車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

額に汗かく仕事、かかない仕事

2009年04月27日 | 社会

松本さんの額に汗かく仕事、かかない仕事という記事に笑ってしまったが、そういえばそういうこと言ってた人がたくさんいたな。このような思考回路の裏にあるのはおそらくマルクス等の労働価値説なんだろうけど、いまどき仕事の効率性や生産性を無視するような考え方に基づいているというのは面白いところだ。さらに笑えるのは、金融や投資家を否定して汗して働くことを美化していた人たちが、一部の仕事以外の価値をちゃんと認めていなかったことだ。どういう訳か、一方では利潤や効率を否定して働くことを主張していた人たちが、低賃金の人たちとの比較になると怠惰だから無能だから賃金が低くてしょうがない、怠けるなちゃんと働けと言い出した。つまり、上と比較する時は質を否定し量で比較し、下との比較ではすべてが質の違いから来るに違いないと言い出した。

このような上の層の投資や経営というものを否定しつつ、下とは努力の違いだと言い出す二重基準論法は、ヨーロッパでは昔から上層階級が使ってきたもので封建領主が使い、都市民が農民を差別しつつ使い、ヨーロッパ人がアジア・アフリカの現地人を差別的に扱った上でそれを正当化するために使ってきた。さらに言うと、マルクスが支持した労働者自体が農民や召使を排除する差別的な集団として存在したという事実があった。だから、今の日本でこのような主張が聞かれるのも全然不思議ではないだろう。

とはいえ、このような主張は結局は論理性を欠いた屁理屈の域を出ないだろう。時間当たりの効率を上げようとするものを如何わしいものとして否定しながら、他方では賃金が低いのは怠惰だからに違いない。結局は、どのような基準を使うかという恣意的な基準によって物事が判断されてしまっている。今、必要なのは公平な基準で生産性を計っていくことではないだろうか。

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