲の風景や物音を研ぎ澄まされた五感だけを頼りに無心に受けとめたソロー。ソローの、この個人的意図を離れた「無心」を一世紀の後に引き継ぎながら、音とことばの森を特異なオプティミズムをもって逍遥した作曲家ジョン・ケージ。ソローの日記を霊感元にしてケージは“Mureau”や“Empty Words”といった偶然性の音楽作品を創造し、ソローのデッサンをもとに不思議な絵画やグラフィック・スコアを描いた。ケージを媒介にして、20世紀の前衛的な芸術思想にソローはいかなる貢献をしたのか。それは、芭蕉からジョイスに至るミニマルで偶有性に彩られた言語活動の水脈といかに関わっているのか。東西の300年間の歴史のなかに現われた「無心のアーティスト」たち。その隠された系譜のなかにソローをあらたに位置づける試み。