ヤンキースのイチロー外野手(39)が19日(日本時間20
日)、第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)
の準決勝で痛恨の走塁ミスを犯した侍ジャパンの内川聖一外野
手(31=ソフトバンク)を擁護した。
プエルトリコ戦での敗戦を決定づけた8回の重盗について激白。
日米通算651盗塁を誇り、過去2大会の優勝に貢献した男は
走者の心理状況なども解説した上で、内川の心情を思いやった。
侍ジャパンの3連覇が事実上、ついえたといってもいい8回の
重盗失敗。
日本中で議論が百出した場面について、イチローが熱を込めて
語った。
フィリーズとのオープン戦後。
WBCについて話すのは、大会開幕以来初めてのことだ。
プエルトリコ戦の中継は見ていなかったが、「どんなプレーか
と思った」とインターネットのダイジェスト映像を再生したと
いう。
1―3の8回1死一、二塁での重盗。
内川は井端の帰塁に気づかずに、二塁へ走り、アウトになった。
内川のミスを指摘する声が多いが、イチローの見解はこうだ。
「モリーナがいたからでしょう。あのタイミングでは二塁で
アウトになってしまう可能性があった。
ほとんどの捕手ならそう(=先行走者を見ながら走る)。
でも、モリーナでは無理だったんじゃないですか」
「グリーンライト」の重盗では二走が主導権を握る。
一走は二走の動きに反応するため、単独盗塁よりスタートが遅
れる上に、捕手は昨季は盗塁阻止率48%とメジャー屈指の強
肩Y・モリーナ。
走ると決めた時点で、他に目を配る余裕はなかったという見解
だ。
分析はさらに詳細に及んだ。
「井端が2歩半くらいだったと思うけれど、あそこで内川がそ
れを見たとしても、止まるまで2歩は行ったと思う。
そのタイミングで止まったとしても挟まれてしまうんじゃないですか」
内川は試合後、責任を感じ涙を流した。
しかし、イチローは極限の場面での一走の立場を自身に置き換
えて擁護した。
「あそこで、あのスタートができる。
凄いこと。
大体(スタートを切らず)止まることを選択する。
自分ならあれができたかというと、その自信はなかなかない。
ミスかそうでないかと言うよりも、モリーナの存在。それがあ
の捕手の力」
侍ジャパンは2次ラウンドの台湾戦で、9回の鳥谷の盗塁から
逆転勝利につなげた。
生命線のスモールベースボール。
左腕ロメロの大きなモーションもイチローは知っている。
「あのモーションが迷いを生む。
捕手モリーナでは基本無理なんですけれど、あの投手だからよ
ぎるわけです」と一定の理解を示した。
負けたら3連覇が消える。追い詰められていたが、打者は4番
・阿部。
明確な「走れ」のサインが必要だったのではとの見方には否定
した。
「“行くなら行け”と言うのは当然。
“行くな”という選択はあるけれど、This Ball(こ
こで走れ)はないと思いますね。
青信号で“行けるタイミングを計っていけ”というのは通常だ
と思います」
日米で盗塁王を獲得し、日米通算651盗塁(日199、米4
52)をマークしているイチローは「走塁は野球で最も難しい
技術」が持論。
06、09年とWBC連覇へチームをけん引したが、
09年は開幕前に胃潰瘍を患った。
その重圧を身をもって経験している。
だからこそ、敗戦の責任を背負い込んでいる内川の気持ちを思
いやった。
昨日行った居酒屋で、カウンターに座っていた3人連れの酔客
が、この盗塁失敗について、大声で甲論乙駁していたが、この
イチローのコメントを見ていて欲しいと思う、
今度、あのメンバーと逢ったら上記イチローのコメントを見た
か否か確認してみよう。
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