テキサスとサルサ、そして環境工学

テキサス大学留学中のあれこれ+卒業後の環境コンサル生活@MDのあれこれ

読書メモ2(終わり) Great Lakes for Sale

2009年01月17日 | 読書メモ

Nestleがペットボトル水を精製販売するために、
EvartというGreat Lakes流域の人口1700人の小さな町で、
の取水に対して支払うとされるお金は、
2005年3月の発表によると、88セント/1000ガロン。

これを2Lあたりに換算すると0.04円。。。
2Lのペットボトルをスーパーで買ったら約1ドル(90円)。
なんと同じ水の価値が2000倍以上に膨らむわけです。

もちろんNestle側も町に対して、
工場の稼動による雇用の提供、
町のスポーツ施設の建設を行うので、
ミクロに見れば町も企業も万々歳と言うわけです。

「水は誰のものか?」
いよいよ分からなくなりました。。。





水インフラと政治

2009年01月17日 | アメリカと水
2009年1月号のWE&Tの政治と水インフラに関する記事から。

環境業界が政治に注目するポイントは、
「予算」と「法律」です。

「予算」の方では、
オバマ新政権が打ち出している、
約8000億ドル(約70兆円)とも言われる
緊急経済対策費の使い道。

上下水道関連に使われる額は、
75億ドル(約6500億円)程度だと予想され、
この額を引き上げるために、
いろいろな団体が政治的な働きかけを行っていて、

市長の会?(U.S. Conference of Mayors)は、
その倍額以上に当たる、
187億ドル程度が必要と訴えているそうです。

また、この予算を国が自治体に、
助成金として与えるのか、
公債として低利で貸すのか、
も焦点になっているようです。

「法律」の方では、
長年改正がされていないCWA(Clean Water Act)、
「非特定汚染源」や「流域マネジメント」
対策に対して踏み込んだ改正が期待されるが、
今国会では動きは無いだろうとのこと。

あとは、注目度が増している
「気候変動」が、どう法律に絡んでくるかも、
注目のようです。


参考記事:
Will Washington Rediscover Water Infrastructure? (WE&T)

読書メモ3: Shrek2

2009年01月10日 | Weblog
Title: Shrek2 (The Movie Story Book)

これも図書館のKidsコーナーで借りてきた本。

今回注目したのは、
レポートのドラフトで直されまくって以来
気になっている定冠詞。

"the"は、文章に出て来過ぎて
うっとうしいからと
省略したらだめなんです。

・物語の中で一人しか出てこない
Kingの前には必ず"the"がついている。
"The disguised king"のように、
修飾されても"the"はつける。

・(Shrekの前に”the"はないので、)
固有名詞の前に”the"はいらない。

・"The King and Queen"とあったので、
二つ目の名刺では"the"が省略できる。

・文脈上指すものが決まっている時も
"the"を用いる。
The doors flew open...
Fiona run from the table...
He flipped through the pages...




明けましておめでとうございます

2009年01月05日 | Weblog
遅ればせながら、

新年明けましておめでとうございます。

「アメリカは」ということで言うと、
1月20日からオバマ新大統領です。

金融業界を中心として、
混乱状態にあるアメリカを
どう立て直していくのか、
とても期待しています。

「業界」的なことで言うと、
景気刺激策の一環として掲げている
公共インフラ投資が、どれだけ
環境部門に回ってくるか。
これが注目のひとつです。

「私」的なことで言うと、
アメリカが水とどう付き合っているのか
を知りたいという意味で「アメリカと水」。

自分にとって「留学」がなんだったかを
具体的に検証するために「留学を振り返る」。

もがきながらも何とかしたい「英語」。

の3つのカテゴリーを、
少しずつこの場で
形にしていけたらと考えています。

今年もよろしくお願いいたします。





読書メモ2(続き):Great Lakes for Sale

2009年01月04日 | 読書メモ
前述のWRDAが定めたルール:
"No water shall be diverted from any portion of the Great Lakes...
for use outside the Great Lake basin..."
この divertedやuseの定義が争点になります。

Nestleの主張は、
Bottled Waterを精製・販売することによる水利用は、
(ルールにかからない)
地元の自動車メーカーやゴルフ場が
水を使用するのとなんら変わらない。

反対派の主張は、
水そのものを販売することは、
たとえ処理が加えられたとしても
"Use"じゃない。"Own(所有)"だ。
しかも、湧水という一番繊細な水をターゲットにしている。

このような議論を経て、
争点は、Divertedの定義に移ります。

結局、落ち着いた2005年の
Great Lakes Compactによると、

「Diversionとは、
水の流域間の輸送(transfer)のことで、
パイプ、流路、運河、船舶等による
水の流域外への輸送を指す。」

「また、20L以上の容器で、
流域外に持ち出される取水に関しても、
水のDiversionとみなす。」

つまりは、せいぜい2L程度の容器で販売される
水のボトルは、Diversionに当たりませんよと、
但し書きをつけたわけです。

この新しいDiversionの解釈によって、
Nestleの工場による湧水の取水と
ボトル水の販売は最終的に許可されたわけです。

極端に言えば、
"Diversion"という一語の解釈で、
一企業の一工場の命運、
引いては(将来の同種の企業の参入まで含めると)
Great Lakesそのものの命運まで
分けてしまったわけです。



読書メモ2(続き):Great Lakes for Sale

2009年01月02日 | 読書メモ
水は誰のものか、
考え出すと非常にややこしい問題です。

ちなみに古代ローマ時代、
資産(Property)はすでに、
公と私に分けられていて、
水と空気は公のものとされていたそうです。
これだけシンプルだと分りやすいのですが、

Great Lakesの場合、
地元のための資源という考え方が採用され、
1896年の水資源開発条例
(WRDA-Water Resources Development Act)では

Great Lakesとその支流からの、
流域外使用のための取水は、
流域内の全ての州知事の承認が無い限り、
一切認められない。
と厳しく規定されたそうです。

その隙を突いたのがNesleです。
Great Lakesのお膝元ミシガン州で、
飲料水生成プラントを立ち上げるための、
湧水取水許可を州の環境局から2001年に勝ち取り、
大量の取水(*)を始めました。

これに対して、
「これは流域内での取水だが、
一企業の利益のためでしかない。」と
市民グループが訴訟を起こし、
郡の裁判所は画期的にも、
取水を中止する旨の判決を言い渡し、
地下水の利水権に対して、
以下のような解釈を示したそうです。

「地下水の取水に際し、
もしその地下水が水文的に、
地元民が利水の権利をもつ
表流水域に影響を及ぼす際は、
地元民の利水の権利が優先する」と。

その後、企業側の控訴により、
裁判はさらにややこしくなるのですが、
それはそれとして。。。

このように、
水資源は万人のものか地元民のものか?
表流水と地下水は扱いが違うのか?
地下水位を維持するための取水量の上限は?
等々、非常にややこしくなることを改めて実感しました。

(*)
年間約300ミリオンガロンとあるので、
一日約0.8ミリオンガロン、
つまりちょうどオリンピックサイズのプール一杯分程度の水を
毎日取水といった感じです。



読書メモ2:Great Lakes For Sale

2009年01月01日 | 読書メモ
Title: Great Lakes For Sale
Author: Dave Dempsey

これも図書館で借りてきた本。

地球上に存在する水のうち、
Surface Water
(表流水:淡水のうち氷河や地下に存在する水を除いたもの)
の割合はたった0.3%ほどしかないというのは知られた話ですが、

そんな貴重なSurface Waterですが、
Great Lakesの総貯水量は、
地球上のSurface Waterの、
なんと18%にも相当するそうです。

この水をめぐり、
引水を試みる者や、
輸出を試みる者との闘いを
地元の行政の立場から描いた本です。





読書メモ1:Say-Hey and The Babe

2008年12月29日 | 読書メモ
Title: Say-Hey and The Babe - Two mostly True Baseball Stories
Author: Neil Waldman

本と言っても図書館のKidsコーナーから借りてきた絵本ですが、
ニューヨークの2人の野球の英雄
ベーブルース(1914年から実働22年間)と
Wille Mays(1951年から実働23年間)に
まつわるメジャー愛あふれるお話し。

気に入った表現:
ベースを駆け抜けてキャッチャーのタッチをかいくぐってホームに生還した
"He was sprinting around the bases and beating the catcher's tag at home plate"


ヤンキースは、
2009年シーズンから新スタジアムです。
大補強に成功したヤンキースと
自力に勝るレッドソックスの闘いは
今年も面白いでしょう。

松坂が先発する
Red Sox v.s.ヤンキースのゲームを
新スタジアムのグラウンドに近い
内野席で見ることができたら。。。
鳥肌ものですね。







Water Banking

2008年12月18日 | アメリカと水
今月号のWE&T"Water You Can Bank On"で、
Water Bankingという手法を取り入れる
自治体が、フロリダやカリフォルニアで
増えているという記事が載っていました。

これは、春や冬の間の水が豊富な時期に
地下水を人工的に涵養し、地下水位を上昇させ、
河川の水量が減少し、逆に水の使用量が増加する夏に、
必要に応じてくみ上げて使用するという手法です。

今まで貯水池が担ってきた役割を、
地下水に担わせるという考え方です。

特に、宅地開発等で人口増を計画する自治体にとっては、
乾季に上水を確保することが求められるので、
このような、「貯金」ならぬ「貯水」によって、
水資源の確保を狙う手法のようです。

ただ、記事でも触れられていましたが、
河川水を地下水に注入することによる地下水質劣化の可能性、
また地質や傾斜によっては、地下水が貯まるどころか、
どんどん下流域に流れ出ていってしまうケースも
容易に想定されます。

とはいえ、近年話題の気候変動によって、
降水量の毎年の振れ幅が大きくなってきているのも事実で、
そんな中で、地下水としてより確実に水資源を確保できる
Water Bankingの手法は、今後さらに注目を浴びる可能性大です。

Water Bankingによる、
地下水位や水収支の変化を予測することは、
ある程度地質や地下水位のデータを取ったら、
不可能ではないと思うので、
モデル屋さんの出番がWater Bankingの分野でも、
近い将来出てくるかもしれません。

関連サイト:
アリゾナ州のWater Bankingシステム



環境コンサルの英語表現2

2008年12月17日 | 英語で実務
レポートの直しをnativeにやってもらうと、
うんざりするほど、直されて返ってきます。
今日もそんな中からいくつか。

1)sufficientとenough
the pipe has enough downward slope とやったら、
the pipe has sufficient downward slopeと直されていました。
英英辞典を見る限り、
enoughは、感覚的に十分、
sufficientは、論理的に十分、
のようなニュアンスで使い分ければいいんじゃないかなあという、
自分なりの結論に達しました。。。

2)eliminate とremove
これはアメリカ人の友達によると、
eliminateが徹底的に取り除く感じで、
removeが、一時的に取り除く感じだそうです。
なので、アメリカで話題のSSO(Sanitary Sewer Overflow)、
分流式下水のマンホールからの越流では、必ず
eliminate SSOと表現します。

3)Therefore, also
分ってはいるけれど、
使いすぎてしまうのが、
「すなわち」にあたるThereforeとかThereby、
「また」にあたるalso。

このような接続詞無しで、
論理を組んでいくのが
大切なんです。

4)all
allのあとにはtheが来るもんだと、
受験英語で習った気がしましたが、
theは、ことごとくnativeチェックで削除されました。。。
all pipes, all flow meters....

5)data
アメリカでは確実に、単数として扱うようです。
the data includes ...