断片録

思うことなど漫然と記す。(記事内容をよりよくするため、しばしば修正や削除もします。)

不景気の時は、社長と一緒に社員も損をするのか。

2017-05-01 15:50:44 | 日記
『経済学・哲学草稿』マルクス、長谷川宏訳、光文社古典新訳文庫より。

「労働者は、資本家がもうけるときいっしょにもうけにあずかるとは限らないが、資本家が損をすれば必ずいっしょに損をする」(「1.賃金」、19頁)

資本家を社長、労働者を社員としよう。私の個人的体験を書いてみよう。もう十年以上も前になるかと思う。私の勤めていた中小企業は、業界の構造的不況により、十数年間自転車操業で苦しんだのちに倒産した。その十数年間、私の上司でもあった社長は苦しみ続けたが、社員の私の給料は減らなかった。

会社が傾き始めると、社長はお金のやりくりに困り出し、自分の給料を減らし始め、しまいにはほぼ無給となった。社員の給料を減らすことはほとんどなかった。昇給もボーナスも雀の涙だったけれども、私の知る限り、社員の減給だけはなかった。

その理由を仄聞するところでは、減給で社員が逃げ出したとしたら、悪評が立つわ業務が滞るわで、それこそニッチもサッチもいかなくなるから、だそうだ。必ずしも社長の善意ではなかったかもしれないが、とにかく減給だけはなかった。

だから、マルクスの「資本家が損をすれば必ずいっしょに(労働者は)損をする」というくだりには、無条件では同意はできない。なるほど、会社が倒産すれば社員も路頭に迷い、いっしょに損をすることになるが、それでも私の場合(私は結局は倒産する前に辞めてフリーとなったのだが)、少なくともお金の点では、社長といっしょに損をすることはなかった。社長だけが一方的に損をしていただけだった。



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