『樹の海』 ~良質群像劇~

2005年06月14日 | ・きょうはコレッ!
今日の映画『樹の海』で舞台となるのは富士の樹海、
言わずと知れた日本屈指の自殺名所なのである。。。
少し不謹慎な話ではあるが、初めてチラシでこのタイトルを知った時
正直不思議と興味引かれるのを感じた。
それもそうか、、、
自殺ってヤツはとてつもない苦悩の末たどり着く最後の決断なんだもん
そこにドラマ性がないハズがない。
劇場公開は6月25日(土)。

物語は4つの異なるエピソードを上手く組み合わせて語られるのだけれど、
複数監督というわけじゃないし・・・オムニバスとはチョットわけが違う。
言うなれば「それぞれにハッキリ区切り線を引いた群像劇」ってところか。

(1つのストーリー×4人の主人公)≠(4つのストーリー×1人の主人公)
まず結果から始めよう。この形式は正解だ。
これまでの群像劇(『マグノリア』や『クレイドル・ウィル・ロック』)では各
エピソードを同時進行させ最終的に一つのストーリーとして融合させていた。
そのため、登場するキャラクター全員が主役級にスポットライトを当てられ
ているにもかかわらず、立場が対等であるがゆえにメリハリが出てこない。
結局全員が脇役に成り下がってしまう印象が強かった。
(だから群像劇のほとんどが眠くなるものばかり)
しかし、『樹の海』では一つ一つの話題をきちんと完結させてから
次の話題へ話を進めている。

エピソード①:池内博之
エピソード②:津田寛治塩見三省
エピソード③:井川遥

この3つが独立して語られ、全体としてまとまりを保つために、

エピソード*:萩原聖人

を接着剤として各話の間に差し込むといった具合。
つまりそれぞれのパートの主人公はあくまで一人として描かれているのだ。
これだけでガゼン話が受け入れ易くなり最後まで集中して見ることができる。

ショートフィルムのパッケージではあたり前のことだけれども、
一人の監督が2時間モノの映画を作るにあたってこの手法に至るのは
なかなかできるものじゃ~ないと思う。
コレでデビューとなる瀧本監督、グッジョブぐっじょぶ

最新の画像もっと見る