日本の風景 世界の風景

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糸を売る

2007-07-04 | 世界地理
金沢市尾張町塔島糸店
糸屋の創業は1842年(天保13年)。1906年(明治39年)に第4代塔島次三郎が金沢市材木町から尾張町に移転した。1927年(昭和2年)には小売専業から卸売り業に進出した。
1977年(昭和52年)まで尾張町で糸の卸小売り業を続けたのが、下の写真の店舗である。現在は金沢市問屋町に移転し、総合繊維商社塔島株式会社となった。

尾張町の商店について。1階は問屋としての商品見本を並べつつ、その小売りもしていた。一部は倉庫、一部は小売店の場であった。生活の場は、右端のガラス戸の部分である。
2階は倉庫。問屋は売れ筋の商品を安値で大量に買い集め、後日に高値で売って儲けることも商売のうちである。小売店に卸すこともあれば、他の問屋に転売することもあった。投機取引で、成功すれば大もうけをしたが、いつでも成功するとは限らないが、この店構えからは、投機取引では大儲けしたと考えられる。
3階は見晴らしのよい、家族団らんの場。他の商店を見下ろし、優越的気分に浸ることができたことであろう。
3階建て商家は全国的に珍しい。茶や食事を運ぶのに不便であった。便所への用足しにも不便であった。それでもあえて3階建てにしたのは、投機の成功を、誇りにしたかったからであろう。
屋根は銀ネズの越前瓦で銀色に輝き、建物全体が豪華に見える。さらに、夏は涼しく、冬は温かい。(2007.7)






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