2020年新型コロナウイルスの蔓延により、帰郷して母親の見舞いに行くことが
困難になった。
母は2014年4月から入所していたグループホームから現在は介護医療に特化した
病院に入院している。入院は2020年の10月だった。現地の妹とLINE等で相談し
また医師からも話を伺った上で決定した。転院にも立ち会うことができず、
手続きすべて妹に任せてしまい、兄としては今回も申し訳なく思っている。
2020年頃からは咀嚼嚥下がむずかしくなっていった。歯はしっかりしていて
噛むことはなんとかできるが、自分で飲みこむことが困難になってきた。
病院に入院する前には体重もかなり減っており、医師からは「このままでは
長くない」とも言われた。
「自分で食べられなくなったら死ぬだけだ。チューブに繋がれて寝かされているなんて
まっぴらごめんだね」と元気な頃の母だったら言うだろう。
本人の意思をくみ取るならば、「『このまま』でお願いします」だが、さすがに
「でないと死にますよ」と言われれば、「対処してください」と言わざるを得ない。
また、何もしないのならば、病院に移る意味もないのである。
素人の浅はかさで、「自己嚥下ができなくなったら、胃ろうになるのか」と思って
いたが、対応としては鼻からチューブを入れる「経鼻経管栄養」にするとのこと
だった。「それでも胃がうまく働くかどうかにもよりますので、絶対ではない」
とも言われた。
結果、経鼻経管栄養による栄養摂取は効果があり、母親は体重も戻り、2021年5月
現在も入院を継続している。手足は動くが、ほぼ寝たきりの状態である。
コロナのため「リアル見舞い」が禁止なので、月1回の「オンライン見舞い」を
している。1回の見舞い時間は15分程度であり、あっと言う間に時間が過ぎて
しまうが、Zoomを使って母の顔と妹夫婦とのリモート面会を続けている。
母は目をつぶり、何も発言はない。同席する看護師さんによれば、時々は
目を開けたり、発言もあるとのことである。画面上では肌艶もよく、安定して
いるように見える。母に話しかけても反応はないので、15分間はもっぱら
妹夫婦との雑談をする場となっている。
全国的にコロナが終息し、以前のような移動が可能となり、リアル見舞いが
できるようになればいいと思うこのごろである。