はじめに
急性期・慢性期の腰椎椎間板ヘルニア患者に対して腰椎伸展運動療法を行った際の有効性についての報告。
対象と方法
対象について以下に記す。
急性期(発症2週間以内)35例、慢性期(発症3週間以上)33例。
治療方法を以下に記す。
①伏臥位
減少した腰椎前湾を獲得するためのもので5分間行う。
②持続伸展
急性期で前屈位をとっている例の場合に初診時のみ行う。
上半身挙上可能なギャッジベッドに伏臥位になり、5~10分かけて体幹最大伸展位にし、10分後に2~3分かけて元の状態に戻す。
③伸展伏臥位
パピーポジションを5分間保持する。
④臥位伸展
伏臥位から肘関節伸展位で上肢を腰部前方につき体幹を伸展し、その後体幹を元に戻すという行動を10回繰り返す。
⑤立位伸展
臥位伸展ができない場合に行う。
立位で腰に手を置き、体幹を伸展して元に戻すという行動を10回繰り返す。
⑥座位姿勢の指導
座位で腰椎最大伸展後、伸展を少し緩めた状態を維持する。
⑦側湾矯正
側湾がある場合は、側湾側の肩部と反対側の腸骨稜を圧迫する。
急性期患者は②③④⑤⑥⑦を一週目は2時間ごとに一日6回、二週目からは朝夕の2回行う。
慢性期患者は①③④⑤⑥⑦を朝夕の2回行う。
結果
指床間距離
…急性期:30cm以上が54.3%→29センチ以下が91.4%(L4/L5間が多い)
慢性期: 48.5%→ 72.7%(L5/S1間が多い)
SLRテスト
…急性期:70°未満が65.7%→25.7%(L4/L5間で92.9%改善)
慢性期: 75.8%→60.6%(L4/L5間で64.7%改善)
共通 :上位腰椎で100%改善
局在別では正中のほうが後側方より改善したものが多い
腰痛・下肢痛
…急性期:なし22.9%、時々あり48.6%、軽減17.1%、強い2.9%、手術8.6%
慢性期: 6.1% 30.3% 30.3% 0% 33.3%
追跡 : 12.1% 33.3% 21.2% 0% 33.3%
腰痛・下肢痛(L4/L5間)
…急性期:なし25.0%、時々あり47.1%、軽減50.0%、強い0%、手術33.3%
慢性期: 50.0% 50.0% 50.0% 0% 54.5%
考察
腰椎伸展運動の腰椎椎間板ヘルニアへの有効性について、後方に移動した髄核の整復、アライメント矯正による椎間板内圧の減少などがあるが、まだ明らかではない。しかし上記のように急性期・慢性期共に効果があるため、この方法は非常に有効な運動療法である。
急性期・慢性期の腰椎椎間板ヘルニア患者に対して腰椎伸展運動療法を行った際の有効性についての報告。
対象と方法
対象について以下に記す。
急性期(発症2週間以内)35例、慢性期(発症3週間以上)33例。
治療方法を以下に記す。
①伏臥位
減少した腰椎前湾を獲得するためのもので5分間行う。
②持続伸展
急性期で前屈位をとっている例の場合に初診時のみ行う。
上半身挙上可能なギャッジベッドに伏臥位になり、5~10分かけて体幹最大伸展位にし、10分後に2~3分かけて元の状態に戻す。
③伸展伏臥位
パピーポジションを5分間保持する。
④臥位伸展
伏臥位から肘関節伸展位で上肢を腰部前方につき体幹を伸展し、その後体幹を元に戻すという行動を10回繰り返す。
⑤立位伸展
臥位伸展ができない場合に行う。
立位で腰に手を置き、体幹を伸展して元に戻すという行動を10回繰り返す。
⑥座位姿勢の指導
座位で腰椎最大伸展後、伸展を少し緩めた状態を維持する。
⑦側湾矯正
側湾がある場合は、側湾側の肩部と反対側の腸骨稜を圧迫する。
急性期患者は②③④⑤⑥⑦を一週目は2時間ごとに一日6回、二週目からは朝夕の2回行う。
慢性期患者は①③④⑤⑥⑦を朝夕の2回行う。
結果
指床間距離
…急性期:30cm以上が54.3%→29センチ以下が91.4%(L4/L5間が多い)
慢性期: 48.5%→ 72.7%(L5/S1間が多い)
SLRテスト
…急性期:70°未満が65.7%→25.7%(L4/L5間で92.9%改善)
慢性期: 75.8%→60.6%(L4/L5間で64.7%改善)
共通 :上位腰椎で100%改善
局在別では正中のほうが後側方より改善したものが多い
腰痛・下肢痛
…急性期:なし22.9%、時々あり48.6%、軽減17.1%、強い2.9%、手術8.6%
慢性期: 6.1% 30.3% 30.3% 0% 33.3%
追跡 : 12.1% 33.3% 21.2% 0% 33.3%
腰痛・下肢痛(L4/L5間)
…急性期:なし25.0%、時々あり47.1%、軽減50.0%、強い0%、手術33.3%
慢性期: 50.0% 50.0% 50.0% 0% 54.5%
考察
腰椎伸展運動の腰椎椎間板ヘルニアへの有効性について、後方に移動した髄核の整復、アライメント矯正による椎間板内圧の減少などがあるが、まだ明らかではない。しかし上記のように急性期・慢性期共に効果があるため、この方法は非常に有効な運動療法である。