セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

羊たちのもぐもぐ

2018年01月20日 09時39分54秒 | クエスト184以降
やっぱり朝更新か〜い!の追加クエストもどき。でも自分スケジュール的にはなんとかギリギリ間に合いました(笑)タイトルがおふざけになりましたが、実は当初もっとハードな展開になる筈が、タイトル通りゆる〜い展開と相成りました。読まなくてもだいたい先が読める展開というか。こんな内容ですが、津久井は特に羊に悪意はありません。子羊可愛いし。

 あやかしそうを採りにヤハーン湿地を歩いていたミミとイザヤールは、一匹の羊がうろうろしているのを見つけた。毛の様子とかから察するに、野生ではないらしい。カルバドの草原に放牧されているものが迷い込んだようだ。
「羊さん、どうしてこっちに来ちゃったの?この辺は危ないから、一緒に帰ろう」
 ミミが優しく話しかけると、羊は嬉しそうに彼女のところへとことこと駆けてきた。近付いたらわかったのだが、羊は、何故か口をもぐもぐさせていた。草でも食べているのかな、とミミは思って羊の口元を更によく見ると、食べているものはどうやら、上質な植物の繊維でできた布か紙のようだった。
 ミミが羊のふわふわの頭をなでていると、遠くから焦っているような叫び声が聞こえた。
「おーい!その羊、捕まえてくれー!」
 声の方を見ると、湿地の霧っぽい空気を通して、小さな人影がぽつんと見えた。この羊の飼い主かな、とミミは思い、羊の背中に軽く腕を載せたが、捕まえる間でもなく、羊はミミの傍から動かず、むしろなついていて、ごきげんそうに背に載せたミミの腕に額をすりすりしたりし、その間もずっと口をもぐもぐさせていた。
「羊もミミの優しさと魅力にちゃんと気付くのだな」
 イザヤールがご満悦そうな声と顔で頷く。そして、人影の顔が識別できる頃には、羊はその噛んでいたものをごっくん、と飲み込んだ。
 近付いてきたのは、羊飼いらしからぬ格好の旅人だった。騎士風の鎧にマント姿の壮年の男だったが、鋭い目付きや身のこなしは騎士というより海賊を思わせた。
「ああ、遅かった・・・」
 男は、羊がもはや何ももぐもぐしていないのを見て、がっくりとうなだれた。
「え?何が遅かったんですか?」
 ミミが尋ねると、男は逆に質問を返してきた。
「この羊は、何かを噛んでいなかったかね」
「はい、紙のような布のようなものをもぐもぐと噛んでいましたけれど?」
「ああ、やっぱり・・・」
 男は更にうなだれ、肩を落としまくりに落とした。
「もしかして、大切なものだったんですか?」
「ああ、そうだ。私は、先祖が残した宝の在処を示す暗号を、各地の古代遺跡に残った文字と照合することで、長いことかかって少しずつ意味を集め単語を解読し、その集めた文を記して、いよいよ読もうとしていたのだ。だが、読もうとしたその矢先に、解読文を記した用紙を、よりによって羊に食べられてしまうとは・・・!」
 いったい何をどうしたらそんな状況になってしまうんだろうとミミとイザヤールは戸惑いつつ、羊さんだって悪気があったわけじゃないよねという意味をこめてミミは羊の頭をまたなで、羊は返事をするようにメェ〜と鳴いた。すると男は、いきなり剣を抜いて、羊に向け、言った。
「かくなるうえは、この羊の腹を裂いて、解読文を取り戻すしか・・・!」
 羊は怯えた叫び声を上げ、ミミは慌てて羊をかばい、イザヤールはそのミミをかばうように前に出た。
「ま、待ってください!」
「乱暴が過ぎるだろう!そもそも、散々噛み砕かれた時点で文字など識別不能だ」
 イザヤールが冷静かつしごくもっともなことを言うと、男は呻き声を出しながらも剣を下ろし、溜息をついた。
「確かにそうだ。しかし、暗号は古代の言葉で書かれていて非常に複雑だ。また、解読を最初からやり直すのかと思うと・・・」
 ミミとイザヤールは顔を見合わせた。古代の言葉なら、元天使で長いこと生きてきたうえに学んでもきた自分たちは、読めるかもしれない。
「暗号部分はまだ残っているんですよね?」ミミは尋ねた。
「ああ、そこのバカ羊がそれも食う前に危うくもぎ取ったからな」
「私たち、多少古代の文字がわかるので、もしかしたらその暗号の言葉が読めるかもしれません。意味まではわからないかもしれませんが」
 ミミが言うと、男はうなだれていた顔を上げた。
「本当かね?!では試してみてくれないか!」
 ミミとイザヤールはクエスト「羊たちのもぐもぐ」を引き受けた!

 男は暗号の書かれた紙を渡そうとしてから、はっと手を止めて言った。
「その前に、その羊を追い払ってくれないか?暗号の写しまで食われてしまってはかなわない」
「追い払うんじゃなくて、カルバドまで送りたいんですが。ここではなんですから、とりあえずご一緒にカルバドの集落まで戻りませんか?」
 ミミの言葉に男はしぶしぶ承知したが、こう付け加えた。
「だがな、私は集落には入らんぞ。あそこには羊が多い。この羊みたいな意地汚いヤツがまた居るとも限らないからな」
 羊は悪口を言われているのがわかるのか、抗議するような鳴き声を上げた。それはともかく、ミミはルーラを唱え、一同は(羊も一緒に)カルバドの集落前に着いた。
 ミミとイザヤールが羊を送り届けて戻ってくると、男はいそいそとちぎれた紙のような布のようなものを取り出した。
「これが暗号だ。慎重に扱ってくれ」
 二人は受け取り、文字を見てみた。確かに現在使われていない文字だが、幸い二人とも天使界の図書室で見たことがあり、読むのも容易だった。
「では読んでみますから、メモしてくださいね。『おぞましい魔物から我らが一族の命を救いし究極の宝は、これより記す洞窟の中に眠っている。その洞窟は、我が言葉を相反する形無きもので浄めるとき、道が現れるであろう』・・・これ、何のことかわかります?」
「おお、通しの文はそうなっていたのか!」男は夢中でメモをしながら叫んだ。「・・・だが、何のことを言っているのかは、さっぱりわからん」
 ミミが男に暗号の書かれた用紙を返し、男が考え込んでいると、そのときアクシデントは起こった。大ヒツジの魔物ビッグホーンがいきなり突進してきたのだ。男を含め三人は武器を構えたが、ビッグホーンはミミとイザヤールには目もくれず男の剣に激しくツノをぶつけてきて、その拍子に男は暗号の書かれた用紙を落としてしまった。
「くっ、我が一族の剣は、羊の化け物ごときに負けはせんぞ!」
 男は叫んでビッグホーンのツノを剣で払って距離を取り、ビッグホーンは地面に転がったが、するとビッグホーンは、地面に落ちた暗号の書かれた用紙を口にくわえてしまった。
「あっ・・・!」あまりのベタな展開に、一瞬固まるミミ。
「どれだけ羊人気のある紙なんだ?!」
 イザヤールはもっともなツッコミをしつつビッグホーンの口元を押さえにかかったことでミミも気を取り直し、ビッグホーンのよだれまみれになったとはいえ暗号の書かれた紙を取り返した。ビッグホーンは、怒り狂った男の一撃で倒された。
 手袋をしているとはいえ、ミミは悲しげによだれまみれでぐっしょりの用紙をつまんだ。
「くそう、羊どもめ!」男は腹立たしげに叫んだが、とりあえず紙は濡れているとはいえ破損していないことに安堵した。「まあいい、乾かせば大丈夫だろう」
 そこで三人はさっそく火を興し、慎重に用紙を乾かし始めた。すると、暗号の書かれた裏側に、みるみる何か図が浮かび上がってきた。
「これは・・・宝の地図?!」
 男は目を丸くし、火の上からひったくるように用紙を引き離し、しげしげと見つめた。
「相反する形無きもので浄める・・・なるほど、水で濡らし火で炙れば地図が浮かび上がる仕組みという訳か」イザヤールが呟いた。
「確かに、水も火も、定まった形の無いものだものね。・・・でも、よだれじゃあ浄めるってことにはならないんじゃ・・・」
 ミミが心配そうに呟くのを、苦笑して細かいことは気にするなとイザヤールは囁いたが、男はビッグホーンのよだれのことはもう忘れて地図の場所を割り出すのにやっきになっていた。
 そのとき、またもやアクシデントが起こった。何故かおどるほうせきが突げきホーンに追いかけられていて、おどるほうせきは地図に夢中になっている男の後ろに隠れた!突げきホーンは、そのまま男に向かって突撃してきた!
「危ないっ!」
 イザヤールはとっさに男を突き飛ばし、自分が代わりに突げきホーンにはね飛ばされたが、ムーンサルトの動きで怪我もなく着地して、一瞬蒼めたミミを安堵させた。突げきホーンは、そのまま走り去った。
 男も素早く体勢を立て直して立ち上がったが、手から地図は消えていた・・・そしてその地図は、数歩先に、突げきホーンの足跡がべったり推された状態で落ちていた。
「くそう、またか!羊のヤツめ!」
「あの、突げきホーンは、どちらかっていうと羊というより牛だと思いますけれど・・・」
「そんなことはどうでもいい!地図が台無しだ!・・・まあいい、洞窟の場所はわかったからな。貴殿たちのおかげだ、礼を言っておこう」
 男はお礼にと、「プラチナシールド」をくれた!そして、続けて言った。
「よかったら、私と一緒にご先祖が残した宝を見に来るかね?助けてくれた貴殿たちには、充分その資格がある」
 古代の文字で暗号にまでした地図に隠された宝とはどんな物なのか興味があったので、ミミとイザヤールは喜んで承知した。
 男の記憶を頼りに洞窟を探すと、それはヤハーン湿地の中にあった。「先ほどは知らずに近くまで来ていたのだな」と男は苦笑する。洞窟の中は遺跡タイプで、敵の強さもさほど苦労することなく進むと、やがて赤い宝箱を見つけた。
「間違いない!これは我がご先祖の残した宝箱だ!ここに一族の紋章が刻んである」
 男は言って、宝箱を開け・・・そして固まった。
「どうしたんですか?」
「いったい何が入っていたんだ?」
 口々に言って、ミミとイザヤールが宝箱の中を覗くと、中に入っていたのは、一本の角笛だった。羊の角でできているらしい。一緒に紙片が入っていて、それには古代文字でこう記されていた。
『私は、魔物の群れに囲まれて絶体絶命の危機に陥った時に、この角笛を吹き鳴らすことで、その危機を脱した。願わくば、我が子孫もこの角笛で危機を脱し末永く栄えんことを・・・』
「あ・・・あれほど苦労して、角笛一本・・・。しかも、また羊かー!羊なのかー!」
 男が頭を抱える。彼の苦労を察すると、ミミとイザヤールもかける言葉も無かった。
「くそっ、この怒り、宝の地図のボスにぶつけてくれる!」
 男は言って、どんどん階段を降りてしまい、ミミとイザヤールは慌ててその後を追った。すると、この洞窟のボスはハヌマーンで、その白い姿を見た男は、「また羊かー!」と叫んで、いや全然羊じゃないから、というツッコミを入れる間もなく、自棄になって高々と角笛を吹き鳴らした!
 すると、どこからともなく羊の大群が現れた!そして、凄まじい地響きと共に、ハヌマーンを踏みつけて去っていった!ハヌマーンは大ダメージを受け、一ターン休みになった!
 こうして角笛の凄まじい威力を知った男の機嫌はいくらか直り、めでたしめでたしの展開となった。よかったよかったとミミとイザヤールがカルバドの集落に戻ると、ナムジンが羊のチーズでもてなしてくれた。依頼人だけでなく羊尽くしの一日となり、思わず笑い出す二人と、怪訝そうにその様子を眺めるナムジンだった。〈了〉
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2 コメント

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羊の生息地で紙を広げるのは危険 (神々麗夜)
2018-01-21 18:13:35
羊に振り回される一行。
どんだけあの紙は羊に人気なんだ⁉︎
もしや無添加物を一切使用していない安心安全の紙⁉︎羊達はそれを本能で感じて…⁉︎
そうしてようやく見つけたお宝が羊の角笛…
まぁ性能は良かったので結構オーライ…かな?
怒涛の羊〜
DQ10でも羊飼い来ないかなぁ…って思ったけど
ただでさえ影の薄いレンジャーの影がさらに薄くなるし、何よりDQ7での狼の悲劇の再来の可能性が…狼より羊の方が強い

レレン「やだやだ!羊さん飼いたい
リリン「ダメ。どうせ世話しないでしょ
レレ「そんなことないもんっ!
ククール「生き物飼うってのは簡単じゃないぞ
レレ「大丈夫だもん!だから羊さん
リリ「はぁ…仕方ないわね。
カルバトの集落へ…
ナムジン「レレンが羊を?
リリ「だからレレンに、二週間ここで動物達の世話をさせて欲しいのよ」
クク「そうすりゃレレンでも少しは生き物を飼う大変さが分かるだろ」
レレ「がんばるぞー」
ナム「分かった。任せてくれ
二週間後…再びカルバトの集落へ
リリ「レレン、ちゃんとお世話してる?」
ナム「ああ、してるよ…羊が…
クク「へぇ、ちゃんと面倒見…って羊が?」
羊「メェメェ!(ちゃんと片付けなさい!」
レレ「あとでやるのに〜
羊「メェー!(野菜食べなさい!
レレ「にんじん嫌い〜!(逃」
羊「メメェー!(待ちなさーい!
レレ「羊さんこわい〜(泣
リリ「どっちが飼われてるか、分からないわ
クク「スゲー羊だな

シェルル「こうしてレレンちゃんは羊を飼うのは諦めましたとさ…って僕の出番これだけ⁉︎こうなったらここで思いっきり喋って(以下省略
紛失決定フラグですよね (津久井大海)
2018-01-22 10:01:31
神々麗夜様

いらっしゃいませおはようございます☆結局、何故羊たちに人気なのかは最後まで明らかになりませんでしたが、無添加安全植物性なのは間違いないと思われます(笑)

そうなんです、角笛の効果は「どとうのひつじ」をイメージしたんですが、あの技ってオオカミより強かったですよね。ガボ・・・。
10のレンジャーって影薄いですか、確かに能力値全般的にほどほどってそうなりがちかもですね。

女の子の躾までするほど賢いとは、恐るべしカルバドの羊たち!・・・ていうか妹さん、羊の言ってることわかるんですね、さすが元天使。ナムジンも二週間お疲れさまです。
彼氏さん出番が(涙)この機会に何を言おうとしてたのやら〜。師匠に至っては出番すら無いので、どうかその枠に行かないよう踏ん張ってくださいませ、死守イケメン枠?!

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