The days of my and my dogs.

我和狗我的等的日日

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the beginning of all

2010-01-10 18:23:31 | ぼくと犬たちの日々
 昔むかし――そう二昔ばかり前のある秋の日、東京・新宿から西に延びる鉄道沿線のごちゃごちゃ家がひしめき合う住宅地にある、小さな、ホントに小さな二階建ての一軒家に越してきた男女がいました。

 翌年の春、そこに一匹の犬がやってきました。女がもらってきたもので、淡いベージュ色の毛につつまれた無愛想な顔をした雑種の子犬でした。
 二人が棲んだ一軒家は、家の玄関と前の路地とがアルミの門扉のついたブロック塀で距てられており、その間に庭とはいえないほんのちょっぴり土のスペースがあって、女はそこに犬小屋が置けると思ったのです。
 その三か月後、「一匹では、さびしいよね」と、女がまた子犬をもらってきました。男女は共働きで、昼間は家を空けるから、という理由でした。今度の子犬は、もじゃもじゃの真っ黒な毛糸玉のようで、これも雑種のメスでした。
 この二匹の犬は同じ年生まれですが、たぶん黒いほうの犬が先のベージュの犬より後に生まれたと思われたこともあって、もらわれてきた順にベージュがお姉さん、黒いのが妹のように育てられました。

 しかし、それから二年ほどたって、何と男女は別れてしてしまいました。その小さな家を出て行ったのは女のほうで、自分が貰ってきたくせに「わたしはこれからマンションに住むので、犬の面倒を見ることはできない」と言い、犬たちを置き去りにしました。

 男は仕方がなく、一人で飼うことを決意しました。「ここで犬たちを見捨てたら、これから一生、犬を可愛がることはできない」と思ったからです。飼い始めの頃読んだ本に、「犬の寿命は十年前後」と書かれていたので“ああ、これから十年か”と、その十年を覚悟しました。

 しかし、男は想像もしませんでした。ベージュとはその後十六年半、黒いのとは何と十九年も付き合うことになるなどとは……。
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