『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

映画 『バットマン リターンズ』

2012-03-29 | Movie(映画):映画ってさ

『バットマン リターンズ』
"Batman Returns"
1992年・米
監督:ティム・バートン
脚本:ダニエル・ウォーターズ


いんやー、疲れちまった。

2008年に『ダークナイト』"The Dark Knight"を観てヘロヘロになりながら劇場を出たとき、いっちょ次作が出るまでに旧作を全部見直したろと。

そんな、みんな一瞬思うだけで理性があるから実際には決してやらないことを、内定もらった後のどフリーな大学生でさえ普通手を出さないようなことを、ぽっくんやっちゃったよーん。

クリストファー・ノーランによる最終作、『ダークナイト ライジング』"The Dark Knight Rises"が今年の7/28公開なんで、4ヶ月の猶予をもってフィニッシュ。


まあ、なんとも言えんかったね。

飲んで帰って、プレミアリーグ観たいのに、早く寝ないと明日も朝から会議なのに、それでもバットマン。

ちょっとした苦行の日々でもあったわけ。

ノーランの2本と、ティム・バートンの2本はともかく、中盤のジョエル・シュマッカーのは、相当酔ってないと見れなかった。

(そのかわり、酔払って見るとそれなりに楽しかった)



バットマンシリーズの何が悲しいかって、まあ、これはゴッサムの世界観の重要なキモでもあるんだけど、結局、自警市民バットマンも、市長や地方検事も、他ならぬ怪人たちでさえ、常に「ゴッサム市民の人気取り」に汲々としているのだ。

その中でも、移り気で実体のないこの市民からの人気と敬意をもっとも渇望したのが、本作の怪人『ペンギン』と言えるだろう。


この映画でもっとも秀逸と思ったのは、市長当選を目指して街頭演説するペンギンが、バットマンの罠にかかって、陰で市民をボロクソにこき下ろした時の録音テープを公開され、さっきまでペンギンを熱狂的に受け入れていた市民から罵声と野菜を投げつけられるシーン。

このシーンには、バットマンシリーズの全要素が集約されている。

すなわち・・・、

(1)バットマンは目的のためなら、超セコい手を平然と使う。

(2)バットマン側のテクノロジー(執事のアルフレッドによってもたらされる)は、ほとんど全ての場合において怪人たちの上をいっている。これにより最初から怪人たちはテクノロジー面で大きなハンディキャップを背負い、バットマンはアドバンテージを持っている。

(3)ゴッサム市民は移り気、且つ自分本位で、怪人のこともバットマンのことも、都合が悪くなれば平気で切り捨てる。

(4)怪人の極端に暴力的な破壊活動は、たいていゴッサム市民が怪人を傷つける/黙殺する/抑圧するによって、怪人のコンプレックスが増大された時に引き起こされる。


ね?(←おっさん得意げ)


でもさぁ、市民が急に寝返って野菜を投げつけだした時の、ペンギンの台詞

「こいつら、なぜ野菜をもってきてる!?」

は、ほんまに洒落が効いてると思う。


脚本のダニエル・ウォーターズがどこまで捻りを込めたか知らんけど、これはようするに、

「こいつら、俺に熱狂していたはずなのに、最後には野菜を投げつけるのを想定して(野菜を持って)来とったんかい!?」

という、劇中のキャラクターとしてのペンギンのゴッサム市民への皮肉と

「映画のこういうシーンで、必ず野菜が飛んでくるのは何故なんだ!?」

という劇外からの映画メディアへのからかいを同時に言ってるんだろね。

このシーンは、完璧といって良いんじゃないかな。



それにしても、この画の力は凄い。
今年のメークのテーマはグロカワイイで決まり!


うほほーい。
アヒルの背中に変なん見えた人は、お目めが疲れてます。
バートンは、このアヒルちゃんを、なんと『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)に使いまわしたそうな。(嘘)


<トーキン・アバウト・コウモリ男!>


『バットマン』"Batman"(1989)
 ティムバートン1作目。
 バットマンはマイケル・キートン。
 ヴィラン(怪人)はジョーカー(ジャック・ニコルソン)。

『バットマン リターンズ』"Batman Returns"(1992)
 ティム・バートン2作目。
 バットマンはマイケル・キートン。
 ヴィランはペンギン(ダニー・デヴィート)とキャットウーマン(ミシェル・ファイファー)。

『バットマン フォーエヴァー』"Batman Forever"(1995)
 ジョエル・シュマッカー1作目。
 バットマンはヴァル・キルマー。
 ヴィランはトゥー・フェイス(トミー・リー・ジョーンズ)とリドラー(ジム・キャリー)。

『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』"Batman & Robin"(1997)
 ジョエル・シュマッカー2作目。
 バットマンはジョージ・クルーニー。
 ヴィランはMr.フリーズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)とポイズン・アイビー(ユマ・サーマン)。

『バットマン ビギンズ』"Batman Begins"(2005)
 クリストファー・ノーラン1作目。
 バットマンはクリスチャン・ベール。
 ヴィランはラーズ・アール・グール(リーアム・ニーソン)とスケアクロウ(キリアン・マーフィ)。

『ダークナイト』"The Dark Knight"(2008)
 クリストファー・ノーラン2作目。
 バットマンはクリスチャン・ベール。
 ヴィランはジョーカー(ヒース・レジャー)とトゥー・フェイス(アーロン・エッカート)。

『ダークナイト ライジング』"The Dark Knight Rises"(2012)
 クリストファー・ノーラン3作目。
 バットマンはクリスチャン・ベール。
 今度こそ、俺おしっこチビるかも新米(しんまい)

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』"Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)"(2014)
 ある意味、続編でしょ(笑)
 アレハンドロ・ゴンサロ・イニャリトゥ1作目。
 バードマンはマイケル・キートン。
 ヴィランは過去の名声。 


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バットマン リターンズ [Blu-ray]
ミシェル・ファイファー,マイケル・キートン,ダニー・デヴィート
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