あの日 鹿沼児童6人クレーン車死亡事故遺族の想い - blog -

てんかん無申告で運転免許を不正取得したクレーン車の運転手により、登校中の児童6人が歩道上で轢き殺された事故【遺族ブログ】

東大阪市てんかん発作事故判決の記事に思う事

2017-02-18 | 日記
てんかん発作の被告に懲役10年 大阪地裁
毎日新聞2017年2月17日 10時22分(最終更新 2月17日 11時49分)

 東大阪市で2015年3月、てんかんの発作を起こしたまま車を運転し、3人を死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた元会社員の生野誠被告(51)の判決公判で、大阪地裁は17日、懲役10年(求刑・懲役12年)を言い渡した。長瀬敬昭裁判長は「度々通院を怠り、取り返しのつかない重大な結果を招いた」と述べた。
 生野被告は発作で意識障害に陥る危険を認識しながら運転していたかどうかが、主な争点だった。弁護側は「発作後ごく短時間で意識を失っており、車を止められなかった」と無罪を主張していた。
 判決によると、生野被告は東大阪市内で15年3月5日朝、ワンボックスカーを運転中にてんかんの発作で意識を失い、時速108キロで赤信号の交差点に進入。乗用車に衝突して運転していた男性に重傷を負わせたほか、歩行者の男性2人を巻き込んで死亡させた。
 判決は、生野被告が現場から約500メートル手前で胸がむかつく発作の初期症状を自覚したと認定。直後に別の交差点を左折した点を踏まえ、「停車できる状況だったのに、そのまま運転を続けた。すぐに意識を失ったと訴える被告の説明は不自然」と結論付けた。
 過去の発作後も運転を続けていることを主治医に隠したとし、「免許証を一度返納し、専門医の指導を仰ぐべきだった」と指摘した。
 事故で死亡した高田進弘(のぶひろ)さん(当時41歳)の母親(68)は判決後、「裁判所は被告の行為を悪質と断じてくれた。裁判はこれで終わりにしてほしい」と語った。
 14年5月に施行された自動車運転処罰法では、てんかん、低血糖症、統合失調症、睡眠障害など六つの病気について、運転に支障が生じる恐れがあると認識しながら運転し、人を死傷させた場合に危険運転致死傷罪が適用されるようになった。【原田啓之、岡村崇】


 
 このてんかん患者が起こした防げたはずの事故、救えたはずの命の事は、「2015.5月のブログ」 にも書かせていただいていましたが、昨日、判決が出たという事で各報道の記事を読ませていただいていたが、私たちの子供たち6人が歩道上でてんかん患者の運転するクレーン車に轢かれ命を奪われてしまったのが平成23年4月であり、それから6年経過しようとしているので、僕たちが法改正をしてまで世の中に訴えた 『事故原因の本質』というものについての大切な部分を文章にしている報道が少なくなっているように感じ、その部分について思うことを書いておきたい。

 どこの報道も、「判決が10年になった」「予兆があり停車できたのに運転したから危険運転が成立する」などの内容だが、それ自体は裁判での量刑の立証結果であって事故の裁判の結果報道でしかない。
 それを見た一般の読者は、おそらく、「10年か~命はそんなものなのか~短いな~」とか、「予兆できるものなのか?」など予兆の可能性などについてのみスポットがあたったりして、事故原因の本質までは報道されることはないし、短い文面の中で伝えることは難しいとも感じる。

 被告の方には、運転免許更新の際、正直に申告してしまうと運転免許が更新できなくなってしまい、生活できなくなってしまうという思いがあったかもしれない・・・
 でも、それでも、その理由で他人の命や、幸せになるはずだった人生や未来、夢を奪っていい権利なんてないのだと...気絶したてんかん患者の運転するクレーン車に歩道上で轢かれた6人の子供たちの命を奪われた遺族の思いから伝えておきたい。
 今回、上記の毎日新聞さんの記事には、過去の発作後も運転を続けていることを主治医に隠したとし、「免許証を一度返納し、専門医の指導を仰ぐべきだった」
 という一文が掲載してあり、一歩踏み込んで、「防げたはずの事故だった」という部分を報道では伝えることが大切なのではないだろうか。

 この被告は、過去に発作を起こしており、運転していることを医師に隠していたという事実が裁判で明らかになったようですが、過去の記事では、平成24年10月に運転免許証も虚偽の申告をして更新しています
 私たちの時もそうでしたが、クレーン車の運転手は何度も何度もてんかん発作等による事故を過去に10年間で12回も起こしていて、医師に何度も運転をしないように注意されていながらも聞く耳を持たず運転免許証を虚偽申告して事故を起こしました。
 その結果、生野誠被告は、3人を死傷させ、クレーン車の運転手は6人の児童を死亡させ、現在、自動車運転過失致死罪 懲役7年の判決で受刑中です。

 てんかん患者さんであっても、一定の基準(5年間発作がない、薬を服用して2年間発作がないなど)を満たせば、運転免許は取得できます。だから、そのような基準を守って適正に申告して運転しているてんかん患者さんもたくさんいるでしょうし、そういう正しい申告をされた方は事故が起きないのだと思っています。
 東大阪市の事故や京都祇園の事故、北海道共和市の事故、栃木県鹿沼の我々の事故などは、ルールを守らなかった一部のてんかん患者が起こしてしまった残念な事故です。
 てんかんの発作の虚偽申告は、「自己申告」という運転免許制度にあっては、無力です。しかし、私たちが平成23年から平成24年に行った署名活動より全国の皆様の20万人の思いから法改正が成立し、虚偽申告の事故も「危険運転致死傷罪」で起訴できるようになりました。
また、虚偽申告には罰則もできるように道路交通法が改正されました。
 しかし、本当に大切なことは、その法律で裁くことや裁かれることが問題なのではなくて、その前にある、「事故を未然に防ぎ、救えたはずの命を救うことです。」
 なぜなら、裁判で被告が危険運転致死傷罪になろうとも、「命」は返ってこないからです。
 その時はもう、生きていないからです・・・

 事故は被害者にとっても加害者にとっても一つもいいことはありません。
 どんな困難な事情があろうとも、他人の命を奪っていい権利もありません。
 命というものは、この裁判の裁判官の言う「取り返しのつかない重大な結果」であり、どんなに償おうが反省しようが命を取り戻す事はできないのです。
 東大阪市のこの事故も「防げたはずの事故」であり、「救えたはずの命」です。

 この機会に一度、ハンドルを握る者全ての人が、自身の愛する家族に思いを馳せ、もう一度想像してみてほしい
 理不尽な事故で命を奪われてしまった人たちが歩むはずだった人生を・・・
 理不尽な事故で命を奪われてしまった人たちが見ていた夢を・・・
 そして、考えてほしい。
 命とは、一人にたった一つしかない大切な大切なものなのだということを....
 
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