はみ出し行政書士日記

破天荒(?)な行政書士が、遭遇する様々な事件に挑戦する日々の実態+α

永住(特別永住)ビザは磐石か

2004年09月10日 22時23分04秒 | 業界裏情報?
日本に外国人が滞在するための在留資格は、日本国内での活動内容などに応じて27種類に分類されている。就労系、配偶者系、留学系、公用など幾つかの大きな括りに出来るのだが、その中でも活動内容に制限が設けられていない在留資格が永住(特別永住)というものである。(特別永住者とは、サンフランシスコ平和条約発効日発効以前から引続き日本に滞在していて、同条約発効により日本国籍を離脱した人等に対して発給される特殊な在留資格である。一般に言われる「在日」の人たちが持っている在留資格と認識してよい。)

通常、就労系ならば認められた職業に就いていない場合は、在留資格の更新などが認められず、帰国しなければならないし、配偶者系の在留資格も、離婚すれば原則帰国しなければいけない。

しかし、永住(特別永住)の在留資格は、そういった制約が一切無い。日本国籍を持つ人との違いは、選挙権の有無と所有するパスポートだけと言っても過言ではない。
生活に窮するようになれば、日本人と同様の条件で生活保護を受けることも出来るし、永住者と結婚した外国人を「永住(特別永住)者の配偶者」として日本に呼ぶことも可能になる。

そのせいか、永住(特別永住)者は自分が外国人であり、日本から在留資格を得て滞在しているということをつい忘れがちになってしまう。これは仕方の無いことなのだが、時々大きな問題を引き起こすことがある。

その一つが「再入国許可」というものである。

外国人は、日本に入国する際に入国許可を得て入国するが、既に在留資格を持つ人が一時的に外国へ出国し、再び日本に戻る時は「再入国許可」を得ておかなければならない。

もし仮に、許可を得ず出国すれば、その時点で在留資格そのものが消滅する。
これは、一般的な在留資格に限らず、永住(特別永住)者であっても同じである。ところが、永住(特別永住)者の中には、親の代から長く日本に滞在しているため、自分が外国人であるという認識はあっても、在留資格を得えているという認識があまり無いケースがあり、日本人と同様の感覚で、海外に長期滞在してしまう場合がある。

すると、再入国許可を得ていても、その許可期限が切れてしまい、永住(特別永住)者としての入国が不可能となってしまうのだ。
永住(特別永住)の在留資格を持っている人の殆どは、日本に生活基盤を持っていて、海外で暮らすことは殆ど不可能といってよい。特に、特別永住者の場合、韓国や北朝鮮、台湾などの国籍ではあっても、日本語を母語として生まれ育ち、母国(と言ってよいかはわからないのだが)に帰国したことがない人もいる。
そのような人が、日本の在留資格を失ってしまうと、流浪の民の如く、生活基盤をどこの国にも持てなくなるという最悪の事態が起きてしまう。

先日も、そのようなケースの相談があり、非常に困難な問題の解決が必要であった。
幸い、領事館への申し立てにより再入国許可の延長(入管法の規定により1年間だけ延長することが出来る場合がある)を認めてもらうことが出来て、特別永住者の在留資格を失わずに済んだ。しかし一歩間違えば、どこにも生活基盤を持てないまま、どこかの国をさまよい続けなければいけないという、とんでもない事態になってしまうところだった。

このような事態になる前に、専門家に一言聞いて頂けると良いのだが、日本で生まれ育つと危機意識が薄く、自分の存在基盤そのものを脅かす可能性のあるものが何かをきちんと認識しきれないことが多いのではないだろうか。

たとえ、究極のビザと呼ばれる永住(特別永住)者といえども、こういうときだけは外国人であることを改めて認識させられる。そして、そういった事態を起こさないためにも、私たちが、日々の仕事の中で広く情報を提供していく必要があると感じさせられた。

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