哲学者か道化師 -A philosopher / A clown-

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『ブラックホーク・ダウン』

2009-03-01 | 映画
ブラックホーク・ダウン スペシャル・エクステンデッド・カット(完全版) [DVD]

ポニーキャニオン

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 『ブラックホーク・ダウン』を観た。タイトルやポスターからして、いかにも陰惨な印象で、気にはなっていたけれど手が伸びなかったのをようやく観たのだ。

 舞台はソマリアで起きた「モガディシュの戦闘」。米軍や国連軍が駐屯しても、どうにもならなかった内戦中の最大の激戦を描いたものだ。もともと、和平反対派の要人を逮捕する比較的小さな作戦であったはずのものが、次第に混乱を帯びていき、一台のヘリコプターがRPGで落とされた瞬間から一昼夜を超す激戦へと発展していく。映画は、徹底してリアルに戦闘を描いていき、そういう意味ではほとんどストーリーらしいストーリーもなければ、ロマンチシズムもほとんどない。それでも、この映画の迫力は抜群である。戦闘を描くリアルさについては、今までこれ以上のものを見たことがない。それに、戦争映画としては珍しく、内部争い、いわゆる内ゲバや失策がない。指揮官も有能で、合理的だ。これが、一つこの映画の潔さを示しているだろう。
 しかし、この映画を観て観客が心を動かされるのは、こういうハードな戦闘描写に対し、米軍の兵士たちの仲間思いの厚さである。ヘリコプターの数人の兵士を助けるために、新たに兵士が動員され、新たに動員された兵士が傷つけば、さらに新たな兵士が動員されるという、一見効率の悪そうなことをしているが、兵士たちの仲間への思いから、また兵士たちの士気の高さから考えれば、十分以上に納得いくものである。下半身が千切れた仲間を連れて帰ろうとしたり、いったん傷ついて基地へ帰った兵士が、仲間の兵士を助けるために再出撃したいと申し出たりしているしなあ。と、かなり熱い映画でもある。

 そんなわけで、私はこの映画かなり好きである。これまで、それなりに戦争映画を観てきたけど、一番良かったし、一番好きだと言っても過言ではないな。名言も並べきれないほどたくさんあるし。ちょいグロとか、残酷な描写もあるが、そういうのが観られる人ならぜひ観てほしい。全くもって良い映画だと思う。

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