薬学の勧め

薬学に興味のある方,医薬品の研究者,医療人、薬剤師を目指す方へ

「医薬品の安全使用のための業務手順書」作成マニュアルその1

2007年05月26日 05時25分00秒 | 薬剤師への道
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「医薬品の安全使用のための業務手順書」作成マニュアル

平成19年3月
平成18年度厚生労働科学研究
「医薬品等の安全管理体制の確立に関する研究」主任研究者 北澤式文


第1章 医薬品の採用
【医療安全の確保へ向けた視点】
医療機関において使用する医薬品は、医師の判断や診療各科の特徴に応じて決定されるべきものであるが、その採用に際しては、医薬品の安全性に加え、取り間違い防止の観点からも検討が行われ、採用の可否が決定される必要がある。
【手順書を定めるべき事項】
1.採用医薬品の選定
2.採用医薬品情報の作成・提供
〔解説〕
 医療機関における医薬品の採用申請手順が適切に定められ、薬事委員会等で同種同効薬の比較検討が行われ、医薬品の採否が決定されることが必要である。安全面に配慮された医薬品を積極的に採用することが望ましい。また、製剤見本等を用い、取り間違い防止について客観的な評価を行うことが重要である。
 さらに、採用医薬品に関する情報が薬剤部等で作成され、院内の各部門・各職種へ提供されることが重要である。
【手順書の具体的項目例】
1.採用医薬品の選定
(1)採用可否の検討・決定
①安全性に関する検討
○薬剤の特性に関する検討
・用法・用避、禁忌、相互作用、副作用、保管・管理上の注意、使用上の注意に関する問題点
○安全上の対策の必要性に関する検討
・安全上の対策の必要性とその具体的内容(使用マニュアル、注意事項の作成等)
②取り間違い防止に関する検討
○採用規格に関する検討
・一成分一品目(一規格)を原則とし、採用医薬品数は最低限とする
・同種同効薬との比較検討
・一成分一品目(一規格)の原則に外れる場合の採用の可否と対応策の検討
○名称類似品、外観類似品に関する検討(後発医薬品も含む)
・名称類似品、外観類似品の採用の回避
・頭文字3文字、語尾2文字あるいは頭文字と語尾の一致する採用医薬品の有無の確認
・包装や容器、薬剤本体(色調、形、識別記号等)の類似した既採用医薬品の有無の確認
・採用医薬品の他製品への切り替えの検討
○小包装品等の採用
・充填ミスを防止するため、充填の必要のない包装品を採用(散剤・注射剤等)
2.採用医薬品情報の作成・提供
(1)採用医薬品集の作成と定期的な見直し
○医薬品集の作成
○定期的な改定・増補
(2)新規採用医薬品に関する情報提供
 →「第9章 医薬品情報の収集・管理・提供」の2.を参照


第2章医薬品の購入
【医療安全の確保へ向けた視点】
医薬品の発注、納品ミスが医療事故の原因となっているケースも見受けられる。
正確な発注と納品を確保するため、医薬品の品目・規格などの確潔手順を定め、記録の管理を行うことが必要である。
【手順書を定めるべき事項】
1.医薬品の発注
2.入庫管理と伝票管理
〔解説〕
 医薬品の発注に際しては、発注品目の間違いを防ぐため、発注した品目が文書等で確認できる方法で行う。
 また、医薬品の納品に関しては、発注した医薬品がその品目や規格が間違いなく納品されたか検品を行う。
 規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬(第1種、第2種)、毒薬・劇薬)及び特定生物由来製品については特に注意を払い、購入記録の保管を行う。特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)については、検品時に名称類似、外観類似、規格違いに注意する。
【手順書の具体的項目例】
1.医薬品の発注
○医薬品の正確な発注
・商品名、剤形、規格単位、数量、包装単位、メーカー名
○発注した品目と発注内容の記録
2.入庫管理と伝票管理
○発注した医薬品の検品
・商品名、剤形、規格単位、数量、包装単位、メーカー名、使用期限年月日
・発注記録との照合(JANコードの照合等)
○規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬(第1種、第2種)、毒薬・劇薬)の管理
・薬事法並びに麻薬及び向騎神薬取締法の遵守
・商品名、数量、製造番号と現品との照合を行い、納品伝票等を保管
・麻薬、覚せい剤原料については譲渡証の記戦事項及び押印を確認し、2年間保管
○特定生物由来製品の管理
・納品書を保管し、製剤ごとに規格単位、製造番号、購入盤、購入年月日を記載して管理
○特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)の検品
・医薬品名、名称類似、外観類似、規格違いへの注意

第3章 調剤室における医薬品の管理
【医療安全の確保へ向けた視点】
医薬品の適切な保管管理は、名称類似・外観類似による医薬品の取り間違い、規格間違い、充填ミスなどを防止する上で非常に重要であり、医薬品関連の事故を防止するための基本となる。
また、有効期間・使用期限を遵守するとともに、医薬品の品質劣化を防止するため、温度、湿度等の保管条件に留意する必要がある。
【手順書を定めるべき事項】
1.保管管理
2.品質管理
〔解説〕
 医薬品棚の適切な配置や複数規格がある医薬品等への注意表記は、医薬品の取り間違いを防止する上で最も基本となる。
 特に、規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬(第1種、第2種)、毒薬・劇薬)や特定生物由来製品について関係法規を遵守するとともに、特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)についても、配置のエ夫などの事故防止対策が必要である。
 また、医薬品の品質確保の観点からは、有効期間・使用期限を遵守するとともに、温度、湿度、遮光等の医薬品ごとの保管条件に留意する必要がある。
【手順書の具体的項目例】
1.保管管理
(1)医薬品棚の配置
○類似名称、外観類似の医薬品がある場合の取り間違い防止対策
○同一銘柄で複数規格等のある医薬品に対する取り間違い防止対策
・規格濃度、剤形違い、記号違い等
(2)医薬品の充填
○医薬品の補充や充填時の取り間違い防止対策
・注射薬の医薬品棚への補充、散薬瓶、錠剤自動分包機への充填時等
・複数人による確認
(3)規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬(第1種、第2種)、毒薬・劇薬)
○麻薬及び向精神薬取締法、薬事法等の関係法規の遵守
・法令を遵守した使用記録の作成・保管
○適切な在庫数.種類の設定
○定期的な在庫量の確認
○他の医薬品と区別した保管、施錠管理
○盗難・紛失防止の措置
(4)特定生物由来製品
○使用配録の作成、保管
・患者ID、患者氏名、使用日、医薬品名(規格、血液型も含む)、使用製造番号、使用量
・20年間保存
(5)特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)
○他の医薬品と区別した管理
・注意喚起のための表示、配置場所の区別、取り間違い防止の工夫等
○必要に応じた使用量と在庫量の記録
2.品質管理
(1)品質管理
○有効期間・使用期限の管理
・定期的な有効期間・使用期限の確認(特にワクチン)
・有効期間・使用期限の短い医薬品から先に使用する工夫(先入れ先出し等)
○医薬品ごとの保管条件の確認・管理
・温度、湿度、遮光等に関する医薬品ごとの保管条件の確認(凍結防止など)
・保管場所ごとの温度管理、湿度管理
・可燃性薬剤の転倒防止・火気防止
○必要に応じた品質確認試験の実施
・不良品(異物混入、変色)発見時の対応、回収手順等
(2)処置薬(消毒薬等)
○定期的な有効期間・使用期限の管理
・開封後期限、調製後期限、開封日の記載
○開封後の保管方法
・変質、汚染等の防止対策、定期的な交換、つぎ足しの禁止等

第4章 病棟・各部門への医薬品の供給
【医療安全の確保へ向けた視点】
 薬剤部門から病棟・各部門への医薬品の供給について、方法、時間、緊急時の対応等の手順があることは、事故防止の観点から重要である。
【手順書を定めるべき事項】
1.調剤薬の病棟・各部門への供給
2.定数配置薬の病棟・各部門への供給
3.消毒薬その他処置薬、皮内反応液等の病棟・各部門への供給
〔解説〕
 薬剤部門から病棟・各部門へ供給される医薬品は、病棟・各部門での使用を想定し、適切な時間に適切な方法で行われる必要がある。調剤薬はもちろん、定数配置薬、消毒薬その他処置薬や皮内反応液等についても同様である。供給される時間や方法、緊急時の対応等については、薬剤部門と病棟・各部門との合議により定めることが望ましい。
 調剤薬については、緊急の場合などやむを得ない場合を除き、処方せんにより、その都度薬剤部門より供給されることが望ましい。また、規制医薬品や特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)については、処方せんによりその都度薬剤部門より供給されることを原則とし、病棟への配置は必要最低限とすることが望ましい。
【手順書の具体的項目例】
1.調剤薬の病棟・各部門への供給
2.定数配置薬の病棟・各部門への供給
○供給方法
・セット交換方法または補充方法等
・供給時間
○規制医薬品や特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)の供給
・使用に際しては処方せん管理を原則とし、病棟への配極は必要最低限とする
・配置薬を使用した場合は処方せんに使用済みである旨を記戦し、その都度薬剤部門より供給する
○緊急時の供給方法
・薬剤師不在時の医薬品払い出しへの医師の関与など
3.消毒薬その他処置薬、皮内反応液等の病棟・各部門への供給
○供給方法
・セット交換方法または補充方法等
・供給時間

第5章 外来患者への医薬品使用
【医療安全の確保へ向けた視点】
 外来に限らず、患者に医薬品を安全に使用するには、患者情報を収集し、処方・調剤に活用することが重要である。
また、外来患者への医薬品使用において間違いを防止するには、正確な処方せんの記載はもちろん、処方内容が調剤者に正確に伝わり、正確な調剤が行われる必要がある。さらに、医薬品情報を提供することで、患者自身が調剤薬等の間違いに気づくことも少なくない。したがって、適切な服薬指導を行うことは、医薬品に係る事故を防ぐ上でも重要である。
【手順書を定めるべき事項】
1.患者情報の収集・管理・活用
2.検査・処置における医薬品使用
3.処方
4.調剤
5.調剤薬の交付・服薬指導
6.薬剤交付後の経過観察
〔解説〕
 外来患者の薬物治療において安全性を確保するには、患者情報を収集・管理し、処方・調剤に活用することが重要である。また患者情報は、必要に応じて施設間あるいは職種間で共有することが望ましい。
 また、検査・処置においても、医師の指示出しから実施まで指示内容が正しく伝達され、医薬品が患者へ適正に使用される体制を整備することが必要である。
 外来患者への医薬品使用において間違いを防止する上では、正確な処方せんの記載はもちろん、処方内容が調剤者に正確に伝わり、正確な調剤が行われる必要がある。調剤者は、「調剤は単なる医薬品の調製ではなく、処方の確認から患者への薬剤交付に至るまでの医薬品の安全性確保に貢献する一連の業務である」ということを認識する必要がある。
 さらに、外来患者への適切な医薬品情報の提供は、副作用の防止などの面で重要な役割を担っている。患者に薬効を説明することで処方の間違いや患者の取り違いを防ぐことにつながる場合もあり、事故防止の観点からも服薬指導は大変重要である。
 加えて、医薬品の副作用の発現について経過観察を行うことは、医薬品の安全使用の観点から重要である。重篤な副作用が発現した場合に備え、緊急時の体制整備や夜間・休日を含めた患者からの相談窓口を設置することが望ましい。

【手順書の具体的項目例】
1.患者情報の収集・管理・活用
○患者情報の収集・管理
・患者の既往歴、妊娠・授乳、副作用歴・アレルギー歴
・小児、高齢者の年齢、体重
・他科受診、他剤併用(一般用医薬品、健康食品を含む)
・嗜好(たばこ、アルコール等)など
○患者情報の活用
・診療録等への記録
・必要に応じた患者ごとの薬歴管理の実施
・患者情報(禁忌医薬品名等)を施設間あるいは職種間で共有する仕組みの構築(お薬手帳の活用など)
2.検査・処置における医薬品使用
○指示出し.指示受け、実施方法の確立
・緊急の場合以外は口頭指示を避ける
・口頭指示を行った場合、指示した医師は指示簿等に記録を残す
・医薬品の名称、単位、数量を伝える方法の確立(略号を使わない、復唱するなど)
・指示者、指示受け者の明確化
・指示の実施者は必要に応じて署名を行う
○医薬品使用前の確認
・医薬品、対象患者、使用部位
○ショック時の対応
・ショック時に使用する救急医薬品の配備等
3.処方
(1)正確な処方せんの記載
○必要事項の正確な記載
・患者氏名、性別、年齢、医薬品名、剤形、規格単位、分量、用法・用量等
・名称類似等に注意し判読しやすい文字で記載
・オーダリングシステムにおける誤入力の防止(頭三文字入力など)
・処方変更時に医師がコンピュータ印字を手書きで修正する場合の取扱い
○単位等の記載方法の統一
・1日量と1回量
・mgとmL、mLと単位、gとバイアル等
・散剤、水剤、注射剤の処方時は濃度(%)まで記載
・散剤を主薬量(成分量)で妃載する場合はその旨を明記
・1V(バイアル)、lU(単位)、1V(静脈注射)など、誤りやすい記載を避ける
(2)処方変更時の説明
○変更内容の患者への説明
4.調剤
(1)処方鑑査
無理な判読、判読間違いは重大な事故の原因となるため、慎重に確認する。
○処方せんの記載事項の確認
・処方年月日、患者氏名、性別、年齢等
・医薬品名、剤形、規格、含趣、濃度(%)等
・用法・用量(特に小児、高齢者)
・投与期間(特に休薬期間が設けられている医薬品や服薬期間の管理が必要な医薬品、定期的検査が必要な医薬品等)
・重複投与、相互作用、配合変化、医薬品の安定性等
○患者情報・薬歴に基づいた処方内容の確認
・重複投与、投与禁忌、相互作用、アレルギー歴、副作用歴等
(2)疑義照会
処方内容に疑義がある場合には処方医への問い合わせを行い、必ず疑義が解決されてから調剤を行う。
○疑義内容の確認
○疑義照会後の対応と記録
・照会元においては、照会内容、処方変更の内容、照会者及び回答者を調剤録等に記録
・照会先においては、処方変更内容等を診療録に反映
(3)調剤業務
正確な調剤業務は医薬品の適正使用の大前提である。調剤者は調剤過誤がもたらす危険性を常に意織し、必要に応じた業務環境の整備、業務内容の見直しを行うことが重要である。
①患者の安全に視点をおいた調剤業務の実施
○調剤用設備・機器の保守・点検
・使用時の確認(散剤秤量前の計量器のゼロ点調整、水平確認等)
・日常点検、定期点検の実施(分包器等)
○取り間違い防止対策
・外観類似、名称類似、複数規格のある医薬品への対策
○調剤業務に係る環境整備
・コンタミネーション(異物混入、他剤混入)の防止
・調製時の調剤者の被爆防止
②内服薬・外用薬の調剤
○散剤や液剤の調剤間違いの防止対策
・秤量間違いの防止対策(小児用量換算表の活用等)
・散剤計算の再確認、総重量の確認(秤量計算メモの活用等)
○適切な調剤方法の検討
・錠剤やカプセル剤の粉砕の可否、配合変化、製剤の安定性等
○薬袋・薬剤情報提供書の作成
・調剤年月日、患者氏名、用法・用量、保管上の注意、使用上の注意等を適切に記載
③特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)の調剤
○患者ごとの薬歴管理
・用法・用量、服薬期間、服薬日等
○病態と処方内容との照合
・患者の症状、訴えと処方内容に相違はないか
○他薬との取り間違い防止対策
④調剤薬の鑑査
○調剤薬等の確認
・調剤者以外の者による確認(調剤者以外の者がいない場合には、時間をおいて確認するなどの工夫)
・処方鑑査、疑義照会の再確認
・処方せんと調剤薬の照合
・散剤の秤趣、分包の間違え、誤差等の確認、異物混入の確認
・一包化した医薬品の確認・処方せんの記載事項と薬袋・ラベルの記載事項の照合
5.調剤薬の交付・服薬指導
○患者、処方せん、医薬品、薬袋等の照合・確認
・患者氏名の確認方法の確立と周知徹底
・患者の症状、訴えと処方内容に相違はないか
○調剤薬の交付
・薬剤の実物と薬剤情報提供文書を患者に示しながらの説明
○医薬品情報の提供
・薬効、用法・用遮及び飲み忘れた場合の対処方法等
・処方の変更点
・注意すべき副作用の初期症状及び発現時の対処法
・転倒のリスク(服薬による眠気、筋力低下、意識消失など)
・使用する医療機器、医療材料などの使用方法等
・その他服用に当たっての留意点(注意すべき他の医薬品や食物との相互作用、保管方法等)
・薬剤情報提供文書、パンフレット、使用説明書等の活用
6.薬剤交付後の経過観察
○患者情報の収集と処方医への情報提供
・副作用の初期症状の可能性、コンプライアンス等
○緊急時のための体制整備
・病診連携、薬薬連携等の施般間における協力体制の整備
・対応手順の整備(副作用初期症状の確認、服用薬剤及び医薬品との関連の確認、特定薬剤の血中濃度モニタリング実施等)
○患者等からの相談窓口の設置
・夜間・休日の体制整備
・患者への広報

第6章 在宅患者への医薬品使用
【医療安全の確保へ向けた視点】
在宅患者(施設入所者を含む)の薬物療法の安全性を確保するには、患者の食事、排泄、移動など生活環境を考慮した処方・調剤、投与が行われるとともに、コンプライアンスの確保、飲み間違い防止、副作用の早期発見及び重篤化防止、重複投与
及び相互作用の防止等のために、的確な管理及び服薬指導を行うことが重要である。各医療職が連携し、在宅患者への管理・指導を行うことで、治療効果と安全性の両方の向上が期待できる。
【手順書を定めるべき事項】
1.医薬品の適正使用のための剤形、用法、調剤方法の選択
2.患者居宅における医薬品の使用と管理
3.在宅患者または介護者への服薬指導
4.患者容態急変時に対応できる体制の整備
〔解説〕
 剤形の選択や調剤方法のエ夫は、在宅患者の薬物療法の安全性を確保する上での重要な要素である。
患者居宅における医薬品の安全を確保するため、患者の状態を踏まえ、医薬品を使用する際の管理者や保管状況等の確認を行う。また必要に応じ、服薬の状況や保管の状況を記録し、連携する医療職が閲覧できるようにすることが望ましい。
【手順書の具体的項目例】
1.医薬品の適正使用のための剤形、用法、調剤方法の選択
○剤形の検討と選択
・患者の状態を考慮した服用(使用)しやすい剤形
○用法の検討と選択
・患者の生活環境(食事、排泄、移動など)を踏まえた用法(使用法)
○調剤方法の検討と選択
・一包化、粉砕、簡易懸濁法の可否など患者特性を踏まえた調剤方法
・経管チューブによる投与が可能か否かの確認(例:腸溶製剤は不可)
2.患者居宅における医薬品の使用と管理
○医薬品の管理者及び保管状況の確認
・患者の管理能力、管理者の必要性
・冷所保存、遮光保存等の適正な保管・管理
○副作用及び相互作用等の確認
・副作用の初期症状の観察
・他科受診、一般用医薬品を含む使用医薬品等
・コンブライアンス
○連携する医療職・介護職が閲覧できる記録の作成
・コンブライアンス、保管状況等
3.在宅患者または介護者への服薬指導
○患者の理解度に応じた指導
・表示、表現、記載等の工夫
・服薬カレンダー、点字シール等の活用
○服薬の介助を行っている介護者への指導
・服用上の注意事項、保管・管理上の留意事項、服用後の症状の変化に対する注意等
4.患者容態急変時に対応できる体制の整備
○夜間・休日の対応方法
・緊急連絡先の周知等

第7章 病棟における医薬品の管理
【医療安全の確保へ向けた視点】
病棟においても、調剤室と同様の保管管理、品質管理が必要である。さらに、病棟における医薬品の在庫は、事故防止や品質の確保を考慮し、必要最低限にとどめ、定数管理を行うことが重要である。
【手順書を定めるべき事項】
1.保管管理
2.品質管理
3.危険物の管理
〔解説〕
 病棟においても、調剤室と同様の保管管理及び品質管理を行い、取り間違い防止のためのエ夫を行うことが重要である。さらに、病棟における医薬品の在庫は事故防止や品質確保を考慮し、定数管理を行うことが重要である。病棟に配置する医薬品の品目や数量は、ともすれば現場の利便性を優先して決定されがちであるが、必要最低限にとどめることが望ましい。
 また、医療事故の多い消毒薬や、救急カート内の医薬品、輸血用血液製剤についても、適切な保管・管理を行うことが必要である。
【手順書の具体的項目例】
1.保管管理
(1)医薬品棚の配置
(2)医薬品の定数管理
○適正な配置品目・数量の設定
・規制医薬品及び特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)については必要最小量に設定
○参照可能な使用配録の作成
・使用日、使用した患者氏名、医薬品名、使用数量
○病棟で使用される医薬品の品目・数量の定期的な見直し
・使用実績、必要性からの定期的見直し
○在庫数の定期的な確認
・在庫数、使用期限の確認、確認頻度(月1回以上実施等)、記録等
(3)規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬(第1種、第2種)、毒薬・劇薬)
○在庫数の定期的な確認・記録
・1日1回以上
○勤務者の引き継ぎ時の申し送り
(4)特定生物由来製品
「第3章 調剤室における医薬品の管理」の1.の(4)参照
(5)特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)
「第3章 調剤室における医薬品の管理」の1.の(5) 参照
(6)病棟における処置薬(消毒薬等)の管理
「第3章 調剤室における医薬品の管理」の2.の(2)参照
○消毒液(原液)の誤飲防止対策
・患者の手の届く場所に保管しない
○注射薬、吸入薬との取り間違い防止対策
・消毒液と滅菌精製水の容器の類似を避ける
・消毒液を他容器に移し替えて保管しない
・希釈に注射筒を使用しない
(7)救急カート
○救急薬の品目及び数量の設定
・院内の合議により定めることが望ましい
○保守・管理等
・設置場所の決定、遵守
・即時使用可能な状態であるよう、常に保守・点検
・使用後であるか、点検後であって定数補充され便使用可能であるかが一見して判明するような表示方法または点検記録の整備
・目の届かない場所に置かれる場合には、施錠管理
○取り間違い防止のための配置上のエ夫
・レイアウト、表示等
(8)輸血用血液製剤の保管・管理
 →「第12章 輸血・血液管理部門」
○輸血関連業務を行う部門との引き継ぎ方法及び管理責任の明確化
・発注、供給、受け渡し、保管、返却、廃棄等
・時間外・休日の責任体制
○保管・管理体制
・各製剤に適した保管・管理体制の整備(輸血用血液製剤の種類によって保管・管理方法が異なる)
・使用した血液の製造番号を患者ごとに記録・保存
2.品質管理
→「第3章」の2を参照
3.危険物の管理
○消毒薬の管理
○患者の持ち込み医薬品等への対応

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合格

2007年04月12日 16時21分11秒 | 薬剤師への道
4月5日午後2時。

朝から妻がそわそわしていた。

私はなぜか落ち着いている。

自己採点がまあまあであったので、よっぽどのことが
ない限り大丈夫であろうから。

インターネットの更新ボタンを押す。

つながらない。

みんないっせいにアクセスしているらしい。

何度もつなげるが、つながらない。

5分が過ぎた。

相変わらず妻だけあせっている。

7分を過ぎたとき、不意に発表画面が表示された。

自分の番号を探す。どういう順番に並んでいるか、
すぐにわからなかった。

820番、820番・・・。あった!!!!!

2人同時に見つけた。

妻が喜びの声をあげた。

私は少しだけほっとした。

これまでの努力と膨大な借金が報われた瞬間である。

すぐにあちこちに連絡、みんな喜んでくれた。

本当に喜んでくれた。

私より、皆のほうが嬉しそうであった。


28歳から、ここまでまる7年間。

私は35歳になっていた。

家族みんなを巻き込んだ挑戦が、やっと実った瞬間
であった。


私は本当に薬剤師になった。

でもこれはゴールではなく、薬剤師としての人生の
始まりである。

明日から、またがんばろう。


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薬剤師国家試験終了

2007年04月12日 16時08分55秒 | 薬剤師への道
二日目も寒かった。

厚手のコートを持ってきていてよかった。

一日目の手ごたえはまずまずであった。この調子で
今日も乗り越えたい。


医療Ⅰ、難しい。計算問題が特に困った。
(実は同じ問題が過去に出題されていたらしい・・・。)

医療Ⅱ、割合簡単であった。ここに来て試験の手ごたえ
を感じる。

二日間、計10時間戦い抜いた割りに、ものすごい充実感。

本当に終わりだ。何よりも勉強しなくていいことの喜びが
沸いてくる。

最後の医療Ⅱの途中で嬉しくなり、最後はウキウキ気分で
終了した。

見直しをするけれど、正直嬉しくてよく考えられない。

この試験が終われば、開放される。


会場を出ると、早くも一日目の解答を配っている。

みんな開放に喜んでいる。

とりあえず解答をもらって、近くの黒本の塾に向かう。

会場の熱気ときたらすごい。開放された喜びにあふれている。

まずはもらった解答で点数をつける。

一日目、7割を超えていた。

決して優秀ではないが、目標どおりの点数であった。

残りの応えは6時に発表との事。仲間とそれまで待つこと
にした。

この時点で、明るい顔や暗い顔に分かれている。



時間が迫る。判断に困る問題があったのか、6時を過ぎても
発表されなかった。

そして、6時半。黒板に答えが書き込まれた。

みんな必死に点数をつけている。

そして最後まで書き込まれたとたん、泣き崩れる人、喜びの
叫び声をあげる人、放心する人と様々であった。


私は7割ちょっと。まず大丈夫でしょう。

仲間と硬い握手を交わし、お互いの検討を称えた。

本当に良かった。本当に頑張った。

あー、これでやっと開放される。

妻の携帯にメールした。多分大丈夫。

今夜は思いっきり飲もう。


再来週は晴れて卒業である。


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薬剤師国家試験

2007年04月12日 15時51分43秒 | 薬剤師への道
薬剤師国家試験の当日は小雨が降るとても寒い日でした。

試験会場の近くまでバスで行き、ある薬系大学まで500
メートルほど歩きます。

途中の電信柱に、とてもいい言葉が書いてありました。

「角は心の中に隠せ」とか「自分以外、皆師匠」。

歩きながら薬の名前でも思い出そうと思っていましたが、
電信柱の言葉一つ一つに感動し、思わず涙がこぼれました。

いいことが書いてあるなあ、こんな言葉を毎日目にしながら
学校に通っていたら、とてもいい薬剤師になれそうな気が
しました。


人より早めに会場について、気持ちを落ち着かせながら
席を探します。

割合前のほうの席でした。

数人の受験生が黙って参考書を見つめていました。

みんなものすごく頭良さそうです。

あーこれで決まるのか、あれをもう一度見たかった、
あそこがでたら自信がない、などなど後悔がよぎります。

結局、試験前に過去問題を通して解けなかった。

友人は過去問題で180点台を連発していた。

うらやましい。そんな点数とったことがない。


不意に、前の黒板に張ってあった日程の大きな紙が
はがれて落ちそうになりました。

非常に縁起が悪い。

すぐさま駆け寄って落ちないように祈りながら貼り付け
ました。

神様どうかお守り下さい。

そして、患者様のために働かせてください。

そう祈りたい気がしました。


やがて殆どの席が埋まり、監督官が入室してきます。

注意、携帯電話は電源を切ってカバンの中にしまうこと。
もし、試験中に発見されれば、数年間受験資格を失う。

問題が見にくかったりトイレに行くときは黙って手を
挙げる。私の受験会場では毎回トイレに行く人がいた。

おなかの具合が悪いのか?それも大変そう。


解答用紙に名前と受験番号を書く。

マークシートの欄に丁寧にマークをつけてゆく。

卒試と比べると、割合簡単な気がする。

まっさらな解答用紙と試験後の解答用紙、重さは殆ど変わら
ないけれど、試験の前と後では随分と重要性が変わる。

試験後の解答用紙は、ある意味数百万の値打ちともいえる。

不規則に(たまに規則的で不安になるが・・・)付けられた
マークたちによろしくお願いしておく。

とりあえずは一日目が終了。

5時間も格闘した割りに、あっという間であった。

明日でいよいよ運命が決まる。

神様、本当にお願いします。

最後まであきらめず、全力で戦えますように。



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卒業

2007年04月12日 10時11分18秒 | 薬剤師への道
二月のある日、私の卒業が決まりました。

長かった、本当に長かった。

卒業できて本当に良かった。

脱サラして大学に通い始め、子供の保育園が代わり、
妻の仕事が変わり、家族に大迷惑をかけての学生生活。

やっと卒業です。


私の大学は合計3回の卒業試験が行われ、2回までの
合計で一次卒業者が決まり、3回目までの合計と三回
目の得点によって二次卒業者か卒業延期者かが決まる。

これが本当に大変だった。

定期試験ではまずまずの成績を残せても、卒業試験は
範囲が広く、内容も定期試験と大差ないものが出題さ
れる。

基礎化学や基礎生物、物理化学、機能形態、衛生、薬事、
薬理などはもちろんのこと、薬物治療、特に血中動態の
計算や検査値から患者の状態を判断し、使用する薬の
適否を判断するなど、より高度な知識とその応用が求め
られる。

これを一問当り、2分程度を目安として解答してゆく。

中には常識的な問題もあるが、薬物動態や物理の計算問題
は最後まで苦しめられた。

以前は式を覚えておいて、パラメータを当てはめれば答えが
出る問題であったが、最近は患者の容態が変わったときの
体内動態の予測、複数の式を用いて不明なパラメータを求め、
そのパラメータを用いて改めて血中濃度を算出したり、得ら
れた血中濃度から投与量を調節させるなど本当に考えさせら
れた。

試験は反射神経だよ、という人もいたが、反射神経で解けない
より臨床に即した問題が、近年増えてきているような気がする。

薬学部6年生の影響であるそうだ。

それ自体、本当にいいことであると思うが、本当に大変であった。

本当にまじめな知り合いの学生が、何人も卒延してしまった。

まじめにコツコツやるだけでは卒業できないようだ。

私も子育てのため、家では殆ど勉強する時間がなかったので、
トイレや食事中はもちろんのこと、バスや歩きながらも勉強
した。

そんなことして意味あるのか?と尋ねる人もいたけれど、もし
卒延してしまったときに、私は本当に努力した、したけれど
卒延してしまったのだからこれは本当に仕方がない、と自分で
納得できるまで努力しておこうと思った。

その努力のおかげかどうか解らないけれど、決してかっこいい
学生生活ではなかったけれど、卒業できた。

本当に良かった。

本当に良かった。

家族のみなさん、本当にありがとう。

あとは薬剤師の国家試験に合格するだけです。

これも大変なのですが・・・。


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薬剤師になるために

2006年02月07日 19時35分16秒 | 薬剤師への道
脱サラして、早や2年が過ぎようとしています。

サラリーマンの感覚が抜けなかった昨年と違って、今年は
サラリーマンの感覚が分からなくなってしまいました。

すっかり学生です。

しかし、薬剤師への思いは変わっていないと思っています。

いえ、ますます強くなった感があります。

将来の目標や、やるべきことが具体的に描けるようになりま
した。

試験への意気込みが減ってきた反面、理想的な薬剤師像、医
療人像が具体的になりました(あまりよくない?)。

また、将来関わるべき医療の分野も見えてきました。
(もちろん精神医療、老人医療の分野です!!!)

研究室の仕事も始まりました(失敗ばかりですが・・・)。

妻の転職も決まりました。

あとは、国家試験に向けて一生懸命がんばるだけです。


さて、こんな私ですが、そろそろネタに尽きたことですし、
ブログをやめようかと思っています。

必要なデータのバックアップをしながら、閉鎖していきます。


未だに半額のパンをかじりながら、子供達と格闘しつつ、真
面目に医療について考えたりしていますが、大事な国家試験
へ向けて、勉強を始めなくてはいけません。

ブログを書いている暇があったら、一つでも多くの薬を覚える
べきかな、と思っています。

もちろん、ブログを書きながらでも国家試験に合格する人は
たくさんにらっしゃるかと思いますが、後悔しないためにも
そうしようかな、と思っています。

まあ、そんな人間もいるんだな、と思っていただければ幸いです。 


わずか1年半の間でしたが、たくさんの皆様からご指導ご鞭撻を
賜り、篤く御礼申し上げます。

また、ご迷惑をおかけした皆様、本当に申し訳ありませんでした。

薬剤師への道を選んだ方々、最後まであきらめることの無い様に
これからも日々、努力し続けましょう。

そして一日も早く、患者様の安全を確保できる薬剤師になろうでは
ありませんか!!!!!!。


世の中はいやらしくて、汚くて、どうしようもなく、我を忘れる事も
あるかと思いますが、どうかそんな時は、声を出して笑ってみてくだ
さい。

きっと何かが変わることと思います。

どんな時も自分を見失わないように、明けない夜はありませんので。


最後に医師であり政治家であった後藤新平氏の座右の銘をご紹介します。

「金を残す人生は下、事業を残す人生は中、人を残す人生こそが上なり。」

後藤新平:http://www.c20.jp/p/gsinpei.html


皆様のご健康と、益々のご活躍をお祈りいたします。

ではまた。

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ターミナルケア

2006年02月03日 04時54分01秒 | 薬剤師への道
私が大好きな漫画の一つである「ブラックジャックによろしく」
を久し振りにまとめ読みできました。

大好きな本である割りに、自分では買わないのです。

お金がもったいないので、友人に借りて呼んでいます。

「ブラックジャックによろしく」は漫画ですが、たかが漫画と
言えないほど、深いテーマと情報が満載です。

以前テレビの番組で、東大医学部の授業に取り上げられている
様子がありました。

それくらい、勉強になる?というところでしょうか。

さて、今回読んだのは癌病棟での研修のお話でした。

末期癌の患者に対して、何も出来ない医師のもどかしさや、
医療費が自己負担になるにも関わらず、未承認の薬を勧め
たり、後悔したり。

少しばかりの延命に意味があるのか?問いかけてきます。

そんな医師たちの葛藤が良く伝わってきました。

特に8巻は泣けました。

1冊の半分を、ずっと泣きっぱなしで読んでしまいました。

そんな中から、印象的なシーンをご紹介。


「生きて死ぬことは・・・本体生物にとって自然な出来事で
す・・・。それが、いつからか医者は病気を治すことにしか
興味をなくし・・・死を敗北ととらえるようになりました・・・。」

「バカにすんな!・・・上から人を見下ろして・・・あなたに
何が分かっているっていうんですか・・・?」

「何も分かっていません・・・」


「要するに・・・死を受け入れろって事ですか・・・?
生きることに、しがみつくなって事ですか・・・?
私は生きたいと思っちゃいけないんですか・・・?」


「もしも真剣に生きる事ができたんなら・・・どうして死ぬ時
に後悔なんかしますか・・・?
必死に生きようとする事は、死を受け入れることとそんなに
違う事ですか・・・?
生と向き合う事は・・・死と向き合う事と同じ事ではありま
せんか・・・!?」


「150万人の患者が・・・今、この瞬間も末期がんの痛みに苦
しんでいる・・・誰も死が決まった患者の治療に興味を持た
ない・・・”医者の仕事は患者を治すことだ”と・・・
そう考えている医者があまりにも多すぎる・・・」


「お母さん・・・死ぬの・・・
お母さん、あなた達が生まれた時にね・・・この子達が大きく
なるまで絶対死にたくないって思った・・・
だけどその時ね・・・もう、いつ死んでも後悔しないっていう
様にも思ったの・・・
お母さん・・・何も後悔なんかしていない・・・あなた達と
一緒に過ごせて・・・死んでいけるなんて、ラッキーだと
思ってる・・・
だから、自分が死ぬ事なんて全然悲しくないの・・・
約束して・・・お母さんが死んでも決して悲しまないで・・・
いつもの様に学校へ行って・・・勉強をしたり、友達と遊んだり
して・・・強く生きて・・・」


「僕はがんでは死にたくないと思っていました・・・一歩ずつ
近づいてくる死におびえながら・・・ただ絶望の中を生きる
なんて絶対に嫌だと思っていました・・・。
こんな事を申し上げる事を、どうかお許しください・・・
僕はあなたのように生きて・・・死んでいきたいです・・・。」


「・・・僕はがんで亡くなる人をかわいそうだと思いません。
がんは死と向き合い・・・残してゆく人達に別れを告げる時間
のある病です・・・。
もしもきちんとした終末期のケアを受けられるなら・・・
その死は決して不幸ではありません・・・
最後まで寄り添ってくれる医者がそこにいるのなら・・・
僕はがんで死にたいです・・・。」


一つの病気対して、医者は、患者は、家族は何を考え、どのよ
うに行動するのか、とても参考になりました。

私が将来、ターミナルケアで出来ることは非常にわずかかも知
れませんが、どんな気持ちで向き合うべきか、大変参考になった
と思います。

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病院実習(老年期痴呆治療薬)

2006年02月01日 23時13分22秒 | 薬剤師への道
私が所属する研究室とも関係が深い、老年期痴呆治療薬について
調査した論文をご紹介いたします。

薬理の試験でも結構勉強したものばかりですね。

病院では商品名を覚えていないといけないかな、と考え、病院実
習でお目にかかりそうな、この分野だけでも両方覚えることにし
ました。

雑誌「薬局」より、「老年期痴呆治療薬と患者への説明」
松田公子著からかいつまんでご紹介します。

痴呆はアルツハイマー型痴呆、脳血管性痴呆、レビー小体型痴呆、
その他に分類される。
アルツハイマー型痴呆は見当識障害(時間・場所など)を特徴と
し、知的障害、日常生活動作の支障などが徐々に進行する脳の変
性疾患である。
脳血管性痴呆は、脳血管障害により出現した痴呆を総称したもの
である。
痴呆の薬物治療の対象は、中核症状と周辺症状に分けられる。
中核症状とは認知障害であり、周辺症状とはBPSD(痴呆に伴う問
題行動と精神症状)と呼ばれる幻覚・妄想などの精神症状、感情
・意欲の障害、それに伴う行動面での症状などである。
中核症状に対しては、国内では塩酸ドネペジルだけが適応を持つ
唯一の薬剤である。
周辺症状に対しては、以前は少量の定型抗精神病薬が投与されて
いたが、最近では副作用が少ないと言われる非定型抗精神病薬が
有効とされている。
しかし、BPSDに対して適応のある薬剤は国内においてはない。

高齢者への薬物投与では副作用の発現や、薬物体内動態に注意し
慎重に投与する。
痴呆の薬物治療においては、患者自身が副作用に気付きにくいの
で、介護者に対しても十分な情報提供が必要である。
痴呆患者を介護する家族にとって、一番大きな負担は周辺症状で
あり、介護者の心理状態のサポートにも十分に心がける必要があ
る。


老年期痴呆治療医薬品の基本情報
塩酸ドネペジル(アリセプト錠、細粒)
特徴:軽度および中等度のアルツハイマー型痴呆における中核症
状(認知機能障害)の進行を抑制する。
1日1回投与。
禁忌:本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴が
ある患者。
基本的注意:ほかの痴呆性疾患との鑑別診断に留意する。本剤は
口腔内で崩壊するが、粘膜から吸収されないので水などで飲み込
むこと。
服薬を勝手に中止しない→遅らせていた痴呆症状を悪化させる。
飲み忘れたらすぐに1錠飲む。
重大な副作用:失神、徐脈、心筋梗塞、消化性潰瘍、肝炎、悪性
症候群、急性腎不全、呼吸困難。
過量投与の対応:3級アミン系抗コリン剤が本剤の過量投与の解
毒剤として使用できる。

リスペリドン(リスパダール錠、細粒、内服液)
D2受容体拮抗作用、5-TH2A受容体拮抗作用による睡眠リズム改善。
5-TH2A受容体拮抗作用による徐波睡眠増加改善作用。
適応症:統合失調症(国内においてBPSDの適応はない)
副作用:α1受容体遮断による低血圧。脳血管障害が発生する可能
性がある。

フマル酸クエチアピン(セロクエル錠、細粒)
中脳辺縁系や中脳皮質のドパミン系に選択的に働き、ドパミン系
に及ぼす作用が弱い。
D2受容体よりも5-TH2A受容体との親和性が高い。
禁忌:糖尿病を合併する症例
H16年11月治験実施中。

オランザピン(ジプレキサ錠、細粒)
MARTA系抗精神病薬。ドパミン、D2タイプ、セロトニン5-TH、α1、
H1受容体へほぼ同じ濃度範囲で高い親和性を示し、拮抗する。
適応症:統合失調症(BPSDの適応はない)
使用法:1日1回投与、食事の影響を受けない。細粒は配合注意が
多い。
禁忌:糖尿病患者

塩酸ペロスピロン(ルーラン錠)
D2受容体および5-TH2A受容体に強い結合親和性を示す。また、コ
リン作動性ムスカリン受容体には親和性を示さない。
効果発現が早く、蓄積性が低い。副作用が低く、BPSDへの適応が
ない。
併用禁忌:エピネフリン
副作用:食欲増進、体重増加、立ちくらみ、めまい、不眠、眠気、
口渇、多尿、腹痛など。
飲み忘れたときは、すぐに1回分を飲む。絶対に2回分を飲まない。

ニセルゴリン(サアミオン錠、細粒)
選択的α1受容体阻害薬脳血管の拡張と血流動性の改善作用。
血小板凝集抑制や赤血球変形能の改善。能代謝賦活作用、遅発性
神経細胞壊死の抑制、脳チトクロームオキシダーゼ活性の増強。

イブジラスト(ケタスカプセル)
PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害作用に基づく脳血流改善、抗血
小板作用、脳梗塞後遺症によるめまいの改善。
止血が完成していない患者には禁忌。

酒石酸イフェンプロジル(セロクラール)
血管平滑筋弛緩作用、交感神経α受容体遮断作用に基づく脳血流量
増加作用。脳代謝改善作用、血小板凝集抑制。
脳梗塞後遺症によるめまいの改善。抗血小板薬に劣らない脳梗塞(
脳血栓症)の再発予防効果を有する。
副作用:口渇、悪心、吐き気、発疹
止血が完成していない患者には禁忌。

塩酸アマンタジン(シンメトレル細粒)
脳梗塞に伴う意欲・自発性低下に対して有効。
脳内ドパミン、ノルアドレナリン、セロトニン作動神経系に影響を
及ぼす。
効果の発現が速やかで2週間以内に改善。

チアプリド(グラマリール)
脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為、興奮、徘徊、せん妄に対して用いる。
ドパミンD2受容体遮断作用。
半減期が短く、効果もマイルドで比較的安全。


せめて実習が始まる前までに、これだけでも覚えられたらいいですね。

思いがけず、長々と書いてしまいました。

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病院実習(嚥下障害)

2006年01月31日 06時07分57秒 | 薬剤師への道
病院実習まで1ヶ月、不安でもありますが楽しみでもあります。

私がお世話になる病院は、お年寄りの患者様が多いということで、
お年寄りの患者様の服薬について調べることにしました。

雑誌「薬局」から、「嚥下障害時の薬剤服用の工夫」倉田なおみ著
という論文をご紹介します。

高齢患者では、唾液量の減少、嚥下筋力の低下、咽頭位置の下降な
どが起こり、摂食・嚥下の機能が低下する。
介護保険法の施行により、嚥下障害者への服薬介助が、看護師、言語
聴覚士・歯科衛生士などの医療従事者により行われており、錠剤粉砕
・カプセル開封が実施されている。
嚥下障害時の薬剤服用の工夫と錠剤粉砕・カプセル開封の問題点を明
らかにする。

嚥下障害の原因は器質的原因、機能的原因、心理的原因がある。
認知機能が障害されると薬の認識が出来なくなり、錠剤を異物と認識
して吐き出す、飲み込まない、錠剤を噛む、口を開かないなどの行動
がみられる。
そのため、時間をかけて薬を見せ、必要性を説明して「薬をのむ」こ
とを認識してもらう必要がある。

最も誤嚥する形態は水であり、嚥下障害者への水剤の投与は避ける。
投与回数、剤形(貼付剤、坐剤、吸入剤など)、錠剤の大きさなどの
選択を工夫する。
最も嚥下しやすい形態はゼリーやプリンであり、これらに錠剤を包み
込んで服用する。
しかし、食事でお腹が一杯になった後では飲んでもらえないため注意。

咽頭・食道に薬が残留すると粘膜損傷・潰瘍が発生するため、ゼリー
の包む、服用後にトロミ水を飲む、吸収に影響がなければ食事中に飲
むなどの説明が必要である。
胃食道逆流を防止するため、内服後30分は臥床しないように説明する。
経管栄養チューブを介して投与する場合は、錠剤粉砕が慣例的に行わ
れている。処方箋に錠剤粉砕の指示がある場合は、同一薬剤で液剤・
散剤への振り替えが可能か、錠剤粉砕・脱カプセルの可否を検討する。
チューブ閉塞の原因となる発生率は6~38%と高く、水への懸濁の有無、
粒子径の可否を検討する。

簡易懸濁法
錠剤やカプセル剤をそのまま55℃のお湯に入れて攪拌し、最長10分間
放置して薬を崩壊・懸濁させる方法。調剤時間の短縮、粉砕の経験年数
によるバラツキがない、安定性の向上などのメリットがある。
崩壊懸濁するかどうかは「内服薬経管投与ハンドブック」を参照。
55℃の根拠は10分間放置した後、37℃前後になる、魔法瓶の湯と
水を2:1で混ぜるとおよそ55℃になる、カプセルが溶解するなど。

徐放剤など、つぶせない錠剤もあるため介助者への情報提供が重要。

以上、論文をかいつまんでご紹介しました。

考えれば授業の知識で解決できる問題と、実際に医療現場に行かなけ
れば分からない問題があるのだな、と思いました。

私が実習で上記のような知識を生かす機会があるとは思いませんが、何
も知らないで実習に赴くことは良くない、と思うのです。

勉強することはたくさんありますね。

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病院実習(理想の病院)

2006年01月30日 04時54分47秒 | 薬剤師への道
後期試験が終わり、もうすぐ病院実習が始まります。

私はあと後一ヶ月ありますが、早い人たちは今日から始まります。

私がお世話になる病院は、アパートから約50mのところにある、
お年寄りが集まる中規模の病院です。

年末、突然の高熱に襲われた際に、下見を兼ねて受診してみました。

清潔なロビーとてきぱきと働くスタッフ。

患者のほとんどがお年寄り。

なんと私にとって理想的な病院です。

インフルエンザの検査結果が出るまで、検査室で横になります。

予防接種したのに、なんでもらっちまったかなあ。

約20分後、再び先生に呼ばれ結果を聞きます。

「インフルエンザじゃないですね。」

インフルエンザと決め付けていただけに、良かったけどなんか残念?

解熱剤や抗生物質などの処方箋をもらって帰ることに、見るとなんと
手書きの処方箋ではないですか!

本当に私の理想的な病院のようです。

(最近、患者の顔を見ない医師が増えてきたそうです。理由は電子
カルテの導入により、コンピューターに一生懸命入力しているため
だとか。若い医師にはなんでもない作業でも、ご年配の医師には大
変な作業ですよね。)

帰り際、ロビーのスタッフの中に見覚えのある顔を発見。

なんと、高校時代と大学のアルバイト先で一緒だった張イケメンの
先輩ではないですか!

こんなところで逢えるなんて(こんな仕事しているなんて)、本当
に奇跡です。

病院実習まであと一ヶ月、不安もありますが、楽しみになりました。

とりあえず、やれることを準備しなくてはいけませんね。

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