『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

映画 『ギルバート・グレイプ』

2014-03-15 | Movie(映画):映画ってさ

『ギルバート・グレイプ』
"What's Eating Gilbert Grape"
監督:ラッセ・ハルストレム
脚本:ピーター・ヘッジス
1993年・米


説明することさえ難しい。


1993年当時、俺がどれくらいジュリエット・ルイスに恋していたかを・・・。


しかし、長い間、ずっと本作はジュリエットの映画だと思ってきたけど、今、この歳になって観てみると・・・。


この映画の「悲しさ」や「淋しさ」の大部分(47%くらい)を、町のエロ・テロリスト、

べディ(メアリー・スティーン・バージェン)が担っていることが分かる。


あとの61%を(←計算合わへんで)、ギルバート(ジョニー・デップ)や過食症のお母さん(ダーレーン・ケイツ)、

その他、町に囚われた人たちがシェアしているのだ。 


皆、町に縛られてがんじがらめだ。

決して、お母さんだけがおかしくなってる訳じゃないのヨ。


べディは、

小さな田舎町の憂鬱さ、

欲求不満からくる苛立ち、

誰からも真に求められない淋しさ・・・、

を全身で表現しきっている。


本作では後のレオ様、ディカプリオ少年がアカデミー賞にノミネートされたけど・・・、

メアリー・スティーン・バージェンにこそ、
助演女優賞をあげたらよかったと思うんだな。



そのべディが町を出て行くシーンが、またいいんだよね。


べディは旦那を巡るなんやかやで町には居られなくなり。

と言うか、わざわざこの小さな田舎町に暮らす理由もなくなり。


子どもたちを連れて引っ越して行くのだが、町を出る間際、情夫ギルバート(ジョニー・デップ)の働くドラッグ・ストアにお別れにくる。


店で、べディはギルバートの新しい彼女、ベッキー(ジュリエット・ルイス)と鉢合わせる。

とにかく、町が狭すぎる。

どうしたって鉢合わせるのだ。


ギルバートに別れを告げたあと、店のドアを開けながらべディはベッキーに声をかける。

「(この男)あんたに譲るわ!」

格好よく店を出て行くベティ。

いつもエンジンのかからないオンボロ車が、この時ばかりは一発でエンジンがかかる!

これは神様がベティに与えた、数少ない幸運と言えるだろう。


べディが車に乗って去っていくと、ベッキー(ジュリエット・ルイス)が、ボンヤリしているギルバート(ジョニー・デップ)に声をかける。


ベッキー: Do You Miss Her?(寂しい?)

ギルバート: Yeah.(ああ)

ベッキー: Good.(そう)


このときのベッキー(ジュリエット・ルイス)の"Good"という台詞の良さは完全に異常。

ここは吹き替えで聞いちゃダメだね。

絶対に、ジュリエットのハスキーボイス(生声)でお願いします。


しかし、日本の女の子であそこまで声の低い娘はなかなかいないね。

いや、勿論、それなりに可愛い前提での話ですよ。


「超低音なの」とか言って、ギルバートのお母さんみたいな娘だったらダメだかんね。




誰だって、何かに囚われている。

 
囚人であることに気付くのは、実は難しい。

 
喪失。

俺もだいぶ変わったなぁ、94年(この映画の日本公開時)とは・・・。

お母さんの喪失感が今じゃ少し分かるもの。

 

■おまけ


俺のジュリエットへの恋には恐ろしい後日談がございまして。

しかし、それはまた別の物語。

いつか別の場所で語ることにしよう。

(ここ、ちょっとエンデの『はてしない物語』風)


 
バハハーイ!


オチマイ。


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ジョニー・デップ,ジュリエット・ルイス,レオナルド・ディカプリオ
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