医療コンサルタントの勝手にセミナー

医療コンサルタントである私が頭に浮かぶ様々なアイディアをセミナー形式で展開していくブログです。

『第13回:コーチングの基本スキル=傾聴するN01』

2008-12-16 17:09:33 | コーチング
 最近になって、ビジネスの世界だけでなく、医療の世界でも「職場の上司と部下」や「医師と患者」の間のコミュニケーションツールとして"コーチング"という言葉が一般的になってきました。弊社のホームページを訪れるのは医療の現場で勤務なさっている方々が圧倒的に多いと思いますが、これから約半年間に亘って週1回ペースで、"コーチング"について自分の頭の中を整理しつつ、思いつくままにお話させて頂こうと思います。

さて、今日は第13回目の『コーチングの基本スキル=傾聴するN01』です。

1. コーチングって何?
2. コーチングが必要になった時代的背景
3. コーチングの基本原則
4. コーチングとティーチング
5. 心理学からみたコーチングが機能する理由
6. 動機付け要因
7. パラダイムからの脱却
8. コーチングの基本スキル
9. 質問する(4回程度)
10. 傾聴する(3回程度)
11. フィードバックする(4回程度)
12. 部下育成のポイント
13. ミッション・ビジョンを共有する
14. 問題解決のためのGROWモデル(最終回)

『第13回:コーチングの基本スキル=傾聴するN01』

 皆さんの周りに、大して話がうまくないのになぜか成績のいい営業マンはいませんか?それは、相手の話を聞くスキルが優れているからです。

 世の男性はなぜ高い酒代を払ってまで飲み屋にいくのでしょう?それは、奥さん以上に自分の愚痴や自慢話を頷きながら聴いてくれる女性がいるからです。

 人気のある医師は他の医師とどこが違うのでしょう?それは患者の訴えをよく聴いてくれるかどうかです。ある患者調査によれば、患者にとって良い医者とはよく話を聞いてくれる医者であって、腕がいいことは下位に位置づけされています・

 つまり、コミュニケーションや信頼関係を築くためには、いかに聴くことが大事か理解できると思います。一生懸命に相手の言うことを『傾聴』と表現しますが、漢字を分解すると、『身体を相手側に傾けて、耳と目と心を使って聞く』となります。



 コミュニケーションが人間関係に与える影響力に関する研究で明らかになったメラビアンの法則では、特にノンバーバルコミュニケーションの重要性が強調されている。ノンバーバルに隠された意味を十分に観察し、心の動きを理解することが重要であるとされています。

 次いで音声表現も重要で、間のとりかた、話すスピード、声の強さ、高低、響き、明瞭度などによっても相手の受け止め方に影響を与えます。

  (ア) 言語(言葉の意味・内容):7%
  (イ) 音声表現:38%
  (ウ) 表情・態度(ノンバーバルコミュニケーション):55%

  『言語』:言葉のもつ意味、話の内容そのもの
  『音声表現』:間のとりかた、話すスピード、声の強さ、高低、響き、明瞭度
  『ノンバーバル』:アイコンタクト、身振り、手振り、顔の表情、体の動き、姿勢、相手との位置関係、服装

 相手が発信する情報(言語、音声表現、ノンバーバル表現)の中には、相手自身も無意識の内に潜在意識の中にある答えの微細なシグナルが含まれている可能性があります。これをいかにキャッチして、掘り出して行くかがコーチングにおいて求められるところです。

次回は、『傾聴』の具体的スキルについてお話しします。

『第12回:コーチングの基本スキル=質問するNo4』

2008-12-11 09:22:41 | コーチング
 最近になって、ビジネスの世界だけでなく、医療の世界でも「職場の上司と部下」や「医師と患者」の間のコミュニケーションツールとして"コーチング"という言葉が一般的になってきました。弊社のホームページを訪れるのは医療の現場で勤務なさっている方々が圧倒的に多いと思いますが、これから約半年間に亘って週1回ペースで、"コーチング"について自分の頭の中を整理しつつ、思いつくままにお話させて頂こうと思います。

さて、今日は第12回目の『コーチングの基本スキル=質問するNo4』です。

1. コーチングって何?
2. コーチングが必要になった時代的背景
3. コーチングの基本原則
4. コーチングとティーチング
5. 心理学からみたコーチングが機能する理由
6. 動機付け要因
7. パラダイムからの脱却
8. コーチングの基本スキル
9. 質問する(4回程度)
10. 傾聴する(3回程度)
11. フィードバックする(4回程度)
12. 部下育成のポイント
13. ミッション・ビジョンを共有する
14. 問題解決のためのGROWモデル(最終回)


第12回:コーチングの基本スキル=質問するN04』

問題を解決するステップは以下の通りです。

1.達成したいことを明確にし、目標値を設定する。

2.自分の置かれている現状を明確にする。

3.達成したいことと現状のギャップを認識させる。

4.そのギャップを生んだ原因=問題を明確にする。

5.解決可能な問題点=課題を抽出して、重要度と容易性の尺度で優先順位をつける。

6.課題を解決するために何をすれば良いか明確にする。

7.やるべきことに優先順位をつけて、行動計画を作成する。

8.行動してみて、思うような成果が上がらなければ計画を見直す。

今回は、この流れの中で有効な質問の具体例を挙げますので、日常生活の中で意識して使ってみて下さい。

1.目標を設定する質問
 「いま一番達成したいことはどんなことですか?」
 「コーチングを通してどういう成果を手に入れたいですか?」
 「何か、こういうふうにしたいと思っていることはありませんか?」
 「どういう状況になったら、目標が達成されたと感じられるでしょうね?」
 「目標を達成することで手に入れられるものは何ですか?」
 「仮にあらゆる条件が整えば、何台売れると考えていますか?」
 「あなたが今何でもできるとしたら、やりたいことを20以上挙げてください」
 「あなたが今挙げた目標を3倍にしてみたらどうですか?」
 「あなたがそれを手に入れると、心地いいもの、満足すると思うことはどんなことですか?」
 「では、そういう目標でよろしいですね?」
 「どんな時に、一番達成感を感じますか?」
 「この会社に入って、一番嬉しかったのはどんな時でしたか?」
 「あなたが仕事の中で、大切にしている信条みたいなものは何ですか?」
 「お客様が一番喜ぶのは、どんな時ですか?」
 「3年後にこんな自分になっていたら嬉しいというイメージは?」
 「それはなぜですか?」

2.現状を訊く質問
 「今どういう状況ですか?」
 「何か気になっていることはありますか?」
 「今上手く行っていることは何ですか?」
 「上手く行っていないことは何ですか?」
 「その情報はどこから得たのですか?」
 「その判断の根拠になっているのは、どういうデータですか?」
 「ほかに影響している要素はありませんか?」
 「以前からそういう状況だったのですか?」
 「これから事態はどういうふうに変化していくでしょうね?」

3.問題を特定する質問
 「成果を上げるために問題になっていることは何ですか?」
 「そうなっている理由にはどんなことがありますか?」
 「そのことを困難にしているのは何ですか?」
 「いま、一番緊急の問題は何ですか」
 「どこが一番難しいのでしょうね?」
 「長期的にみて、最も重要な課題は何でしょうね?」
 「短期的にみて、最も重要な課題は何でしょうね?」
 「誰かの思惑が関与しているとしたら、誰の思惑でしょうね?」
 「その状況で、一番得をしているのは誰ですか?」

4.フォーカスするポイントを訊く質問(コツはパフォーマンス結果は問題にしないことを最初に相手に伝える)
 「その成果を上げるためには何を学習すればよいと思いますか?」
 「何を身に付けたいですか?」
 「そうしたい理由は何ですか?」
 「どんな点に注意すれば最もよい成果が得られると思いますか?」
 「どうなると上手くいっていると分かるのですか?」

5.リソースを訊く質問
 「そのために、誰かの力を借りることはできますか?」
 「その件について、誰かからアドバイスを受けることはできませんか?」
 「隣の課から応援を頼むとすれば、誰がいいですか?」
 「どこか適当な場所はありませんか?」
 「どんな道具を使うと、作業がはかどりますか?」
 「用意しておくものはありますか?」
 「備品のチェックリストを作ってはどうですか?」
 「5万円捻出するために、何か節約できることはないですか?」
 「公的機関の補助金や助成金で使えるものはありませんか?」
 「その情報はどうやったら入手できますか?」
 「その件について一番詳しいのは誰でしょうね?」
 「ハイテクを使う方法はありませんか?」
 「ローテクを使う方法はありませんか?」
 「一番都合のいいのはいつですか?」
 「これから1週間の内に2時間確保できる枠はありませんか?」
 「この時期なら大丈夫という時はないですか?」
 「通勤時間や移動時間を活用する方法はありませんか?」

6.選択肢を訊く質問
 「いつもはどういう方法でやっていますか?」
 「これまでに一番上手くいった方法はどういう方法ですか?」
 「ほかに新しいやり方はないでしょうか?」
 「ライバルが使っている方法はありませんか?」
 「そのためのどんな方法があるのか、50通りリストアップしてみましょう」
 「どの方法が一番しっくりきましたか?」
 「一番、安上がりな方法はどれですか?」
 「所用時間を短くする方法はありませんか?」
 「一番効果の大きいのはどの方法ですか?」
 「選択肢について、メリットとデメリットの表を作ってみませんか?」
 「何かひとひねりしてみようと思う部分はありませんか?」
 「逆の発想をしてみることはできませんか?」
 「これとこれを組み合わせるという方法はありませんか?」
 「例えば~してみるという方法はありませんか?」
 「~と聞いて、パッと思いついた方法はありませんか?」

7.手順・決意を訊く質問
 「まず、どこから手をつけましょうか?」
 「優先順位が一番高いのは何ですか?」
 「一番やり易いところから始めるとしたら、どこですか?」
 「どういう手順で進めていきますか?」
 「もう少し詳しく聞かせてください」
 「次には何をしますか?」
 「~についていつまでにやりましょうか?」
 「~いつから始めますか?」
 「そのためには、ひとつの作業について何日かかりますか?」
 「一週間以内にできるのは、何と何ですか?」
 「途中で進捗状況をチェックするのは、いつにしましょうか?」
 「この目標を達成するために、私に何かできることはありませんか?」
 「絶対にやるって、決めましたか?」
 「やる気が沸きあがってきた感じがしますねえ、どうですか?」
 「自分で自分のやる気を高めるためにできることはありませんか?」
 「成功したら、自分にどんなご褒美をあげましょうか?」
 「これをやりとげたら、どんな気持ちになりますか?」
 「必ずやってくださいね、期待していますよ」

8.評価を訊く質問(振り返り)
 「やってみてどうでしたか?」
 「何か気がついたことはありましたか?」
 「最初の目標に対して何%くらいですか?」
 「その理由は何ですか?」
 「他にどんな方法があったと思いますか?」


『第11回:コーチングの基本スキル=質問するNo3』

2008-12-01 09:06:21 | コーチング
 最近になって、ビジネスの世界だけでなく、医療の世界でも「職場の上司と部下」や「医師と患者」の間のコミュニケーションツールとして"コーチング"という言葉が一般的になってきました。弊社のホームページを訪れるのは医療の現場で勤務なさっている方々が圧倒的に多いと思いますが、これから約半年間に亘って週1回ペースで、"コーチング"について自分の頭の中を整理しつつ、思いつくままにお話させて頂こうと思います。

さて、今日は第11回目の『コーチングの基本スキル=質問するNo3』です。

1. コーチングって何?
2. コーチングが必要になった時代的背景
3. コーチングの基本原則
4. コーチングとティーチング
5. 心理学からみたコーチングが機能する理由
6. 動機付け要因
7. パラダイムからの脱却
8. コーチングの基本スキル
9. 質問する(4回程度)
10. 傾聴する(3回程度)
11. フィードバックする(4回程度)
12. 部下育成のポイント
13. ミッション・ビジョンを共有する
14. 問題解決のためのGROWモデル(最終回)

>『第11回:コーチングの基本スキル=質問するN03』

今回は、質問するときに注意すべきポイントについてお話しします。
最も重要なポイントは3つです。

1.相手が答えやすい質問をする。
  正確・具体的・シンプル・短い表現、一度にひとつのことだけ質問する、論理的であること、意図が明快なことが重要です。

2.あらかじめ答えを予測しないで素直に質問する。
  誘導尋問はしない、特定の答えを強要してはいけません。例えば「それは違うだろ?」とか「そうじゃないだろう?」がそれに当ります。

3.6W2Hを使って質問を掘り下げる。
  相手の考えを掘り下げていくために、拡大・未来・肯定質問の中に、WHAT・WHATELSE・WHERE・WHY・WHO・WHEN・HOW・HOW MUCHを取り混ぜると効果的です。

以下に、細かな質問のポイントを述べます。

■質問の基本的スキル

基本的なスキルとしては以下の通りです。

① 相手が答えやすい質問をする(何気ない小さな質問から入る)
  「仕事どう?」ではなく、「今日はどこに行ったの?」など

② 具体的に質問をする

③ 質問した後は相手の答えを我慢して待つ(沈黙を恐れない)

④ 視点を変えて向こう側から見させる質問をする
  「そのことで相手はどう思ったと思う?」

⑤ 選択肢を与えるような質問をする
  「うまくいった?それとも何か問題あった?」

⑥ 答えを用意しないで素直に質問する
  用意した答えと違う答えを相手が言ってきたら、「それは違うだろ?」「そうじゃないだろう?」となってしまいがち

⑦ 6W2H(WHAT・WHATELSE・WHERE・WHY・WHO・WHEN・HOW・HOW MUCH)を使って質問を掘り下げる
  質問は、『短く』『具体的に』『間を取って』『散らさずに焦点を絞って』

⑧ 潜在意識に訴える質問をする
  『拡大質問』『未来質問』『肯定質問』
⑨ 直感を働かせる


■“WHY”はなるべく使わない方がよいとされている理由

① 日本人は、子供の頃から「なぜ」と訊かれるときは、いつも怒られることが多かったので心を閉ざしてしまう。

② その人が直感的に思っていることに対して、「なぜ」と訊いてもその人を苦しめるだけで、何も行動は起こらない。→拡大・未来・肯定質問の方が機能する。


■対等でない関係で行うコーチングの注意点
  教師と生徒 :教師の評価で成績が決まる部分がある
  教師と保護者:子供を人質に取られている意識がある
  親と子   :衣・食・住という生存権を親に握られている
  上司と部下 :上司の評価が人事考課に響く
  医者と患者 :まな板の上の鯉の心境+病気への不安から誰かに頼りたい

 普通の関係ではそれほどでもない言葉が、時として相手に強烈に響くことがあるので、以下のことに注意する必要があります。

①同じテーブルに載せる(対等であることを意識する)

②別の考えを持った一個の人格として認める(特に子供の場合)

③最初は相手の不安や言いにくい状況を取り除くために、アクティブリスニングに徹する。

④どちらかというと、カウンセリング寄りの対応、感情に寄り添うことを主体とする。

⑤どんなにくだらないと思う意見でも、遮らない、評価しない、否定しない。

⑥相手の意見が出尽くしたところで、おもむろにこちらの経験や提案をする。(提案を急がない、提案のスキル、私メッセージを使う)

■質問するときの注意

①考えない(即座にボールを投げ返す)
  常に自分をニュートラルな状態にして、部下からの質問や答えが返ってきたら、心に浮かんだ「質問」をすぐに相手に投げ返すことが重要です。なぜなら、相手から投げられたボールを自分の手元で弄んでいると、自分の邪念、固定観念、先入観などの「余計なもの」が次に投げる質問の中に混じってしまうからです。
例えば「どうすればいいんですか?」と訊かれたら、「あなたはどうしたいんですか?」と即座に投げ返すことです。考えるのはあくまで相手です。

②予測しない
  上司の考えをはるかに越える大きさを持つ部下の潜在意識の中にある答えを、しかも何人もの部下がいる場合、どうして一人の上司がすべてを知りえることができるでしょうか。
部下から返ってくる答えを予め予測するということは、既に部下の答えを自分の限られた知識や価値観の中で捉えようとしていることに他なりません。

③リードせずにフォローする
  コーチングの基本原則は、答えはすべて相手の中にあり、自分の行きたい方向でなく、相手が行きたい方向を見つけてそれをサポートする、つまりフォローすることです。
  「フォローする」とは、「自分が聞きたいことを訊くのではなく、相手の聞いて欲しいことを訊く」ことです。相手は、実は心の深い部分では自分がその時何を訊いて欲しいのかを知っている場合があります。そのヒントはたいがい相手が直前に言った言葉の中にある。
  例えば、「君はどういうことがやりたいんだね?」という質問に対して、相手が「それがあまりはっきりしていないんです。」と答えたとする。
  あなたなら次にどう言いますか?・・・「あ、そう」か、「だめじゃないか、もっとしっかり考えないと」か、「じゃ、こうしたらどうだろう?」ですか?

  実は、相手の「それがあまりはっきりしていないんです。」という言葉の中には、「できればそれをはっきりしたい」という意識が含まれています。従ってあなたが次に言うべきなのは「じゃ、何かはっきりしていることはあるのかい?」とか「どこをはっきりさせたいんだね?」という問いを投げかけることです。もし、何を聞いたらよいか判らない場合は、「今、君は何を聞いてほしいんだい?」と訊いてしまえばよいのです。なぜなら、求めている答えがすべて相手の中にある以上、何を聞くか困ったときにはその本人に訊くのが一番確実だからです。そんな時に、いくら自分の頭の中をひっくり返しても、残念ながら答えはいつまでたっても出てこないからです。