前回の投稿から1年ほど経ってしまい情報をお届けできずに申し訳ございませんでした。
また現在は新型コロナウイルスの影響で皆さまお一人お一人が大変な状況かと存じます。
そういった中ではありますが、熊本地震から4年経った節目でもございますので垂玉温泉の現状とこれからに関してをお知らせさせていただきます。
以前にこちらでお知らせ致しました滝壺の泉源の工事を無事終え、湯量、温度と以前の100%とはいきませんでしたが再び温泉を確保する事ができました。この地に残していただいた泉源「垂玉温泉」の復興に向けてこれから1年後のオープンを目標に進めて参ります。
泉源の上部、最も崩落の激しかった金龍の滝周辺も4年経ち少しずつですが草も生えてきました。全体が以前のような姿に戻るにはまだまだ長い時間がかかるとは思いますが、斜面に生えていく草木を見ていると自然の再生力を感じる事ができます。
現在は滝に向かって左側の斜面の工事まで進んでいます。
垂玉温泉のルーツでもあります滝壺の露天風呂「滝の湯」ですが金龍の滝周辺の崩落の状況、まだまだ危険な箇所があることから安全面を考え、当面再建しないこととさせていただきました。
名物であったこと、楽しみにお待ちくださっていた皆さまのことを考えますと本当に心苦しく、申し訳ない思いでいっぱいですが、安全面を第一に考えこのような決断とさせていただきました。
現在の敷地内の様子です。以前に客室棟があった場所は解体して更地になっており、残っているロビーがあった建物も解体し新しく建替える予定です。
大浴場「天の湯」と露天風呂「かじかの湯」は改修していきます。「滝の湯」のあった場所には露天風呂を再建はできませんが滝を眺める新たなお風呂を今後作る予定です。
温泉以外にも地熱を使った新たな価値を作っていく予定もありますので施設の計画と併せまして今後またお知らせさせていただければと思っております。
客室棟が解体されたことで敷地内の石垣の存在感が際立つようになりました。垂玉温泉はこれまでも度重なる水害や熊本地震を経て創業当時の建物は全て無くなってしまいました。しかしこの石垣だけは100年以上ここに在り続けています。
明治40年、若き日の与謝野鉄幹や北原白秋らが九州を旅行した際に記した紀行文「五足の靴」の中に一行が垂玉に訪れた際の記述があります。
『後に滝の音面白き山を負ひ、右に切っ立ての岡を控え、左の谷川を流し、前はからりと明るく群山を見下ろし、遥かに有明の海が水平線にひかる。高く堅固な石垣の具合、黒く厳しい山門の様子、古めいた家の作り、辺の要害といひ如何見ても城郭である。天が下を震はせた昔の豪族の本陣らしい所に、一味の優しさを加えた趣がある。 これが垂玉の湯である。名もいいが、実に気に入った。』
建物が無くなった今だからこそ当時の情景をより鮮明に思い描く事ができました。
垂玉川の堰堤などの復旧も進められています。地震、その後の豪雨の直後の姿からすると信じられないくらいに整備が進んでいます。
2020年3月18日に地獄・垂玉温泉に通じる村道が開通しました。
周辺の治山、治水の工事も併せまして多くの関係者の皆さまのご尽力を賜り、垂玉温泉の復興に向けて具体的な絵が描ける段階に至ることとなりました。改めて御礼申し上げます。現在も多くの関係者の皆さまのご協力をいただいて前へと進めることができております。
この地で再び垂玉温泉を復興し、そして続いていくことのできる姿とするにあたり、現在の自然環境の状態、安全面や様々な要因を考え、まずは温泉と休憩、飲食、物販の日帰りの入浴施設として再建することとさせていただきました。
旅館としての再開をお待ちくださっている皆さまの想いにお応えできないことに本当に申し訳なく思いますが、もし、もう一度同じような災害が起きた際を考えてこのような決断に至りました。
日帰りで営業した際でも、もしもの際の危険度は当然存在致しますが、滝の湯のように危険な場所には作らない、また新たに作る建物の配置も考慮することで極力安全面を確保することとさせていただきます。
垂玉温泉は昔より「湯治場」としてこの地に在り続けてきました。
温泉とこの自然環境の中でリフレッシュしていただける場所であったのだと思います。
今後も垂玉温泉がそういった場所になれるよう、足をお運びいただく皆さまが少しでも元気になっていただける場所を造るという意味ではたとえ宿泊を伴わない形でも「原点回帰」を目指していく思いです。
新たな施設に関しましてはまたこちらで随時お知らせ致します。
今後共何卒よろしくお願い申し上げます。
八代目 山口雄也
村道 喜多-垂玉線の暫定開通、泉源のある金龍の滝上部の崩落箇所の復旧の進捗もあり、垂玉温泉の泉源復旧工事に取り掛かり始める事となりました。
いつもあたたかいご支援やメッセージをくださる皆様、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
再びこの場所を垂玉温泉として復興していく為の最も大切な工事になります。
半分以下に減ってしまった滝壺の泉源の湯量が再び戻って来る事、そして何よりこの難工事を行う業者の皆様の安全を祈りつつ、並行して新しい施設の計画を進めて参ります。
南阿蘇はいつもの美しくのどかな風景です。
垂玉温泉の復興に向けて尽力して参ります。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
※ 喜多-垂玉線の通行可能時間は8:30〜18:00まで(片側交互通行)となります。
http://www.vill.minamiaso.lg.jp/soshiki/9/kita-tarutama.html
また、垂玉温泉敷地内は危険な箇所がございます。
安全の為、工事現場付近、敷地内への立ち入りはご遠慮くださいますよう何卒お願い申し上げます。
現状
垂玉の大切な資源の一つに「水」があります。昨日久しぶりにこの垂玉の水源まで行ってきました。季節的な事かと思いますが少し水量が減っていたようですが以前と変わらず綺麗な岩清水が注がれていました。
まろやかな口当たりで敷地内の水基よりお風呂上がりに毎日たくさんの方が飲まれていた事を思い出します。
現在は設備の破損と配管が流出してしまいましたが再開後もこの垂玉の水を使って皆様にお食事や飲み物をご提供できるよう再整備を進めて参ります。
村道「喜多-垂玉線」の復旧のスケジュールの都合で泉源復旧の工事には未だ入れずですが、周辺の治山、治水の工事も着々と進んでいます。
泉源復活に向けて本日、工事関係の方と滝壺の調査を行いました。
以前の姿と変わり、泉源のあった滝壺が地震と雨で大きくえぐれてしまっています。
泉源も数カ所に分散してしまっている様で、この中から一番量の確保ができる場所を探していきます。
ただ、温泉の匂いや手触りは以前と変わってはいません。
滝の上の山の工事ができていない中での危険度も高い調査、工事になりますが安全面を配慮しながら泉源の復活に向けて努めます。