燈子の部屋

さまざまなことをシリアスかつコミカルかつエッセイ風に(?)綴る独り言的日記サイトです

記念日

2004-08-09 00:00:00 | 母の病気のこと(完)
今日は、元上司のご母堂のご命日だ。

祖父母の命日さえ覚えられないほど先祖不幸(?)のわたしが
他人の親の命日をかくも覚えている理由は、
今日が長崎の原爆の日であり、母の誕生日でもあるからだ。

三年前、職場でふと彼が漏らした言葉――

「今日はお袋の命日なんだ」

は、以来毎年この日が来るたびに否応なくよみがえる。
彼はまさか今もわたしが覚えているとは思いも寄らないだろう。
いや、話したことすら覚えていないかもしれない。

彼のご母堂は、彼が十代の頃に病気で亡くなった。
ご主人と、多感な年頃の二人のこどもたちを遺して。
どれほど心残りであったろうかと思う。

その話が出た頃、彼はうつ病を抱えていた。
もし本当に「あの世」というものがあるならば、
ご母堂もたいそう心配なさっていたに違いない。

わたしはそれからプロジェクトをいくつか変わり、しまいには退職したので、
彼の病気が治ったのかどうかわからずじまいなのだが、風の便りによれば、
一過性脳虚血発作を起こして入院したり、休職したりと、
相変わらず健康面で何かと心配の尽きない人らしい。
現在は、どういう因縁か、夫の職場にスポットで来ている。
うつ病で来られなくなった人の代わりに彼が投入されたのだ。


大丈夫かな…?


日頃、滅多なことでは職場の話をしない夫が聞く――「彼ってまだ病気なの?」
そう聞かれても…と頼りない返事のわたしに夫は困り顔。
仕事の出来映えに問題があるらしく、彼に注意をしたはいいものの、
もしまだ病気なら「言い過ぎ」になったかもしれない、
と珍しく自己嫌悪に陥っている。

彼よりも何歳か年下の夫が注意するのだから、余程のことだろうけれど、
なかなかこれは難しい問題である。
わたしは、病状については部長に聞いてみてはどうか、と言ったものの、
部長がきちんと把握しているかどうか。
それに、聞いたことで彼に不利な方向に持っていかれでもしたら困る。
結局は「スポットだから」と曖昧なまま進んでいくのだろう。
本当は、彼の病状が明らかなほうが、誰にとっても動きやすいのに。

何かの縁か。

彼に残暑見舞いのメールを送ろうかな…
本当にありきたりのメールを…
何かよいきっかけになることを祈って。


(次を読む)

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