「たにぬねの」のブログ

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今月のお薦め_10.2006

2006-11-08 20:35:50 | 今月のお薦め_XX.20XX
25年目の卒業 さようなら 私の金八先生 小山内美江子 講談社 

TBSのドラマ、金八先生の第七シリーズ放映中に出された本です。
この書籍については本の内容と私のドラマ・金八先生の番組への感想を
ごちゃ混ぜに、したためさせてください。

本文中にある、

□約束した約束を必ず守らんとする姿勢、
□タバコを捨てたり、アイスを舐める演出への疑問、
□戦時中の体験もあって、架空上とはいえ、涙をそそらせる道具として
□子供は殺さないと決めている→人間は勝手に死んではいかんのだ!、
□一度しくじっても、明日がある。別の道もあるんだ、

◇登場人物の少年に自ら麻薬を打たせることに激しい拒絶を感じたこと、

に脚本家は職業としてだけでなく、人として取り組まれている姿、
仕事としてこなすだけでなく、歩まれた人生の足跡を読ましていただいた感じで
心動かされるものがありました。

私は7つあるシリーズでは舞台を松ヶ枝中学に移した
第3シリーズはお気に入りです。
確か月曜9時の放送だったと記憶しています。
以来、みていないので改めてみたら感想がどうなるかは分からないが、

それ以前の特番を含めた作品群は学校発→社会への問いかけであり、
4コマ漫画の起承転結で言えば、起が必ず、3Bであった。
学校のドラマなのでそれは当然で、そのことに不満を感じたことはないが

第3シリーズが学校を中心とした対社会の色が強くなってきた来た印象を受け、
シリーズ中にある幾つかの起が私たちの生活にも有り得る事象になり、印象的な1クールになったのでした。

うまく言い換えられているか自信はありませんが、
自分にも中学時代の体験があったから納得できるのではなく、社会を構成する一員として、みることができるドラマになった気がしたのである。

本文中に
□学校を忠実に描くために、坂本金八を転任させた。
□1クール分で卒業式なし。
□家族の時間がバラバラになっているという感想を第3シリーズの取材で感じた。
□2クール書くには準備不足であることと、
□時期をみて、第4シリーズを書く決心をしていること。
上記のようなことが書いてありました。

繰り返しになってしまいますが
第4シリーズ以降の番組の姿勢の産みの親は第3シリーズであったといえないだろうか。こうだったらいいな、という、所詮テレビ番組だけの話で済ませるのではなく、良いことは現実社会においても実践しなくては、実践しようという気にさせてくれたのが(私にとっての)第3シリーズなのです。

登場した中学生役では
第5シリーズの兼末健二郎を忘れられない。
番組のチーフディレクターがこのシリーズ中に金八が生徒に体罰(という表現が適切であるか分かりませんが)を与えるシーンを提案し、
小山内さんは拒みたかった、と本に書いてありました。

この一連の遣り取りで、印象深いと感じたのが、
最後までチーフディレクターは脚本家に注文しているにもかかわらず、なぜ、体罰・殴ることを描きたいかは語らず、なぜについては小山内さんに委ねたことです。
ここに、ディレクター、脚本家のプロを感じました。

プロだからこそ、拒みたかったからこそ、

約束として、迫られた生徒の中から、代表として殴られる志願者が現れ、
「先生が好きだから」という、若者なりの理屈で頬をさしだす、

で、先生の決意を感じているからこそ、一人の女生徒が叩かれて
間髪入れずに
「おあいこだヨ」と金八先生を殴り返す。

しかし、健二郎はまだ、彷徨っている
という、すごいシーンであり、その後の第5シリーズの展開を強固にさせる、
という内容は見事な脚本であったと思う。

何かと比較される成績優秀な兄に父は期待し、母は溺愛していたが、その兄はひきこもりになる。兄のことで悩む母を支えようとする十五歳の少年・健二郎のストレスは学校で弱みを握った友達をそそのかし、担任を痛みつけることをハケ口にする。学校崩壊をテーマにした第5シリーズである。

そのようなプロ同士でさえ、第7シリーズでは袂をわかつしかなかった。
この本を読んでいるからではないが、
私も麻薬の(電波における)扱いには相当の考慮と手間をかけるべきで、
著者の考えを支持したい。

と同時に、

脚本家が変わったとはいえ、ある流れが放映されたことは、小山内さんにとって、
なんらフォローにならない、というか、小山内さんにとっては無念で、

若者たちの麻薬に対する意識に悪影響を及ぼしていないか、という懸念については
第7シリーズの特番をみた後でも、
負の荷を背負ったままではないかと思う。

本文にある、
人気が出た少年を無惨な中毒患者に仕立てることにより、全国の少年少女に警鐘を鳴らしたいとする
プロデューサと演出家の意図は、甘いか建前にしか思えない。

しゅうが注射器使用するのは古典だし、消毒はしないし、一発で血管に差し込むし。
と、本文には書いてあるが、なるほど、上記のようでは警鐘になっていないという著者の言い分に頷くしかない。

できない約束はするな、である。

シーズン途中から脚本を引き継いだのは清水有生さんです。
清水さんはNHK・朝の連続ドラマ「あぐり」の脚本を書かれた方です。

原作者である吉行あぐりさんのお人柄を損なうことなく、
また、劇的に、変に脚色することない、非常によい脚本でありました。

だから、大袈裟なストーリ展開に頼らなくても視聴者を惹きつけるだけの筆力はある方だと私は思っています。

第7シリーズから離れましょう。

□朝の十分間読書
□全シリーズを通した思春期内科への取り組み
□第6シリーズでは性同一性障害をテーマにした

など、本当にすごい番組だったんですね。
今更ながら、思いました。

また、本を読んでいると
小山内さんの一人の人間として、息子さんにごまかしなく、
真摯に対峙している様子はすばらしいなぁと感じました。

著者にとって、↑な感想は無意味かもしれませんが書かずにはいれません。
この親子が歳を重ね、その繋がりを拡大するように、
シリーズに散らばりこまれているテーマたちがフリー・スケールのように
繋がっている。
だから現在の世相を見事に示す大ドラマとなったのだろう。

本の
おわりに
に書かれていたの寺脇研さんについてのコメントも印象的でした。


The MANZAII あさのあつこ ジャイブ(ピュアフル文庫)

Iでは
ロミオとジュリエットの漫才をする、または
ロミオとジュリエットで漫才をする、様子を描かきつつ、
キャラ紹介の巻といった感じですが
恵菜ことメグについての紹介は決して多くありません。

IIではいよいよ、

萩本恵菜の人物像がはっきりしてきましたね。
書くまでもなく、他の登場人物達は相変わらず魅力的です。
それでも、

恵菜ことメグの靴箱にウシガエルが入っていた
ゲロゲロ事件を中心(?)に、

Iに引き続き、キャラ紹介の巻といった感じですが

誰しもが持っている強い部分と弱い部分の葛藤
描き、そして、何故、強い部分が顕著になったかを
ごまかしなく展開する作者の技量には

圧巻させられます。

しかし、私には未だ、I、IIを読んだだけでは
The MANZAIの世界が ほとんど把握できません。
正体不明のお話を読んでいる気分です。

そんなわけ、続きが楽しみです。

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さようなら私の金八先生―25年目の卒業

講談社



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