coyote No.49
Autumn/Winter 2013
THE VERY BEST OF patagonia
40 years special issue
「釣り」だけに生きてきた俺のような人間にとって・・・、
2007年に出た coyote 17号の
『特集:イヴォン・シュイナード 地に住む者のための川』
は、ほとんど聖書みたいになっとるわけですわ。
勤務中も、未だに抽斗から出してコソコソ読んじゃう。
わりとデカい雑誌なんで、コソコソって言いつつ、全然隠れてませんが・・・。
あれから6年経ちましたが、今号でも25ページでイヴォンがその時と同じチェックのシャツを着ているのがイイですね。
こんだけ「リペア」「リサイクル」「リユース」と言ってるイヴォン・シュイナードが、
ディビッド・ベッカムみたいに一回でも身につけたシャツは全部ゴミ箱にポイしてたら笑けますけどね。
そんで。
この最新号について話しだすと、ものすごく長くなりそうなんで、思いっきり絞って書きますけども。
衝撃を受けたのはパタゴニア本社社員にフォーカスした特集、
『A Day in Ventura』。
何もない町だったベンチュラは、パタゴニア社によって今では聖地化しており、
そこで働く社員たちのインタビューなのですが、
中でもスイムスーツ担当の日本人、大原さんの働き方がとっても素晴らしい。
ちょっと、面倒くさがらずに、以下読んでみてチョ。
・京都の同志社大学@「八重の桜」で、ウィンドサーフィンを始める
↓
・大学卒業、サーフィンに関わる仕事を志望
↓
・帝人に入社して、セイル・クロス(セイルの布)の開発営業部門へ配属
↓
・鎌倉で出会ったイヴォン・シュイナードに感銘を受け、帝人で『パタゴニア』向けのファブリック開発チームを立ち上げ
↓
・アメリカズカップのオフィシャルサプライヤー(帝人)の担当者として米国に通う
↓
・レース終了後の食事会で、帝人のライバル、ディメンション・ポリアント社の社長から「ウチ(コネチカット)来る?」とお誘い
↓
・「いくいく!」と答えて、大阪からコネチカットへ引越し、ディメンションに転職してNASAなどとお仕事
↓
・帝人時代同様、ディメンションでも個人的に惹かれていた『パタゴニア』との仕事を作って頻繁にベンチュラへ
↓
・ある日、ベンチュラでパタゴニアと打合せた後、「ウチ(南カリフォルニア)来る?」とお誘い
↓
・「いくいく!」と答えてパタゴニアに転職、イヴォン特命で環境負荷の少ないウェットスーツ開発に注力
↓
・別の仕事で行ったアリゾナ州の農家でグアユールという(枝を折ると中から液体が出てきて、手でこねるとゴムみたいになる)植物を知る
↓
・「使える!このゴムみたいの、ウェットスーツに使えるやん!」ビビビっときて、この植物を研究していたユーレックス社と契約
↓
・2012年、『パタゴニア』から世界に先駆けてグアユール・ラバーのウェットスーツを発表
ちょっと漫画っぽいくらい、素敵なワーキング・ライフだ。
きっと自分が何をやりたいか分かってるから、迷いが無いんだろうなぁ。
俺のいる業界でも「転職命!」みたいな人がたまにいるけど、皆さん、何というか・・・、
こんなに幸せそうじゃないというか・・・(笑)。
途中、ディメンション・ポリアント社に移るとことか、よく考えたらライバル会社への鞍替えなんだけど・・・、
あくまで「夢を追って」のことなんで、あんまし生臭さが無い。
大原さんの場合、たぶん目が血走ってないと言うことだろう。
これ、実はわずか2ページなんだけど、色々と考えさせられる記事でした。
■おまけ
普段のコヨーテを読むような(?)文学青年向けプレゼント的な感じで、本号には片岡義男のエッセイ『My Patagonia Selection』が掲載されてます。
そりゃ、あなた相変わらずの浮遊感で。
名人芸。
■本 de 釣り
・『川釣り』 井伏鱒二 (1952年)
・『セーヌの釣りびとヨナス』 ライナー・チムニク (1965年)
・『私の釣魚大全』 開高健 (1969年)
・『アメリカの鱒釣り』 リチャード・ブローティガン (1975年)
・『モンゴル大紀行』 開高健 (1992年)
・『イギリスの釣り休暇』 J.R.ハートリー (1994年)
・『イエメンで鮭釣りを』 ポール・トーディ (2009年)
<Amazon>
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(おまけ)
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